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『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』宮藤官九郎監督×長瀬智也×神木隆之介 インタビュー

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TYTD

6月25日(土)にいよいよ公開となる『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』。映画、テレビドラマ、舞台など数々の話題作を世に送り出し、日本のエンタテインメント界を牽引する、宮藤官九郎。完全オリジナル作品で、待望の監督最新作の舞台に選んだのは、ズバリ【地獄】。17歳でこの世を去った大助が、大好きなクラスメイトにキスしたい一心で、赤鬼と 一緒に地獄からの生還を目指して大奮闘するという、宮藤監督らしいバカバカしくも清々しいストーリー。
公開に先駆けて、宮藤官九郎監督、大助に地獄の仕組みを教え、彼を導く地獄の赤鬼キラーKを演じた長瀬智也、キスもせずに死んじゃった高校生・大助を演じた神木隆之介が来福。3人にインタビュー!

■撮影中、大変だったことはありますか?

長瀬
鬼の衣裳と特殊メイクに準備時間が2時間ほどかかるのが大変でしたね。撮影に入るには、衣裳に着替えて、普通のメイクさんと特殊メイクさんに1時間半ずっと目を閉じた状態でメイクをしてもらうのですが、楽屋と言っても全部ブルーシートで囲われた工事現場みたいなところなんです(笑)。でも僕らも結構大変でしたが、まわりのスタッフのみなさんはもっと大変だったと思います。このメイクを毎日朝からやって、休憩に入る度に直したりとかもありますし。そうやって作ってくれるスタッフがいたからこそ、僕らはカメラの前で思いっきり楽しんでお芝居ができましたね。鬼の状態でお芝居すると、視界が狭かったり、衣裳が重たかったり、色々ありましたが、大変な思いをしてクオリティの高い現場を作ってくれたスタッフには感謝しています。

神木
僕は、「地獄に落ちた人間」という設定なので周りには地獄側の人や鬼だらけ。だがら、僕だけが全部拷問を受けなくちゃいけないです。凍ったり、燃えたり、電気ビリビリされたり、飛ばされたり全部僕だけ(笑)。ただひとり地獄を満喫している役だなと思ってましたね。でも周りの鬼たちのほうがも拷問をやる側なので、もっと大変だったと思います。

長瀬
メイクもそんなにかからないから、入り時間もちょっと遅かったよね(笑)。

神木
その分、拷問を受けてました(笑)。でも、それはすごく辛くて苦しいというわけではなくて、大助だったらどうリアクションを取るかな?と考えるのが毎回楽しくてしょうがなかったですね。

■監督は、地獄のビジュアルをイメージ化される時はどんなアイディアを持たれていたのですか?

宮藤
地獄のビジュアルもそうですが、結構早い段階から、キラーKというキャラクターがどんな人物なのかをスタッフとディスカッションしていました。というのも、僕の台本には2m以上ある角の生えた赤鬼としか書いてなかったんです。「ロック」と「仏教の地獄」という要素をどう融合させていったらいいかを考えていて、最初に取りかかったのは鬼のギターでした。昔の仏像のように金がちょっと剥げたような感じで、それでいて火を噴いているというイメージを描いてもらって。そこがスタートでした。そのギターを持っているというので、次は衣裳。あくまで鬼なので、和のテイストを入れたかったんです。さらに地獄には奪衣婆がいて、亡者の着ていた服を剥ぎ取ると言われているので、それを全部継ぎ接ぎで作ったみたいなイメージで考えました。

メイクは、せっかく長瀬君に出てもらうのに、長瀬君だとわかんなきゃしょうがないですから、そこは微妙なところまでこだわりました。実は3パターンのメイクがあってスタンダードなキラーKと、怒っているときのキラーK、ライブ中のキラーKは全部違うんです。額に三つ目の目が出てくるのはライブの時だけだったり、他にも隈の黒い部分も細かく変えています。素の表情がわかったほうがいいシーンでは、メイク薄めにしたりとかなりこだわって、メイクテストもしっかりやりましたね。そういう細かい打ち合わせの過程に全部長瀬君が立ち会ってくれたので、こっちがどうやって欲しいかというのを、クランクインの時にはちゃんと伝わっていたので、あとはスムーズでしたね。

■長瀬さんはそのメイクや衣裳を着けていかがでしたか?

