そこにある、街の色といっしょに。

「踊りに行くぜ!!」と言えば、今や全国区のダンスイベントとして、その地位を確立し、若手ダンサーの登竜門的存在になっているほど。コンテンポラリーダンスと言えば、なんだか解らないと思いがちだが、よく知ってみるとそんなことはないのだ。思い描く世界を自分の身体で表現できる、ストイックでありながらも“自由”がそこにある。演じる者、観る者が魅了されるのは、そういったフリーな感覚なのではないだろうか。

「踊りに行くぜ!!」のII(セカンド)として開催されるこのプロジェクトは、ダンス・イン・レジデンスによって制作された作品を全国巡回という形で行われている。全国巡回と言っても、同じ作品がまわるのではなく、全国から応募された新作作品から4作品を選抜して上演されるダンスプロダクション・サポートプログラム、公募から選ばれた振付家・ダンサーが地元に滞在して作り上げるリージョナルダンス・クリエイション・プログラム、地元アーティストにより選抜された作品などが、全国各地を巡回する。
今回リージョナルダンス・クリエイション・プログラムに参加し、福岡に3週間滞在して作品を作り上げる振付家・ダンサーの平原慎太郎さんにインタビュー。

 

■そもそも、平原さんがリージョナルダンス・クリエイション・プログラムに応募された理由は何ですか?

この企画はもともと知っていたんです。というのは、僕が19歳の時に、実は応募したんですよ。当時は北海道に住んでいましたから、初めて創作して札幌の選考会に応募して踊ったんですけど・・・落とされたんですよ。それで、絶対ここのイベントとは関わるの止めようって思って(笑)普通、19歳の意欲的な少年が作品つくったら、まぁ通すじゃないですか。作品はともかく、そういうモチベーションの高さだけでやって。でも意欲だけではダメだった(笑)それからこのイベントに個人的に勝手に距離をおいてしまったんですけど(笑)あれからもう随分経って、ようやくきちんと作品も作れるようになってきたので、今度は自分が踊る側よりも創る側に100%回れる環境が欲しいなと去年くらいから感じ始めたので、もう一回チャレンジして距離を縮めてみようかなと。

■自分で作品を創るダンスプロダクション・サポートプログラムもあるのに、なぜ滞在して作品をつくる方にされたんですか?

作品だけ創るんだったら東京で自分がいつもやっているメンバーと創ることもできるし、むしろそっちの方がやりやすいのかもしれないですが、それだといつもやっていることと何も変わんないんですよね。だからそれよりは、作品に関わる人自体をチェンジさせるっていうか。知らない人達といっしょにモノ作りをする方が純粋に作品が創れるし、その方が今後の活動の幅が広がるんじゃないかなと思って。

■今回の作品のテーマはどうやって決めたんですか?

街づくりみたいなものをしてみたいと思ったんです。最初の構想ではジオラマみたいな物(作品)をみんなでつくろうという気持ちだったんです。架空の街を作って。それを上演し終わったら、設定も作品自体もなくなる。僕の言葉で言うと「壊れる」っていう感覚なんですけど。それを模擬、疑似体験させたいなと。

■どうしてそれが“街”だったんですか?

ちょっと大袈裟になっちゃうんですけど、やっぱり震災の影響がすごい大きくて。街がいくつも震災によって破壊されたような感じを受けたんですね。東京でも人が街から離れようとしていた時期がありましたから。それこそ福岡に引越しする人が増えたりとかね。

■確かにそういった部分では人間の考え方の根本が変わてしまうような出来事でしたね。

それを体験した時に、「あっ、俺ってすごいオートマティックに生活してたんだな」っていう風に感じたんですよ。じゃあ、その事をもう一回ちゃんと意識してみようかと。何がオートマティックな生活にさせているのかっていうのを意識することに、すごく興味が沸いてきたんです。それで、生活することとか、街っていうものをちゃんと意識したいなって思ったことがきっかけでした。

■オーディションをして、キャストの方を選ばれるわけですが、何を基準にされたんですか?

