ヨーロッパ企画 永野宗典の対談野郎 vol.23 ゲスト:川口大樹

シアタービューフクオカのコラムで誌上最長連載を誇るヨーロッパ企画・永野宗典氏。
ゲストを迎えての対談形式コラム。
webでもダブル掲載!本誌と併せてお楽しみください!


限られた字数制限の中、所狭しとお送りするショートショート対談。今回のお相手は、万能グローブ ガラパゴスダイナモス(略してガラパ)の作・演出家 川口大樹さんと!

今回のゲスト:川口大樹
1983年7月19日生まれ。福岡出身。劇団「万能グローブ ガラパゴスダイナモス」で脚本・演出を担当。福岡で、ワンシチュエーションコメディにこだわり続けて12年。

永野(以下 ) ヨーロッパ企画として福岡に初めて来たのは2004年、天神のVIVREでやった公演で。それ見てたんだっけ?
川口(以下、) そうです!ガラパの旗揚げが2005年なんですけど、1年前から準備してて。若手でシチュエーションコメディやってる劇団ってどんなのがあるんだろう?って検索したら、ヨーロッパ企画のHP見つけて。で、ずーっとチェックしてて福岡公演の情報知って、すぐチケット取りました。
 尖った10代の川口氏の目にはその公演はどう映ってたの?
川 その頃の僕は、もうだいぶヨーロッパ企画ファンだったので。
 「だいぶファン」ってどういう状態(笑)?だって初めて福岡に来のよ。
川 芝居は観たことないけど、「伏見をハワイとしてバカンスする」とか「おかず能力を争う」とかのHP企画がめっちゃ好きで。それでもうすっかりハマってました。
 翌年、居酒屋で一緒に飲んで、「ヨーロッパ企画みたいな劇団作りたいです!」ってキラキラした目で言ってもらった記憶があるけど、合ってる? 美化してる?
川 概ね合ってます。キラキラよりはギラギラしてたと思います(笑)。物販でDVD買ってたんですけど、まだ劇団もなんもないから何も言えずで、もうこのチャンスは絶対に逃せんぞ、というのがその時のギラギラです。
 そのギラギラのおかげで、僕らは毎年福岡に安心して通えてる気がします。僕らの福岡公演の宣伝か、舞台セットの仕込みバラシ、当日受付まわり、打ち上げの盛り上げまで(笑)。お世話になりまくり甘えまくりで、頭が上がらず…で、そんなこんなでいつしか、ガラパに観客動員も抜かれ…勘弁してよ!もうちょっと先輩面させてよ。
川 せめて福岡でくらいは頑張らんと、ただの打ち上げで盛り上げる担当になってしまうので(笑)。
 もう先輩、冷や汗かいてるから。…で、あげく僕が客演するっていう。ガラパに吸収合併されるんじゃないかっていう。
川 13年前の自分に教えてあげたいす。お前、13年後に大好きな先輩に冷や汗かかせてるぞって(笑)。
 どんな顔して稽古場行っていいかわかんない。
川 いやもう、僕こそどんな顔して演出していいかわかんないです。
 13年経って、変にこじれてるじゃん!っていうか、…キャナルシティ劇場って(笑)。
川 ね! 劇団四季さんがやられてた劇場ですから!ちょびっと悩みましたけどまあ、なんかいけるような気がして。
 でた。「なんかいけるような気がして」。ギラギラしてんなあ。キャナルシティでかいよ?(笑)
川 デカすぎてイメージできないので、逆に大丈夫です(笑)。なんかいける気がします。
 でた。また。「なんかいける気がします」。 強気やもん。僕ちっっちゃいよ?158cmよ?
川 ガラパでは、永さんは小さな巨人という認識ですよ。
 「巨」の文字抜いて。ただの「小さな人」だから。テンパったちっさなおっさんが稽古場に現れるから覚悟しといて。
川 今もう、福岡でまいてるチラシには、「ヨーロッパ企画 永野宗典客演!」ってやたらめったら書きまくってますよ!
 158cmも書いといて。大劇場に向いてないんだから。物理的に。見えにくいんだから。言い訳いっぱい書いといて。
川 どんだけ及び腰なんですか!(笑)
 ごめんー。「見えにくいけどご了承ください」って。
川 「永野さん合流して、3日くらいで通し稽古いけるよね?」ってうちの座長が言ってました。
 初日でいいよ。出ハケの確認したら、即、通し稽古!
川 まじ先輩かっこいいっす!(笑) これが僕らの憧れたヨーロッパ企画の永野宗典だ!
 あと10年、先輩面させてもらうための公演だと思ってるから。
川 劇団員一同、稽古場の入口に整列して待ってます!
 だから、やめてそういう待遇。誰よりも腰低く入るからね。
川 もう先輩面できてないじゃないすか!(笑)
 みんなギラギラしてんだもん。まともに目が見れない。

●永野宗典(ながの むねのり)/’78年生まれ、宮崎県出身。’98年、上田誠らと共にヨーロッパ企画の旗揚げに参加。以降、全作品に出演。
information 5/3(水・祝)万能グローブ ガラパゴスダイナモス第23回公演「星降る夜になったら」@キャナルシティ劇場

◎シアタービューフクオカ vol.65掲載(2017.2発行)

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