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劇団四季 ミュージカル『キャッツ』舞台美術家・土屋氏が明かす、“ゴミのオブジェ”の意味。

15年振りの福岡公演もまもなく開幕!久しぶりにミュージカル『キャッツ』を見る人も、初めて見る人もこれを読めば、キャッツ・ワールドを余すことなく堪能できること間違いなし!です。

それもそのはず、『キャッツ』の初演から舞台美術を手掛ける土屋茂昭氏が、劇場内を埋め尽くす“ゴミのオブジェ”の意味を語ってくれました。
ぜひ、土屋氏の言葉を頭の片隅に置いて、観てみると、また違ったキャッツの世界が楽しめるはず!

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「1983年に西新宿での初演から、キャッツの美術に関わっています。それが初めてのチーフとしての仕事でした。以来30年、一本も欠かさずにやらせていただいています。まだ若かったですし、ピンチヒッターのような感じで抜擢されて参加させていただきました。当時、舞台美術のプランとして、人間が猫の大きさになって見たときに感じる3倍の大きさのゴミが、都会のゴミ捨て場にあるんだと設定されていました。30年前は、劇場の空間を埋めるためにたくさんのゴミを作っていました。お客様が会場に入ってきたら、自分が猫のように小さくなったと錯覚してもらえるようにと思ってやっていました。ですが、2011年の東北の震災が起きた時、劇団四季は『ユタと不思議な仲間たち』という公演を、被災地で避難所にいる方々のために、小中学校の講堂を使って上演するために、まず現地へ下見に行ったんです。その時の被災地の様子は、今キャッツの舞台になっているように、がれきの山がありました。そのがれきの山を見たときに、もしかして僕たちがやっていたのは、、心を持っていなかったのかもしれないと。シチュエーションとしての都会のゴミ捨て場をただ作っていたと気づいたんです。そこから、もう一度、歌詞を読み込みました。劇中で歌う「幸福の姿」の歌詞に、“思い出を辿ってよみがえり、新しい形で生まれ変わった命こそ本当の幸せなのだ”とあります。また、「メモリー」のという歌の中にも“思い出を辿り、歩いてゆけば 出会えるわ 幸せの姿に 新しい命に”というフレーズがあります。要するに、キャッツの舞台に飾っているゴミというのは、思い出のかたまりなんだと、すごく意識するようになりました。演出家や出演者たちも同じ意見でした。2011年以降の今、この作品をやっている意味を私たち自身が強く感じることができましたし、思いを新たにすることも出来ました。ですから、劇場の中にあるゴミたちは、できるだけリアルに作っています。リアルなものというのは、例えばご当地ゴミというのを公演の先々で作りますが、まずお客様自身がゴミに対して思い入れを持ってもらえることが、大事な役割です。そういうゴミたちが公演をやるごとに増えていますので、23年前に百道浜でやった時よりも、15年前に上演した時よりもゴミの数は増えていっているんです。それだけ、ゴミにも、福岡での公演にも歴史が刻まれて行っている舞台なのです」

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【キャナルシティ劇場】

●第1期公演日程
4月20日(日)~10月4日(土)
【料金】S席 9,800円/A席 8,000円/B席 6,000円/C席 3,000円 (税込)
[ファミリーゾーン]S席子ども 5,000円/A席子ども 4,000円
※子ども料金対象 3歳以上・小学校6年生以下

劇団四季予約センター
0120-489444(10:00~18:00)

 

 

 

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