本来ならダンス作品なので“踊れる”というのは大前提なんですよ。でも今回はちょっとそれを少し変えてみたんです。もちろん踊りのレベルでもある程度は判断してるところもあるんですけど。今回は見た目で興味が沸く人を選んだんです。見た目と言うと語弊がありますけど、例えば小柄な眼鏡をかけた男性だとか、ちょっと大柄なセクシーな人とか。そういうキャラクターがバラバラな人達が、横一列に並ぶとそれだけで僕は勝手にインスピレーションが沸いちゃうんですよ。そこが意外に重要でした。なので、1mmもキャラはかぶってないです(笑)

■滞在してから1週間以上経ったわけですが、そういう人たちや街と実際に付き合い始めて、改めて平原さん自身が感じたことってありますか?

1番問題なのは、相手の事を知ってる量が違うってこと。僕はオーディションをしているし、踊りも見ている。そこに結構ヒントがあるんですよね。彼らは例えば僕っていう人間は付き合ってみて分かるかもしれないですけど、僕の作品に出会ったことのある人は少ない。そうすると、何を創ろうとしているのかをつかむまで苦労しているのが分かるんですよね、それを補えるのって現時点では言葉だけだし。じゃあ言葉が通じるかっていったら、通じないんですよね、やっぱり。例えば「静かに歩く」って言う動きにしても、静かってどういう静かなのかっていうのが個々全然違うわけですよ。

■作品作りにおける共通言語が少ないんですね?

そうなんです。作品だけだと映像で見て確認することも出来るんですけど。プロセスは見えないですよね。やっぱり作品になる、その手前が結構大事だったりするんですよ。いわゆるメソッドって呼ばれるもの。僕の場合はそれが結構あって。その感覚を掴むのがちょっと面倒くさそうですね(笑)でもそこで僕が感じたのは、東京で作品作りとは別にレッスンとかやってるんですけど、あっ、これってみんなと感覚を共有する為にやってるんだなって。改めて思いました。だから、今回は省こうかなと思っていたワークショップをやっぱりやることにしました。言葉を共有するためにも必要ですからね。

■初めて住んでいる街ではない土地に単身でやってきて、モノつくりをしてみてどうですか?ほぼ1ヶ月近く居て、そこで期限付きの作品をつくり上げていくのって、どういう感覚なのかなと。

環境ってクリエイターにとってとても重要だって改めて感じました。でも福岡の街っていうのを感じるなって思っていたのは最初の3日間でしたね。今も、もちろん思っているんですけど。なんだかこの環境に自分がなじんできてるのがよくわかるんです。福岡はなんか福岡の色があるんですよね。もちろん北海道には北海道の、東京には東京の街の色があるんですけど。そのどれとも違う色があるなって思ってます。

■そういう街の違う空気を感じるということは、この作品にも反映されるものなんですか?

そうなんですよ。やっぱり生活の中から作品は創られるんですよ。だからクリエーターにとって、作品作りができる環境がどんなものかっていうのはもの凄く影響してくる。だから、今回福岡で創る作品は、やっぱり福岡の色になるんだと思います。実際、そういう感覚に僕はなっているので。
まだまだ制作途中ですが、今、ようやく色んなものがクリアに見えだしてきたんです。それを作品作りに繋げて行きたいですね。みんなを巻き込んで(笑)なので、楽しみにしててください!

 

JCDNダンス作品クリエイショオン&全国巡回プロジェクト
イムズパフォーミングアーツシリーズ2012 vol.2
「踊りにいくぜ!!」Ⅱ vol.2福岡公演

【イムズホール】
■ 2月18日(土)19:00
「MESSY」
■ 作・演出/菅原さちゑ
■ 振付・出演/田中夢、緒方佑香、菅原さちゑ
「YOU GO」
■ 作・演出・構成/中島誠、佐々木藍紗
■ 振付・出演/新田康史郎、藤井咲江、本間達也、中島誠
「空の街」
■作/平原慎太郎
■ 出演/荒木良子、金崎明子、佐伯理紗、田上玉緒、西岡樹里、松井英理
三枝眞希、井口誠司、日置あつし、高山力造
「サガシモトメテ」
■ 作・演出・構成/やべかつひさ
■ 振付・出演/五島真澄、竹内元一、やべかつひさ
■ 料金/
一般 前売2,500円 当日3,000円
学生 前売1,500円 当日2,000円
■チケット取り扱い/
JCDNダンスリザーブ http://dance.jcdn.org/
〈チケットぴあ Pコード〉417-503
〈ローソンチケット Lコード〉84417
メガチケットアートリエ(博多リバレイン地下2F)

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