ヨーロッパ企画 永野宗典「隔月刊 永野宗典」vol.2
シアタービューフクオカのコラムで誌上最長連載を誇るヨーロッパ企画・永野宗典氏。
装いも新たに、新コラム連載スタート!!
前号から今号までの2ヶ月のタームで永野宗典の身になにが起こったのか。イラストと共にお送りいたします。
終わりの見えないコロナ禍、おうち時間が多くなり、少しでも癒しを、という無意識の働きかけからか、園芸店に立ち寄っては、何かしら観葉植物を買って帰る癖がついてしまった。推定大小50鉢近く、家のあちこちに植物がいる。家を森林化したいとさえ思っている。休日は、そよ風に揺れる植物の葉を、コーヒーを飲みながら、ただ眺める。隠居か?いよいよセカンドライフ突入か?と言わんばかりの暮らしぶりだ。ということで、最近、お店でお見かけしてお持ち帰りしてしまったのは、マランタ・レイコネウラ。熱帯アメリカに棲息する植物だ。美しい…。ピンク色の葉脈に、濃い深緑と黄緑のコントラストが鮮やかな丸い葉。それでいて、葉裏はベロアチックなワインレッド色。正確で緻密な葉の模様でありながら、不規則に思い思いのあらゆる方向に葉は枝垂れていく。美麗さとともに野生味も感じる。まるで植物界のクジャクだ。マランタは僕にさらなる感動を与えてくれた。なんと、小ぶりの朝顔のような花があちこちに咲くのだ。どれだけエンタメ性の高い観葉植物か!別に誰かを楽しませようとしている訳じゃない。そこがすごい。自意識ゼロ、アピールゼロ、ショーマンシップゼロでこのハイパフォーマンス。一方、マランタを眺めている僕はどうだ? エンタメの世界で、自意識過剰や承認欲求のための悪あがき、意図や計算にまみれた表現に満ちていやしないか? マランタ師匠、これからもご指導ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。
●永野宗典(ながの むねのり)/’78年生まれ、宮崎県出身。’98年、上田誠らと共にヨーロッパ企画の旗揚げに参加。以降、全作品に出演。
ヨーロッパ企画ホームページ http://www.europe-kikaku.com/
◎シアタービューフクオカ vol.96掲載(2022.9発行)