3.14(sat.)公開 映画『風に立つライオン』大沢たかお×三池崇史監督

CINEMA

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九州・長崎の実在する医師をモデルにした映画『風に立つライオン』
大沢たかお×三池崇史監督が舞台挨拶で語った、作品への想い。

1987 年にさだまさしが発表した楽曲『風に立つライオン』。アフリカ・ケニアで巡回医療に携わった、長崎大学医学部出身の日本人医師(柴田紘一郎医師:現在は宮崎在住)をモデルに作られたこの曲は、日本に残してきた恋人に宛てた手紙を歌にのせ、壮大なスケールで綴る名曲。その曲に惚れ込んだ俳優の大沢たかおが、小説化・映画化を熱望したことから、今回のプロジェクトが始始まった。メガフォンをとるのは、世界が注目 する鬼才・三池崇史監督。遠い祖国への想いを胸に、ケニアで医療に従事する主人公の医師・航一郎を大沢たか おが熱演。美しく壮大なケニアを舞台に時代と国境を超え、命と闘う日本人医師の感動の物語。

■大沢さんの企画ということですが、「風に立つライオン」という歌を映画にしたいと思われたのはどうしてですか?

大沢
僕自身がこの音楽の主人公を小説で読んでみたくて、もっと言うとそれを映画でみたいと思い続けただけなんです。約5年くらいは完成までに時間がかかりましたね。映画を観ていただく前に色々話をしてしまうと、何かが壊れてしまうようで恐いのですが、これは三池監督でなければできなかった作品だと思います。なので、三池監督が撮ってくださることに決まったときは、一気に映画化への道が開けた感じがしました。作品を見たときもそうですが、監督に撮ってもらうことで、この「風に立つライオン」が音楽から小説になって、映画になったものが最後のステージに上がれたんだなと感じています。

■監督はオファーを受けられたときはいかがでしたか?

三池
僕でいいのかな?と思いました(笑)小説を読ませていただいて、主人公の島田航一郎という人を記録していくという気持ちで撮っていこうと思いました。なかなか映画にしにくい作品だとも思ったんです。ですが、映画ができる可能性や、映画から受ける感動を信じたいと思っていました。ただ最後に涙を流して、一気に感動して終わる、という単純なものにしたくなかったですね。

■ケニアや長崎での撮影はいかがでしたか?

大沢
もちろんケニアは楽な場所ではないですよね。ただそういうことが全部本物になっていると思います。汗や埃やハエやそういうもの全てが本物なので、そういう場所にいると段々自分もむき出しになってくるんです。そういう部分も監督に撮っていただいて、できるだけ嘘のない自分を観ていただけたらと強く思えた作品でしたし、そういう現場でした。

三池
ケニアでは大規模なロケだったので、全く未知の現場ではあったんです。長期で撮影をやるのも初めてでしたので、手探りではありました。でも島田航一郎という人もそういう思いで行ったと思うので、僕らもそこは避けて通ってはいけないと思いましたね。でも行ってみたら手強い場所ではありましたけど(笑)手応えもありました。

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■大沢さんは現地で竜巻に巻き込まれたとか?

大沢
小規模の竜巻ですけどね。でも誰も助けに来てはくれなかったですね(笑)自分の身は自分で守れ、というような現場だったので、そういう部分も映画の主人公も同じ立場だったと思うので、何か彼に近づけた感じはしました。彼も同じ状況だっただろうし、同じようなことを乗り越えてきたんだろうなと感じられました。現地の方々と接することも映画に大きな影響を与えてくれていると思います。

■長崎でも撮影されたんですよね。

三池
さだまさしさんも長崎のご出身ですし、この主人公も長崎大学の出身でしたので、長崎の土地の風土やそこが作りだした人間性のようなものがこの映画の出発点ですので、五島列島で撮影しました。地元の方々も積極的に協力していただけましたし、我々が作ろうとしている内容に賛同していただいて参加していただきました。この映画ではとても大胆なことをしているんです。実は、ケニアで出てもらっている子どもたちは現地の素人さんなんです。もちろん長崎でも、本当に街の高齢者の方々に嫌がるのを無理矢理(笑)やってみましょうよ!と言って出ていただいているんです。なので、他の映画にはない独特なリアリティーが生まれていると思います。作る、というよりも記録することができた、という感じです。

■最後に一言お願いします!

大沢
この作品、登場人物、そして発端である楽曲も小説も九州で生まれています。出来上がってようやく九州に持ってくることができたことを本当にうれしく思っています。もうこの作品は、九州の100%の方々に観ていただかないといけないと思うんです(笑)僕たちが思う、長崎、九州を生きた人たちの物語なので、僕が感じた感動のバトンがみなさんに届けばうれしく思います。

 

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「風に立つライオン」
3.14 sat.全国東宝系にてロードショー

原作:さだまさし「風に立つライオン」(幻冬舎文庫)
監督:三池崇史
出演/大沢たかお 石原さとみ / 真木よう子
萩原聖人 鈴木亮平 藤谷文子 中村久美 山崎 一 石橋蓮司

〈2015年・日本・139分〉 http://kaze-lion.com/

(C)2015「風に立つライオン」製作委員会

【ストーリー】美しく壮大なケニアを舞台に、一人の日本人医師がつないだ「希望」のバトン――
1987年、日本人医師・航一郎(大沢たかお)は、大学病院からケニアの研究施設に派遣される。アフリカ医療に生涯を捧げたシュバイツァーの自伝に感銘を受け医師を志した航一郎にとって、それは願ってもいないチャンスだった。しかし、それは恋人との長い別れも意味していた。父の跡を継ぎ、女医として離島医療に従事する貴子(真木よう子)を遠く日本に残さなければならなかったのだ。
理想を胸に研究と臨床の充実した日々を送っていた航一郎は半年後、現地の赤十字病院から1か月の派遣要請を受ける。物見遊山のつもりで赴いた彼は、重傷を負って次々と運ばれてくる少年が、みな麻薬を注射され戦場に立たされた少年兵である事実に愕然としながらも、この病院への転籍を志願する。 過酷な状況ながらも生き生きと働く航一郎は、医療団からの信頼も厚かった。一方、同病院に看護師として派遣されてきた和歌子(石原さとみ)は、確かなスキルと手際の良さで、航一郎と時折ぶつかりあいながらも互いに認め合っていく。そして、心に傷を抱えた少年たちを「オッケー、ダイジョブ」と温かく包み込む航一郎は、いつしか少年たちの良き友であり、師となっていた。
そんなある日、病院に少年兵・ンドゥングが担ぎ込まれる。 彼は銃傷よりも、両親を目の前で惨殺され、麻薬でかき消された心の傷が甚大だった―― 航一郎は、そんな彼の心の闇に真正面から向かっていくのだが…

 

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