コラム・池谷のぶえ めずらしく体調のいい日に vol.4
野間口徹さんからバトンを受け取り、シアタービューフクオカ本誌で絶賛連載中!舞台をはじめTVドラマ等でも活躍中の女優・池谷のぶえさんのコラム。本誌と併せてお楽しみください!
vol.4
さあ年度末ですよ、みなさま。いろいろバタバタとしていることでしょう、みなさま。
私的には、昨年達成できなかった恋したい気持ちを年度末まで延長中なわけですが、ついにその病をこじらせて、いまさらながら「テラスハウス」に手を出してしまいました。
あの、男女6人がひとつ屋根の下に暮らし、あれやこれやのコミュニケーションを図っていく様子を視聴者が覗き見る、あれだったりこれだったりの番組です。
毎朝、スマホのストレス測定アプリで日々のストレス度合いをチェックしているのですが、「テラスハウス」を見るようになってから正常値が続いております。めずらしく体調のいい日が続いているのです。すごいことじゃないですか?
実際に恋愛しているわけでもないのに、身体が恋愛していると勘違いしているに違いありません。重症!重症だわ!恋愛病院があるのなら即入院のレベルだわ!いや、恋愛病院じゃなくたって、なんらかの病院にスムーズに入院手続きしていただけそうなレベルだわ!しかし、妄想でこれだけ毎日ウキウキできるのなら、それはそれでよいではないですか。だいたい、お芝居をやったり、観たりするのだって、大部分を妄想で補っていかなければ成り立ちません。妄想もりっぱなお芝居のお稽古に違いないです。
このコラムも振り返ってみれば、餅と恋のことしか書いていない気がするので、たまにはお芝居についても書かねばなりませんね。
現在私は1/18~3/12まで、野田地図「足跡姫 時代錯誤冬幽霊」という舞台の本番中でございます。お稽古は昨年12月からでしたから約3ヶ月ちょっとの期間、出演者&スタッフで濃密な生活をともにするわけです。
「テラスハウス」なら、とっくに恋の2つや3つ展開している期間じゃないですか。こちとら、何もありゃしません。いや、水面下ではいろいろ蠢いているに違いないのです。特に若者たち。
だって、若い頃の劇団活動なんて、お芝居やってんだか恋愛してんだか区別がつかないですもの。稽古中や、本番前や、当事者同士が喧嘩したかなんかで、まわりまで不穏な空気になることなんてザラでした。別れるとどちらかが劇団辞めていくとか。あれ…よく考えたら…そんな現場いやですね。やはりしばらくは妄想でしのぐしかないようです。
しかし、体調の良さを司る幸せ物質・セロトニンの分泌を促すには、恋の妄想だけでも効果があるらしいので、もうこれは生命維持活動ととらえて、厳粛に妄想してゆきます。
●いけたにのぶえ/1971年生まれ、茨城県出身。俳優。幻の劇団「猫ニャー」出身。舞台を中心に活動中。 「Little Voice(リトル・ヴォイス)」(2017年6月24日(土)@北九州ソレイユホール)に出演。
◎シアタービューフクオカvol.65掲載(2017.2発行)