竹井亮介の人生ドリル vol.14

舞台をはじめTVやCM等でも活躍中の竹井亮介さんのコラム。本誌と併せてお楽しみください!


vol.14

ご無沙汰しております。皆さん、お元気ですか?私は9月10月に出演していた、約1年半ぶり且つコロナ禍初のガッツリした舞台を終え、ほっと一息ついているところです。そうこうしているうちに、やってきますよね?大きなイベントが。そう、クリスマスです。恋人たちはロマンチックな過ごし方をしたりするんでしょうが、私はもうそういうわけにもいきません。ふたりの娘がプレゼントを待ちわびて、ぼちぼち、ちょうだいちょうだいの態勢に入ってまいります。そのはずですが、今年はそんなふうになるのか、実はちょっと不安を抱いておりまして…。
春先だったでしょうか。リビングでテレビを観ていると、番組の中では、サンタクロースを高校生まで信じていたとかなんとか、そんな話題になっていました。私は素直に「へえ〜!」と驚いて、「そんなに大きくなるまで、サンタを信じてたなんて、素敵な親御さんだよね〜!」と、キッチンにいた妻に聞こえるように大きな声で伝えたのです。聞こえていないのか妻の反応がないので、さらに声を大きくして「高校生までサンタ信じてたってー!」と、言葉を投げかけました。それでもやはり反応なし。その瞬間です、血の気が引く思いをしたのは。ソファーにだらしなく座っていた私の隣には、ゲームかなんかをしている長女の姿があったのです!こめかみのあたりの表面温度が、サーっと音を立てて下がっていくのを感じました。それでかー!妻の反応がなかったのは!時すでに遅し!野球で言えば、簡単なフライをはっきり目でとらえながらグローブにかすりもせず、おでこでボールを受けてしまうような、痛恨の凡ミス!どう繕えばいいんだ!バカ!俺のバカ!
恐る恐る隣を見てみると、長女は手元のタブレットに集中しているのか、私の犯したエラーを気にしていないご様子で。あれ?聞いてなかったの?聞かなかったふりをしているの?どっちなのよーっ!?とは訊ねるわけにもいかず。テレビを見てて感心した親御さんとの違いを、これでもかというくらいに感じてしまいました。

ダメ父に つける薬を! サンタさん!!(五七五)

そろそろ、サンタさんにお手紙書こうねなどと、欲しいもの調査を始めなくてはならない時期に差し掛かります。日に日に増してくる不安で、押しつぶされなきゃいいのですが…。
あぁ、人生って難しいですね。

 

●たけい りょうすけ/早稲田大学在学中は、劇団「木霊」で活動。卒業後は様々な舞台を経験し、1999年、コントユニット親族代表を結成。ぽっちゃりとした見ためを活かした朗らかなキャラクターを演じると、場を和ませ、画面が一気にあたたか味を帯びる。その安定感は、各方面の監督からも信頼が厚い。

◎シアタービューフクオカvol.91掲載(2021.11発行)

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