ヨーロッパ企画 永野宗典「隔月刊 永野宗典」vol.4

COLUMN

シアタービューフクオカのコラムで誌上最長連載を誇るヨーロッパ企画・永野宗典氏によるイラストコラム!

前号から今号までの2ヶ月のタームで永野宗典の身になにが起こったのか。イラストと共にお送りいたします。

 

90年代に放送されていたセクシーバラエティ番組「ギルガメッシュないと」をご存知だろうか?
毎週テレビで、ランジェリーやら裸にエプロン姿の女の子がでたと思えば、ふつーに、おヌードが拝めたり、アダルトビデオの紹介があったり、お色気の過激さが社会問題になり、あげく打ち切りになった伝説の番組だ。その番組制作の裏側を描いたドラマ「ギルガメッシュFIGHT」に参加した。僕は、お笑い芸人・イジリー岡田さんをモデルにしたサワリー尾中という役を演じた。イジリー岡田さんといえば高速ベロ。もちろん高速ベロを演じる場面もあるので、ご本人から高速ベロ指導をしていただいた。僕は、甲本ヒロトさんに憧れてベロを激しく動かすことを真似てやっていたこともあり、特に指導は必要ないと正直思っていたのだが、本家・イジリーさんの高速ベロは一味違った。まず、ベロを速く出し入れするのではない。ベロを突き出して、上下に動かすのだ。これは意外と難しい。上下運動はできたとしても、上上下下下上下上上下と不規則になってしまう。まず、規則的に上下上下上下と動かせるように訓練しなければならない。さらにイジリーさんは音が違った。僕は、「ネチョネチョネチョ」という音が鳴る。「品が無い」と師匠に指摘された。品性が必要なのか! 師匠の音は、「パタパタパタ」と小鳥が飛び立ったのかな?というキュートな音が鳴るのだ! 僕は、どうやっても「ネチョ」音が消えない。休まず訓練した。ベロは筋肉だから日に日に上下運動の速度は上がっていった。速度をひたすら上げようと切り替え、腹筋と肛門を強く引き締め、体幹を意識するとベロが安定して速く動くことがわかった。口も大きく開くとさらにベロの軸が掴め、動かしやすいことがわかった。ドラマ撮影のある日、師匠がスタジオ見学に来られた。高速ベロを見てもらった。「永野さん!ネチョネチョ鳴らなくなってるよ!」と師匠に褒められた。訓練は裏切らない。僕は少し、師匠に近づけた気がして涙が込み上げてきた。しかしパタパタ音レベルまでは到達できていない…。もうクランクアップしたが、まだ僕は訓練を続けている…。

●永野宗典(ながの むねのり)/’78年生まれ、宮崎県出身。’98年、上田誠らと共にヨーロッパ企画の旗揚げに参加。以降、全作品に出演。
ヨーロッパ企画ホームページ  http://www.europe-kikaku.com/

◎シアタービューフクオカ vol.98掲載(2023.1発行)

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