ヨーロッパ企画 永野宗典の対談野郎 vol.17 ゲスト:金田一央紀
シアタービューフクオカのコラムで誌上最長連載を誇るヨーロッパ企画・永野宗典氏。
ゲストを迎えての対談形式コラム。
webでもダブル掲載!本誌と併せてお楽しみください!
限られた字数制限の中、所狭しとお送りするショートショート対談。今回のお相手は、明治から続く言語学者金田一家の末裔であり大学の後輩でもある金田一央紀くんと!
今回のゲスト:金田一央紀
1981年生まれ、東京都出身。Hauptbahnhof主宰・演出家・翻訳家。英国Central School of Speech and DramaにてMA取得。2013年から拠点を京都に移す。
金田一(以下、金) 寝坊して失礼しました。
永野(以下 永) いえいえ。19:30まで寝てたと聞いてビビったけど(笑)。6時間以上遅刻してるからね。
金 夜型が行き過ぎて。
永 どんな生活してんの?(笑)
金 最近は、脚本を翻訳する仕事があって。
永 今や、有吉反省会で、ダメ人間でお馴染みの、金田一くんのことだから、朝まで飲んでるのかと思ったよ。
金 ダメ人間ではなく「クズ」です。酒は夜の3時まで!
永 知らないけど(笑)。大学の演劇サークル時代は「言語学者の金田一家の末裔が来る!」って、サラブレット感がすごかった印象で、さらに、芝居がむちゃくちゃ上手くて、とんでもないやつが来たと思ったよ。卒業後、どうしてたの?
金 卒業後は、ロンドンに。演劇で修士を取ろうと思って、大学院に行きました。
永 ほー!演劇の勉強してたんだ。言葉の壁は?
金 1年東京で勉強して、もう1年ロンドンで磨いて。ロンドンは演劇教育がすごくて。音楽とか体育と同じレベルで演劇があるんです。俳優術もあるし。
永 同志社の学生の俳優とロンドンの俳優たちを比べてどうだった?
金 俳優のうまさとか、わかんなくなっちゃって。まず、英語がみんな上手じゃないですか。
永 上手いというか母国語だしね(笑)。まあ、セリフのニュアンスとかはわかんないかもね。
金 英語上手だなあーっていうのを、芝居上手だなあーに変換しちゃいがちというか。
永 はは(笑)。圧倒されるわけだね。
金 でもそのおかげで、セリフとかじゃない上手さ、存在のすごさとか、動きに視点が行くんですよ。芝居を見に行くんですけど、基本何言ってるかわかんない。だけど、なんか話が分かるなあって思ってたら、ケビン・スペイシーだったとか。
永 げげ!名優は言葉を超えた表現をしてるってことか。
金 分かんないのに、わかる!これはすごかったですね。ハリウッドスターも舞台出てたりしますからね。存在感ですよ。永野さん、存在感ありますよ。
永 おほ(照)。
金 ちっちゃいのに。
永 おい!いじってるじゃねえか。話かわるけどさ、なんかNODA・MAPにも関わってなかったっけ?
金 関わってました、1年ほど。ロンドンで野田さんに出会って、一緒にやりたいですって言ったら「イマイチだったらすぐ首だからね」って言われながらも「新しく弟子を取った」って言ってもらえて、演出助手で。
永 かーっ!やるねえ。やっぱサラブレットならではの道筋を辿ってるよ。でもやがてそんな金田一くんは「クズ」と呼ばれ…。
金 もどってきましたねー(笑)。
永 っていうか、そこまでいい調子なのに、また京都に戻ってきたんだね。
金 たぶん、野田さんのとこ行って、もう安泰だみたいな気分になってたんだと思います。で、自分でちゃんとやろうと思って劇団を立ち上げ、でも、年に1回くらいしかできずモヤモヤしてて「このままじゃだめだ」ってなって、そうだ、京都、行こう、って。
永 がんばって、Hauptbahhof。
金 あ、Hauptbahnhof(ハウプトバンホフ)です。
永 ややこしい劇団名!どこが間違ってるかもわからない!子供たちにもわかりやすい劇団名にしたら?「中央駅」って意味なんでしょ?誰もそのターミナルいけないじゃん。駅を中心にドーナツ化現象起きてんじゃん。たどり着けないがために。
金 カフカ的な。
永 カフカ的だよ。『城』だよ。
金 何かと理由つけて、行けない。読めない。しらない。やってない。
永 不条理すぎるよ!
金 (笑)。「きんだいちくんとこ見てくる」って言ってもらえたら、それでいいんですけどね。
永 劇団名「きんだいちくんとこ」でいいよ。
金 おおお。頑張ります。改名も検討して。
永 劇団名「クズんとこ」でもいいよ。
金 いや、そこは、「きんだいちくんとこ」にしましょう。
●永野宗典(ながの むねのり)/’78年生まれ、宮崎県出身。’98年、上田誠らと共にヨーロッパ企画の旗揚げに参加。以降、全作品に出演。
information 永野宗典 出演情報/剛力彩芽主演・福井県ドラマ『夢叶う、福井県』YouTubeで公開中!