ヨーロッパ企画 永野宗典「隔月刊 永野宗典」vol.1

シアタービューフクオカのコラムで誌上最長連載を誇るヨーロッパ企画・永野宗典氏。
装いも新たに、新コラム連載スタート!!

前号から今号までの2ヶ月のタームで永野宗典の身になにが起こったのか。イラストと共にお送りいたします。

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この2ヶ月で、舞台・映像あわせて11作品(稽古中を含めて)参加させてもらった。
ああ、俺、俳優業やってるな…美味いビールを飲ませてくれた2ヶ月だった。
中でも、稽古を含めじっくり演じることのできた役が「包帯の男」だ。珍しくシリアスな役を演じた。
朗読劇という形式での公演だったが、ときに台本を外し、1ページびっしりの長台詞を淀みなく言わなければならないハードルの高いシーンもあった。巨匠・岸田國士の戯曲だけあって、吐くだけで必ず涙が溢れてくる台詞があったりする。とても演じ甲斐を感じさせてもらえる役だった。しかし、観に来てくれた知人から、「永野さん、ずっとふざけて演じてましたよね(笑)」と言われた。いやいや! 永野宗典俳優史上、屈指の大熱演芝居だったはずだ!
「途中、ビートたけしと武田鉄矢のモノマネしてました?」
おいおい!僕がやっているのは演芸ではない!演劇なのだ!
…そうか。自分で自分の演技をコントロールできなくなってしまったのか。シリアスに振る舞えば振る舞うほど、滑稽さが際立つ俳優になってしまったのか。うむ、どんなに辛いこともおどけて昇華させて来た人生だ。生き様が演技に現れてしまったのだろう。日々をどう過ごすか。そこにこそ演技表現の核となるものが宿るのであろう。

●永野宗典(ながの むねのり)/’78年生まれ、宮崎県出身。’98年、上田誠らと共にヨーロッパ企画の旗揚げに参加。以降、全作品に出演。
ヨーロッパ企画ホームページ  http://www.europe-kikaku.com/

◎シアタービューフクオカ vol.95掲載(2022.7発行)

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