• HOME
  • INTERVIEW
  • 北九州芸術劇場プロデュース「LAND→SCAPE/海を眺望→街を展望」の稽古場へ

北九州芸術劇場プロデュース「LAND→SCAPE/海を眺望→街を展望」の稽古場へ

INTERVIEW

本番まで一週間となった、北九州芸術劇場プロデュース「LAND→SCAPE」の稽古場にお邪魔しました。
ちょうど稽古場にお邪魔した時は、藤田さんがみんなの動きをみながら最終的に台詞を細かく決めていく作業を進めていた。その様子はマームとジプシーのあの熱量のある舞台からは想像がつかないくらい、ひとつひとつ丁寧に積み重ねられる言葉で世界観を作り上げているよう。
役者が言葉を発してみて、それを台本にする。その繰り返しの作業は、作品という地層を作っているようにも見える。藤田さんの描く世界が、今どんな風に頭の中に描かれているのが、役者は体現しながら自分の中に落とし込んでいっているようだった。出演者は21歳~64歳までのまさに老若男女の20人。これまでの藤田作品の中では最多数のキャスト。これだけのキャストの記憶をどのように行き来させるのか。稽古を見ていてとても興味が沸いてくる。そしてこれまでにないプロデュース作品になりそうでもある。

台詞だけのやりとりに、音楽が入ると一気に世界観が作り上げられる。稽古を拝見したのは2時間強の作品中のほんの一部だったけれど、どんな作品に仕上がっていくのか楽しみになってきた。参加した地元の俳優たちは、この世界を生きることで、本来持っている自分の人生の価値観さえも変わるのではないだろうか。現に私は、何本か観た藤田作品によって、これまでの、これからの自らの生きる道の見え方が変わったのだ。多分、この作品を観る人たちも、本作を観る前と観た後では、人生も街も変わって見えてくるかもしれない。そんな予感さえさせてくれる稽古場だった。

小倉の町をみんなで海に向かって歩いていく。それは、ひとりひとりの“喪失”を探す道のり。実際の記憶の中には、本人が記憶しているもの以外に失っている ものがある。記憶と喪失が、それまでの人間を形成しているのだ。海までの道で出会うものは、彼らが得て来た記憶であり、失っている記憶もある。彼らが進む 道の、途中には旦過市場があり、平尾台があり、様々な町の景色が積み重ねられていく。そして、海から出て行くのだが、その先に見えるものは、その後に残る ものは、、、。

 

 


撮影:木寺一路(FU.)

【北九州芸術劇場・小劇場】
北九州芸術劇場プロデュース「LAND→SCAPE/海を眺望→街を展望」
■2012年11月13日(火)19:00、14日(水)14:00、15日(木)14:00・19:00、16日(金)19:00、17日(土)13:00・18:00、18日(日)13:00
■作・演出/藤田貴大(マームとジプシー)
■出演/荒巻百合、大石英史、折元沙亜耶、小林類、佐藤友美(劇団C4)、田口美穂、田中克美(超人気族)
中嶋さと(14+)、仲島広隆、中前夏来、鍋島久美子、野崎聡史(ZERO COMPANY)、船津健太、的場裕美
森岡光(不思議少年)、安永ヒロ子、李そじん/尾野島慎太朗、成田亜佑美、吉田聡子

■料金/一般3,000円、学生(小〜大学生・要学生証提示)2,500円 ※当日500円増
ローソンチケットLコード85769 チケットぴあPコード419-179
北九州芸術劇場プレイガイド
北九州芸術劇場HP/http://www.kitakyushu-performingartscenter.or.jp/index.asp

ピックアップ記事

関連記事一覧