ヨーロッパ企画 永野宗典の対談野郎 vol.46 ゲスト:福田響志

シアタービューフクオカのコラムで誌上最長連載を誇るヨーロッパ企画・永野宗典氏。
ゲストを迎えての対談形式コラム!


限られた字数制限の中、所狭しとお送りするショートショート対談。今回のお相手は、ご一緒してる舞台『muro式.がくげいかい』で振付・殺陣などムーブメントディレクターとして参加してる福田響志さんと!


今回のゲスト: 福田響志
2000年生まれ。演劇を中心にマルチに活動中。出演作に『ライオンキング』(ヤングシンバ役)など。『muro式. がくげいかい』ではムーブメントディレクターとして振付・ステージングを担当。主な作品に『モンティ・パイソンのSPAMALOT』(タップ振付)『PIPPIN』(訳詞)など。

 

永野(以下 ) まず、いい名前だよね? 響志(なるし)って。
福田(以下 ) 池田成志さんですね。父が学生の頃、大好きな役者さんで。ほんとは同じ漢字にしたかったんですが、字画的に響志のほうがいいとなりました。
 え!そうだったの!? まさかな〜って思ってたけど! 成志先輩とのお仕事はもうした?
 お仕事はしてないです! いつかご一緒したいです。
 響志くんって、肩書きは何って言ったらいいんだろう?
 全部ひっくるめてシアターアーティスト、と言ってます。アメリカではそこそこ主流なカテゴリーです。振付、役者、プラス最近では翻訳、訳詞をやらせてもらっているので。演劇を作る人、というざっくりしたカテゴリーですね。
 日本じゃあまり聞きなれないというか、聞いたことが僕はないけど。ざっくり、響志くんの歴史、「響史」を教えて。まず、演劇への目覚めから。
 4、5歳の頃にニューヨークに連れてってもらった時に『ライオンキング』を観て「僕、シンバやりたい」と言ったらしいんです、僕は覚えてないんですが。日本に戻ってすぐダンススタジオに通うことになり9歳の時にオーディションに受かって、それから3年ちょっと、週1,2のペースでシンバをやってました。
 もうサラブレッド感出てるもんね(笑)。演技やダンスは苦労なくすんなりできるタイプだったん?
 全く出来なかったです。いわゆる天才肌ではなかったです。母に厳しく言ってもらって、努力して、コツコツやってくタイプでした。
 そっか…同年代の子とかでも、才能あるな〜!って感じる子は周りにいたの?
 いっぱいいましたねー 特に、小林翼って子がいたんですけど、その子はNHK『にほんごであそぼ』のレギュラーとかやってたり、ダンスも歌も芝居もうまくて幼馴染だけど、ずっと憧れてましたね。
 は〜!もう小さい頃からそういう刺激の中にいたんだね。で、本格的に勉強したいっていうモチベーションが生まれていったのかな?
 いや、どちらかというと、もう、僕にはこれしかないって感じでした。スポーツも勉強もさほどできなかったので、演劇だけが楽しみでした。で、『ライオンキング』を卒業して、一週間後くらいに『ピーターパン』のオーディションに受かったんです。
 すごいすごい!
 演出を忠実に守ることが大事な劇団四季に比べて、『ピーターパン』ではすごく自由にやらせてもらえた印象があって、楽しかったんです。稽古終わりに橋本じゅんさんにしょっちゅうご飯に連れてってもらったり。演劇ってこういう楽しみ方もあるんだと。
 劇団での決まりごとから解放されて、フラットに演劇の世界を感じることができるようになったのかな。アメリカ留学とかはどんなきっかけ?
 ある日突然、母が「あなたアメリカ行くから」 と言ってきたんです。
 「行くから」(笑)。決定事項として聞かされたんだ(笑)。
 ただ、母の言うことはいつも正しいところに導いてくれるので、信じてその方向に動くんです。あの時、僕はもう声変わりしてて、子役としては活動できない時期に差し掛かっていたので。アメリカで修行するにはピッタリでした。14歳ですね。
 演劇系の学校行ってんだったっけ?
 芸術に特化してる高校、って感じですね。午前は普通の授業で午後〜夜は芸術系でした。高校はカリフォルニアの山奥で、大学はニューヨークに行きました。
 まったくどういう学生生活か想像できない…。もうGREEで見た学校の風景を想像することしかできない。
 高校は寮生活で山奥だったので、GREEとはかけ離れてますね(笑)。寮に戻る時に、シカの家族に道を阻まれたこともあります。大学はニューヨークのど真ん中だったので、ちょっとGREEっぽさはあるかと!(笑)
 で、だいぶはしょっちゃうけど、コロナになって、日本に帰国して。今回「muro式.がくげいかい」に参加することになって。
 日本ではミュージカルに振付助手や翻訳・訳詞で関わることが多かったので、オリジナルはやったことなく、すごく新鮮でした。とにかく強く感じたのは、信頼ですね。オリジナルを作るときは、 無茶もしなきゃいけないし、たまには妥協もしなきゃいけない。この二つって、凄まじい信頼とチームワークがないと出来ないと思うんです。
 muro式の10数年来のスタッフ陣の中に飛び込んで、信頼を得ていく響志くんはなんともたのもしかったよ。もう、ムロツヨシも響志くんに全幅の信頼を寄せてるし、全スタッフ・キャストも同じく!
 いやもうほんと、伝統あるmuro式に自分が関わらせてもらって、皆さんとモノづくり出来るだけでも幸せなのに。
 僕も、演技の相談を何度かしたもんね? そばにいたら頼りにしちゃうよね。絶対なにかしら導いてくれると信じれるから。
 こんなに信頼してもらって、色んなことを発信させてもらえるなんて…最高の現場です。
 でも、今日お話し聞いて、そのポテンシャルが、地道な努力の上にあったことに、さらに、感動してる…。
 いやぁ、色々やらせてくれてる親に感謝ですね。
 ご両親もすごい! ぼくも親として、子育て見習いたいもん! 育児本出してほしい!
 母は説明下手なので本は書けなそうですね〜(笑)。ただ、ほんと凄い人です。
 いまは、響志くんはまた別のお仕事始まってんだっけ?
 そうですね、 『ジェイミー』っていうWest End発のミュージカルの翻訳・訳詞を担当してます 基本的には書き終わってるんですが、今回は日本にいれるので、歌唱稽古に参加しながら、役者さんと話し合ったりして、最終調整していきたいなと思ってます。
 コロナ帰国、なんだかんだすっげえ充実してない? っていうか、すっげえ即戦力になる21歳だもんな〜。このコロナのご時世、アメリカでの今後の学業はどうするの?
 まだあまり考えれてないですね。コロナだけでなく、いまアメリカは色々と大変そうなので…。ただどこにいようと、自分が今できることを全力でやっていこうと思ってます。今回のmuro式みたいに、いつどんな素晴らしい機会が待ってるかわからないですからね。
 響志くんはできることがたくさんあるもんね、すでに。今や、どこにいても、表現に携わるお仕事できる。末恐ろしいです…。

