『クローズ EXPLODE』

CINEMA

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東出昌大×やべきょうすけ×山本又一朗プロデューサー
福岡に登場!

絶賛公開中の映画『クローズ EXPLODE』に出演中の東出昌大、やべきょうすけ、そして映画『クローズ』シリーズの山本又一朗プロデューサーが、作品についてや撮影秘話などを語ってくれました。
『クローズ』と言えば、喧嘩上等の男臭い映画だが、その根底にあるのは人間の成長であり、男たちの友情、そして人間愛。未見の方は、ぜひこのインタビューを読んで劇場へ向かってみてください!俳優たちの演技や表情の意味が見えてくるかも・・・。

 

◎完成作品をみていかがでしたか?

東出昌大(以下:東出)
今回は、フィルムでの撮影でしたし、豊田監督がどんな画を撮っているのか実は想像できなかったんです。なので、完成した作品を観たときはとても新鮮でした。役者って、10回、100回と見ないとなかなか自分を客観的にみられないとよく言われますが、僕もまだ主観でしか見られていないですね。自分の芝居の見た目や、こんな風に演じていたつもりだったのにな、と思う部分も多いので、もう少し時間が経ってから見直したいなと思っています。

 やべきょうすけ(以下:やべ)
今回はダンサーの世界一の方がいたり、大衆演劇で名をはせた方や、東出くんもモデルでも活躍されていた方ですし、ホントに様々なジャンルから近い世代の俳優が集まっています。その中で、それぞれの持ち味を生かしつつ作品を作り上げているという印象が強かったですね。彼らが、それぞれのエネルギーを持って、妥協することなく豊田監督に向かっていった姿が、作品からも充分に感じ取れていたと思います。そういったことも含めて、若者が苦労や悩みや葛藤を全力でぶつけている姿が見どころでもありますね。

山本又一朗プロデューサー(以下:山本)
ZEROシリーズから5年経っていますけど、ZEROが三池監督でわかりやすい大エンターテイメント作品に仕上げてくれました。今回は豊田流の一家言がある作品になっていると思います。ZEROシリーズとは趣を変えた、見る人によっては、深水を感じていただけるようなシリーズになったと思っています。そして豊田監督にお願いしたときに、思い描いていた通りの作品になりましたね。

 

◎東出さんは、これまで出演されていた作品のイメージとは全く違いますが、監督からキャスティングの理由を何か聞かれましたか?

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東出
声を掛けていただいた理由は聞いていませんが、僕が演じる旋風雄というキャラクターは、必ずしも不良でありたい、自分を大きく見せたいというのではなく、周りにどんどん巻き込まれていって、その中で挑戦することを自然と感じ取っていく人間だと思うんです。鈴蘭高校の学生たちは「鈴蘭」という学校に入ったからには、テッペンを目指して、というところからスタートするんですね。でも旋風雄はそうじゃない。挑戦することを拒んでる、寂しさから逃げている、そういう姿は現代の若者に通じるところがあるんじゃないかと思っています。そもそも旋風雄は“強さ”を持っているので、わかりやすい煽り方をするのではなく、できるだけ抑えて抑えて、最後の爆発する時に、最大のエネルギーが出せるように役作りをしていきました。

山本
今回、色んなジャンルから俳優の方々に参加していただきましたが、その中でも群を抜いて存在感というか輝きがあったんですね。でも一番の印象は、僕が選ばなくても誰かがきっと選んだだろうと、そういう強いオーラを放っていました。他のスタッフも同じ意見でしたよ。

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◎三池監督と豊田監督の違いは?

やべ
僕の個人的な意見ですけれども、役者の持っているスキルや想いというものを、広げていくのが三池監督です。迷ったり悩んだりすることも含めて全てをオープンにして撮っていく。それをやった上で、足りなさを感じると少し予定調和にならないように崩していくというか。例えば、クローズは、作品自体も熱いので、俳優たちに気合いが入り過ぎてる時があるんです。そういう時は、本番前に芝居とは全然関係ないことを話しかけてくれて、力が抜けた瞬間に撮影に入るということをやられるんです。言葉で多くを語らずに、感じたものをそのまま開かせていくという演出だったように思います。豊田監督は、真逆とまではいきませんが、俳優が用意してきた芝居に対して、無駄なものを削ぎ落していく。その時の芝居で最も大事な部分を際立たせるような演出をされるんです。その本質を俳優に理解させながら、撮影していくという感じです。そこにはとても大きな愛があるというか、この作品だけではなく、俳優としてその先の可能性までも見越した演出をされる監督ですね。

 

◎豊田監督とのやりとりで印象に残っていることは?

