泊篤志の「芝居音楽、兄弟対談」vol.4

4つめのお題 シアターラボ07『想稿・銀河鉄道の夜』

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=泊篤志(飛ぶ劇場代表、劇作家、演出家)
=泊達夫(飛ぶ劇場、音楽担当。泊篤志の弟)

 えー、お芝居で使っている
音楽、オリジナル音楽ってどうやって作っているんだろう?というのを明らかにしていこう!という、芝居音楽対談も4回目になりました。今回のお題は、2007年3月に北九州芸術劇場で上演されるシアターラボ07の『想稿・銀河鉄道の夜』です!

 毎年、北九州芸術劇場でやってるシアターラボ、今年から企画が変わったとか。
 うん、これまでは戯曲講座の優秀作品を上演!って企画だったんだけど、必ずしもそうじゃないというか、シアラボって企画そのものを「半年間限定の育成劇団」ってコトにしちゃったんで、まあ上演する演目もその劇団員で決めようよっていう。
 あぁ、何だっけ?室町モルモット?
 室町モルモット団
 何で、そんな劇団名なの?
 ラボ=実験、実験ならモルモットかなって、この劇団名も集まったメンバーでワイワイ決めたんだけどね
 自虐的な
 俺たち所詮実験台だぜ、モルモットだぜみたいな
 いさぎよい劇団員だ
 あ、うん、色んな意味でイっちゃってるメンバーだね
 それで上演する演目が
 『想稿・銀河鉄道の夜』という
 北村想さんの名作をね
 というか宮沢賢治の名作を、想さんが戯曲化した名作ね
 これまた渋いチョイスですな
 みんな若いのにね、何故かシブ好みでね、一応みんなからやりたい本を募集して、んで、こんな面白い本ですよってプレゼンやって、皆で本読みまでやって、投票して決まったのね
 民主的な劇団だ
 どこぞの代表みたく「今年これやるから」みたいな決まり方じゃなくね
 それは・・・もしや飛ぶ・・・
 まあまあまあ(笑)
 そんなモルモット達のお芝居、『想稿・銀河鉄道の夜』の劇中歌を
 何故か達夫さんにお願いしたいっていう
 うん、でも、前の『地蔵さんが転んだ』でもやったしね
 あー、あの曲は良かったね
 ありがとうございます。大変だったけど
 何回も作り直してたよね
 ・・・・・・・・・・。
 まあまあまあ、昔の話はやめときましょうか(笑)
 今を生きようよ、今を
 何だっけ?まあそういうことでシアラボの現場の音響担当の
 音響さんもシアラボのメンバーがやってんだって?
 そうそう、全部劇団員でってのが原則だから

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 そのモルモットな音響担当さんから
 是非達夫さんに作曲していただきたいと
 北村想作詞『りんどうのうた』の曲を
 元々戯曲に詞が書かれてて、で、この本を演出したことのある岩崎正裕さんに聞いたら、それはどうやら作詞・作曲:北村想だったらしいと
 だったら曲はコッチで勝手に作っちゃおうかということで、わたくし達夫に仕事がまわってきました
 一応、メンバーで曲作ってみたら?って振ったんだけどね、それより大変な事があったみたいで
 何があったか知らないけど、そのおかげで達夫は仕事をいただきました。幼い弟や妹たちにパンを買ってあげられます
 弟や妹たちって、あのヌイグルミのね(笑)
 そして演出:泊篤志さんの要望もいい加減で
 まあまあまあ、ね、いい加減じゃないよね
 童謡っぽく
 逍遙歌っぽくってコトで
 まあ作ってみました
 あれ、沖縄民謡のチンサグの花っぽくない?
 またそうやってパクってんじゃないかみたいな話にしようとしてない?
 あぁゴメンゴメン、ついね
 歌詞がね、「りんどうの花♪」と「チンサグぬ花♪」って、歌詞が似てるから仕方ない
 似てるように聞こえてしまう、と
 あえて言わせてもらうなら、歌詞段階でパクってるからどうしようもない
 いや、歌詞はパクって無いと思うけどね
 まあそんなパクらないなりに、作った『りんどうのうた』ですよ
 素朴で素敵な曲ですね
 熱い想いをね、感じてもらえれば
 ・・・ジョバンニとカンパネルラの、ちょっとイイ感じのシーンで歌われますんで、お楽しみに

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 それともう1曲
 曲はもう決めてて
 編曲?
 うん
 オケを作りました
 賛美歌の『いつくしみ深き』を
 インディージョーンズふうにってリクエストで、これ原作には無いんだよね
 原作はもちろん、想さんの戯曲にも無い
 そういうのっていいの?
 戯曲では、ト書きに「尼さんがチャールストンを踊った」ってあるんだけど、何だかその面白さが表現できないなって思って、代わりに
 インディージョーンズふうに賛美歌『いつくしみ深き』を歌う、と
 次のシーンで発掘隊が出てくるし
 なるほど
 まあ、順調に出来たよね
 インディージョーンズは1作目から見てますからね
 こんどシリーズ4作目を作るらしいよ、ハリソン・フォードで
 けっこういい歳なんじゃないの?
 60を越えてんだって
 へー、冒険出来るかな
 まあそれはさておき
 順調にアレンジは完成しまして
 今、稽古場では役者が頑張って勇ましい感じで歌ってます
 でもこのシーンさ、勝手に書き換えちゃっていいの?
 どこと限らず、想さんは「勝手にやっちゃって」な感じだったね
 一応、許可は取ったと
 許可はもらってないけど、この『銀河鉄道』は想さんの戯曲でも何バージョンかあるらしくって、その最新版を使ってくれという要望はあったけど、細かいことは気にしてないみたい
 オリジナルなシーンであると
 『正しい街』に引き続き、キリスト教に少しこだわってますよみたいな
 まあ、お楽しみにねって感じで
 稽古大変なんだけどね
 やっぱ大変なんだ
 大変!あんまり詳しく言い出すとネガティブになりそうだけど
 演劇の現場はね
 どこも大変ですから
 一度、楽勝な現場とか体験したいね
 ないないない
 ないよねえ
 ということで、今回はシアターラボ07『想稿・銀河鉄道の夜』をテーマに、その劇中歌たちの秘話をお届けしました
 で、芝居はどうなの?
 面白いよ、というかやっぱ宮沢賢治すごいわ
 ほほう
 やっぱラストは泣けるんじゃないかな
 おー
 宇宙の真理をね、体験しに来てください
 次回は新作の話とか
 おお飛ぶ劇の新作のね
 これって歌とか曲とかってあるの?
 いやー、本はまだ全然手ぇつけてないし、まったく分かりません
 早めにお願いします・・・そんな秋の新作の話は、ぼちぼち
 ぼちぼち出していきますんで、予告は3月中にサイトに載ります
 じゃ、ま、そんなとこで

 

 シアターラボ07 『想稿・銀河鉄道の夜』
 

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