 

●永野宗典(ながの むねのり)/’78年生まれ、宮崎県出身。’98年、上田誠らと共にヨーロッパ企画の旗揚げに参加。以降、全作品に出演。
【ラジオ】「ヨーロッパ企画のブロードウェイラジオ」(LOVE FM 毎週火曜日21:00~21:30)。
【TV】NHK大河ドラマ「青天を衝け」血洗島編・権兵衛役で出演。
【舞台】 muro式「がくげいかい」

◎シアタービューフクオカ vol.90掲載(2021.5発行)

 

muro式. がくげいかい

http://murotsuyoshi.net/muro2021/muroshiki2021

【配信情報】
「muro式.がくげいかい」東京公演の模様がオンライン配信決定!

◆配信
●2021年6月6日(日)よる7:00~:ローソンチケット、 イープラス、 チケットぴあ、 にて配信
●2021年6月6日(日)よる7:00~:WOWOWオンデマンドにて配信
※WOWOWオンデマンドではムロツヨシ冒頭生配信トークはございません。 本編開始までに数分お待ちいただきます。
※6月13日(日)23:59まで期間限定配信となります。

◆チケット発売中
オンラインチケット料金:¥3,000(税込) ※WOWOWオンデマンドを除く

WOWOWオンデマンド: https://wod.wowow.co.jp/series/48223

イープラス: https://eplus.jp/muroshiki/st/

ローソンチケット: https://l-tike.zaiko.io/e/muroshiki2021

チケットぴあ: https://w.pia.jp/t/murosiki/

◆出演:西野凪沙・本多力・永野宗典
◆脚本:ふじきみつ彦
◆音楽 :東京スカパラダイスオーケストラ
◆演出・出演:ムロツヨシ

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