コラム・池谷のぶえ めずらしく体調のいい日に vol.43

舞台をはじめTVドラマ等でも活躍中の女優・池谷のぶえさんのコラム。本誌と併せてお楽しみください!

vol.43

ちょうど昨年の今頃、口内の上顎に500円玉大の血豆ができ、その後破裂し巨大な口内炎になり、唾を飲み込むことすら辛く、それはそれは壮絶な日々を過ごしました。そのちょうど一年後の現場、今年は鼻周りの肌荒れがひどいです。口内炎は口を閉じていれば目に見えないので、外面的には健康そのものですが、顔の真ん中の肌荒れは「はい!なんか大変な状況です!」とアピール度が高い。メイクをしていただくことが必要なお仕事的にも、「すいません…すいません…」と、普段なら必要のない謝罪を繰り返さねばなりません。思えば、小さい頃からストレスを感じるとまず顔になんらかの異常が現れ、それでもだめなら、突然ぶっ倒れてました。小学校1年生くらいの集合写真には、顔に無数に出た吹き出物全てに赤チンを塗られた、草間彌生さんの作品のような私が写ってたりもします。

このコラムを読んでいただいている若い方は「赤チン」をご存知ないかもですね。赤い色をした消毒液です。茶色い消毒液のヨーチンというのもありましたが、ヨーチンのほうが我が家でのヒエラルキーは上だった気がします。家のことがいろいろ辛かった20代後半も顔に大量の吹き出物が発生し、治すのに苦労したものです。20代後半なんて、いま思えば素敵な時間なのに可愛そうに…。とにかく、顔に何か起こったら危険信号だと自覚してはいるものの、顔の方だって急に肌荒れするわけではなく、ジワジワ攻めてくるじゃないですか?気づいたら「あれ?ひどくなってねぇ?」というパターンです。それに気づいたのが日曜日。そう、大体の病院はお休みです。それでも、近所で開いてる皮膚科をなんとか見つけて駆け込みました。正直、なんらかの薬が貰えたら100点!くらいにしか思っていませんでしたが、とても丁寧で気持ちの良い皮膚科だったので850点です。以前知り合いが、やはり休日にやっと見つけて駆け込んだ病院で、先生の脛にずっと蝉がとまっていて、診察内容が全く頭に入ってこなかった…という話を聞いたことがありました。私の駆け込んだ病院は、先生の脛に蝉がとまっていることもありませんでしたので、その点を加算したら1000点です。さあ、あとは、2日ほど先の撮影までにどれだけ回復してくれるかです。普段は鏡を見ない私も、まるで普通の女性のように時間さえあれば鏡を覗いてしまいます。やっと普通の女性の仲間入りができた気持ちでいっぱいです。

 

いけたにのぶえ/1971年生まれ、茨城県出身。俳優。幻の劇団「猫ニャー」出身。舞台のみならず映像作品へも活躍の場を広げている。

◎シアタービューフクオカvol.104掲載(2024.2月発行)

ピックアップ記事

関連記事一覧