東出
この映画の撮影だけでなく、全てに通じることだと思ったのですが、言われてすぐにできるようにするのではなくて、本人が気づくまで、それこそ毎日禅問答のように、芝居って何だろう?旋風雄って何だろう?東出昌大って何だろう?ってそんなことばかりを考えながら撮影していたんです。でも最後まで僕を信じてくださって、だからこそ妥協してOKをださない粘り強さがある。とても愛情深い監督だと感じました。

◎どのような役作りをされましたか?また、撮影中、新しい発見はありましたか?

東出
前作に次いで、映画は2作目なので、経験も無く、芝居も下手だと自分で理解していたので、あまり多くの要素を取込み過ぎても頭が混乱してしまうので、現場でこうしなければ、という葛藤もありましたが、旋風雄として感じることと、かつ自分の中で感じたことのある感覚で、寂しさ、怯えというものを膨らませていき、その中で強さを表現できる方法を監督と一緒に作っていったという感じです。もちろん、アクションの練習などはやりましたけど、基本的な役作りの形はそういう感じでやりました。自分の中で新しい発見ができたことは、クローズ中に悩みながら監督に教えていただいたことが、映画の撮影を離れて別の現場に入ってから監督の言われた意味に気づく、ということがありました。それは、台詞というものは、俳優自身から発せられた時に“台詞”になるんだということだったのですが。これはひとつの例えですが、他にもたくさんあって、豊田監督に教えていただいたことが、これからの俳優の仕事に繋がっていくんだろうなという実感はあります。

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◎実際に喧嘩のシーンは、迫力がありましたが、ケガをされたり大変だったことはありますか?

東出
ケガはたくさんありましたね(笑)監督がアクションを撮りたいんじゃなく、喧嘩を撮りたいんだとおっしゃったので、俳優陣も、ケガしたとか、痛いとかは言わなかったですし、ぶつかってケガしてもみんなハプニングも儲けもんみたいな感じで血が出てもやってましたね。それはもうクランクインする前から、みんなわかっていたことですし、覚悟もしての撮影でしたので。でもカットがかかるともう動けない、みたいなことはたくさんありましたけど(笑)

やべ
とは言ってもね、大切な俳優さんたちですからね(笑)本人たちは一生懸命ですから、鼻血がでていても全然平気でやっちゃうんですけど。ヒヤヒヤしてましたよ。それは、もちろん本気でやることは大切なことなんですけど、実際にケガをしてしまったりすると人間の本能として怖さも出てきますからね。それはケガした方も、させた方も同じなんですよ。そういう心配はするんですけど、逆にそうならないために俳優同士でコミュニケーションを取っていくことで信頼関係が生まれていったりもするんです。

 

◎クローズはほとんどが男性キャストですが、改めて感じる“男気”のようなものがありましたか?
山本
原作に女子がワンカットも出て来ないんですよ。そういうこともあって、とても男臭い世界を描いているんですが。でも、男と女ってそんなに感性が違うとは思っていないんです。特にこの映画は恋愛ものではないので、そういう意識はないですね。少年から大人になっていくときに、とにかくテッペン目指していくんだ!という純粋な衝動で動く。荒々しいシーンや表現も多いですが、根底にあるのは純粋で、まっすぐな気持ちがある物語です。性別の違いがあるので、表現方法は違いますが、男女関係なく、初期衝動の勢いのある作品になっていると思います。

やべ
僕がよく聞くのは、喧嘩とかはやらないので、こういう映画を観るとスカッとする、とは言っていただきますね。でもこの映画に出てくる学生たちは、絶対に“悪い人”ではないんです。人って出会い方によって、ライバルになったり、親友になったりということがあると思うんです。その中でも純粋な気持ちで、向かっていく。だた、それが解決方法として喧嘩ということになっているんですけど、自分の気持ちを投影してもらって、気持ちを感じて欲しいですね。前作から言っていますが、暴力を肯定したくてこの作品を作っているのではなくて、弱いものを守る、強いものに向かっていく。そういう若者の姿を描いた熱い作品です。

