竹井亮介の人生ドリル vol.16

舞台をはじめTVやCM等でも活躍中の竹井亮介さんのコラム。本誌と併せてお楽しみください!


vol.16

北京で行われていた冬季オリンピック、最終日のカーリング女子決勝でロコソラーレが銀メダルを獲得し、爽やかな感動を覚えたのはついこの間のこと。皆さんはご覧になっていましたか?私は舞台公演中でしたが、いくつかの競技は応援できました。
 冬季オリンピックの時期に必ず思い出すことがあります。それは、1992年のアルベールビル大会のこと。その頃、一浪中の私は大学受験に挑んでいたのですが、なかなかいい結果を出せずにいました。そんな時、私に勇気を与えてくれたのが、フィギュアスケートの伊藤みどり選手。伊藤選手は女子個人で銀メダルという快挙を成し遂げ、日本中、大フィーバー。受験において苦戦の日々でしたが、とても明るいニュースで嬉しかったのを思い出します。当然、翌日のスポーツ新聞各紙の一面を飾っていました。私は、もうすがるような思いで、そんな希望に満ちたスポーツ新聞を4〜5紙買い漁ったものです。そして勇気をもらい、力に変え、なんとかひとつ、吉報を手にすることができました。そうして入った大学で演劇を始めたわけですから、今があるのは、伊藤みどりさんのおかげなのかもしれません。
 こんなふうにスポーツから力をもらい、さらには影響を受けることもしばしば。中学高校と陸上競技部にいたからか、スポーツで感動すると、なんだか走りたくなってしまうのです。昨年なんかは、コロナ禍ということもあって余裕のあるお仕事のスケジュールだったので(残念!泣!)、現役アスリートだった時代を除けば、最も多く走ったのではないかと思います。この調子で今年もと思っていましたが、1月から稽古に入った舞台、OOPARTS「D-river」でいただいた役が小太りと言われる役だったのです。
 北海道ローカルのオバケ番組「水曜どうでしょう」のミスターとして知られる鈴井貴之さんが作・演出の舞台。稽古中ミスターから「竹井さん、お痩せになりました〜?」と言われ、少々焦りました。確かに、2年半前に最後に会ったときより、数キロ、体重は減っていました。走っていたこともありますが、食事の量が減っていたのです。朝ごはんなんかは、娘たちがわりと残したりするので、いつの頃からか、娘たちの残りだけを食べるようになっていました。とはいえ娘たちもいつもたくさん残すわけではなく、平らげたときなどは、ヨーグルトだけとか、食べないなんてことも。これではいかん!そう思い、とにかく食べる毎日になりました。おかげさまで、小太りがなんとか成立するくらいのお腹にはなったみたいでホッとしてはいますが、体重が減って身体が少し軽く感じられるのも悪くないなぁと思っていたので、胸中複雑なのは言うまでもありません。
 あぁ、人生って難しいですね…。

 

●たけい りょうすけ/早稲田大学在学中は、劇団「木霊」で活動。卒業後は様々な舞台を経験し、1999年、コントユニット親族代表を結成。ぽっちゃりとした見ためを活かした朗らかなキャラクターを演じると、場を和ませ、画面が一気にあたたか味を帯びる。その安定感は、各方面の監督からも信頼が厚い。

◎シアタービューフクオカvol.93掲載(2022.3発行)

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