長瀬
映画のテーマソングになっている「TOO YOUNG TO DIE!」という曲には、“俺の右腕はジミヘンの左腕、俺の左腕はカートコバーンの右腕、下半身はマイケルジャクソン、声は忌野清志郎”という歌詞があって、それが衣裳にも反映されているんです。右手はジミヘンが着ていたようなペイズリー柄、左手はカート・コバーンっぽいネルシャツの生地、ストールは清志郎さんが手首に巻いていた派手な布のようなデザインに、そしてマイケル・ジャクソンをイメージした黒のピタッとしたパンツ、それが全部混ざりあって、すごくカッコ良い衣裳でした。なので衣裳ひとつをとっても、監督の思いをちゃんと理解して作られたんだなと感じました。

■今回、宮藤さんの監督・脚本で、改めて感じられた面白さや魅力は?

長瀬
僕は15~6年前から、監督と一緒にお仕事をさせていただいているんですけど、どれもすごく人間らしい作品で、僕もこれまで人間くさい役を頂いてきました。そして気がついたら鬼になっていました(笑)。でも鬼を演じてみて、撮影が終わってこの作品を観た時に、今までにやったどの作品よりも、人間らしさが出ていたような気持ちになりました。地獄が舞台で鬼とかいるんだけど、とても人間らしさを感じたし、人間で良かったなと思いました。そういうシンプルな事がドーンと胸に突き刺さるのって、難しいことだと思いますし、それをコメディーで描けるというのが監督の脚本の素晴らしさだと思います。大事な人が亡くなったりして、辛い思いをしている人を描いているからこそ、すごく元気になれる作品のような気がして、観た人に僕の感じた人間らしさ、そういう部分を感じて欲しいなと思います。

神木
僕は高校生の時に監督が脚本の作品に出させていただいたんですけど、その時の役というのが、高校生で大家族の長男で色んなものを背負っていて、うまくいかないという役でした。その時もそして今回の作品でも思ったことがあります。監督の作品の中では、起こることが、あまりにも現実みたいにうまくいかないことが多くて、途中までうまくいっている人生だなと思っていたら、結果、思い描いたサクセスストーリーには乗っていなかったりするんです。今回は地獄という設定で現実とはちょっと離れてるように感じますが、大助は地獄から必死に戻ろうとするけれど全然うまくいかない。そういうところが、すごく現実に近いなって思うんです。だからこそ、監督の作品の中で生きているキャラクターは、演じる自分も役と一緒に生きている感じがするんです。だから観た後に、登場人物と同じ達成感を得た気持ちになれる作品ばかりなのかなと思いました。この映画も大助と一緒に地獄に落ちてもがいて、最後はスッキリした!と思える作品だったなと。そこが監督の作品の魅力的なところでもありますし、この作品の 面白さでもあると思います。

■これから観るファンに一言お願いします。

長瀬
こういった作品は僕も初めてでしたし、今後もこれほど振り切った作品に出会えることはないかもしれないと思います。僕たちで作った世界観を味わってもらって、音楽とか笑いとか、人間らしさとか、この映画にしかない要素を楽しんで観ていただけたらと思います。

 

web_TYTD

『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』
6/25(土)TOHOシネマズ天神、ほかにて全国ロードショー

【監督・脚本】宮藤官九郎
【出演】長瀬智也、神木隆之介、尾野真千子、森川葵、桐谷健太、清野菜名、古舘寛治、皆川猿時、シシド・カフカ、清、古田新太、宮沢りえ

http://tooyoungtodie.jp/

 

神木隆之介/ヘアメイク:INOMATA(&’s management)、スタイリスト:吉本知嗣
宮藤官九郎監督/スタイリスト:チヨ

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