東出
お二人と同じようなことですが、怒るときも根底には愛があるんです。ただ、癇癪だけで怒るのと、愛情をもって怒るのとでは、怒ることに意味があると思うんです。殴る蹴るというシーンを女性が観ると、きっと痛々しいと思うのですが、男同士で殴り合ってもその先に愛情があるのであれば、それは愛を確かめるためのひとつの表現でもあるんです。なので、根底に愛を持っていたとしても殴り合うということは、男特有のものなのかもしれないですね。

 

◎最後に、映画『クローズ EXPLODE』の見どころや好きなシーンを。

やべ
全てが見どころなんですが、病室のシーンがあるのですが、そこのシーンは、台詞や撮影の段取りを越えて、自分たちの言葉として出てきたものなんだと感じた部分でもあります。男の子からこの現場を経て、男になったんだと感じた部分ですね。屋上で東出昌大くんと早乙女太一くんが喧嘩をするシーンは、まさに男を感じる素晴らしいシーンですね。

東出
豊田監督が、現場に入ったときに、スタッフさんや俳優部のみんなに使い捨てライターを配ってくれたんです。そのライターに「永遠に消えない火は、俺たちの中にある」という豊田監督の言葉が書かれていたんです。クランクインする時に、俳優部全員を集めて、俺たちは現代の孤児だ。と話してくれたんです。役の設定として旋風雄は孤児院で育ったということもあるんですが、みんな寂しさや情けなさを抱えているんですが、その永遠に消えない火を心の中に灯しながらがむしゃらにやっている。豊田監督が描く、男の情けなさ、寂しさを抱え、怯えながらも頑張っている男たちの姿を楽しんでいただければと思います。

 

 

印刷用_クローズEXPLODE_ポスター

『クローズ EXPLODE』(PG12)
全国東宝系にて公開中!

http://www.crows-movie.jp/

【キャスト・スタッフ】
東出昌大 早乙女太一 勝地涼 KENZO やべきょうすけ 深水元基
ELLY 岩田剛典 永山絢斗 柳楽優弥 ほか

■原作:※高橋ヒロシ『クローズ』(秋田書店)
※高→はしごだかです 。
■脚本:向井康介
■監督:豊田利晃

【ストーリー】
『クローズZEROII』から1カ月後。滝谷源治、芹沢多摩雄らが卒業し、新年度を迎えた鈴蘭高校では、空席になった“頂点”の座を狙って、新3年生達が次々と名乗りをあげていた。頂点に最も近い男・強羅徹(柳楽優弥)、そのライバルと目される高木哲次(KENZO)、5人衆を束ねる寺島聡司(遠藤雄弥)、お調子者を装うキレ者・小岐須健一(勝地涼)。しかし2人の男の登場によって、鈴蘭の勢力図は大きく変わる。「自由気ままに生きたいだけ」と頂点争いに興味を示さない3年の転入生・鏑木旋風雄(東出昌大)と、本能のまま好戦的に暴れる新1年生・加賀美遼平(早乙女太一)。およそ接点が無く対照的な2人が、やがて鈴蘭史上最大の抗争の中心人物になっていく—。
一方、鈴蘭の近隣校・黒咲工業高校を束ねる柴田浩樹(岩田剛典)は、暴行事件でドロップアウトした藤原一(永山絢斗)の存在に頭を悩ませていた。バイクチームO・D・Aのリーダー織田政志(柳俊太郎)とともに、周辺の不良高校生達に次々と襲撃を仕掛ける藤原。その真のターゲットは、柴田率いる黒咲と、近隣最強と謳われる鈴蘭高校だった。鈴蘭内部の一大抗争に加えて、外部勢力から侵攻…いままさにクローズ史上最大の戦乱が始まろうとしていた。

(C)2014高橋ヒロシ/「クローズEXPLODE」製作委員会
※高→はしごだかです

 

 

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