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5月28日(土)に公開の映画『ヒメアノ〜ル』。「行け!稲中卓球部」「ヒミズ」の古谷実の人気コミックを映画化。主演を森田剛が務め、濱田 岳、ムロツヨシらの実力派が共演。『純喫茶磯辺』や『さんかく』を手掛けた吉田恵輔が監督を務め、平凡な男の日常とその恋人を狙う殺人犯の凶行と心の闇を 同時進行で描いていく。

本作で主演をつとめた森田剛、濱田岳、吉田恵輔監督にインタビュー。

■話題のコミックが原作ですが、実写化となると役の捉え方が難しかったのではないかと思いますが、どのように役作りをされましたか?
森田
森田正一という役は、考えても解らないというか、理解ができない人だったので、監督と初めてお会いした時に、現場に入ってとりあえずやってみないと解らない部分が多いね、という話になりました。なので、そこはすんなり役に入れたんです。でもその中でリアリティーを求められますし、アクションのシーンも多かったので、本気でぶつかるということを何回もやりました。

■脚本を読まれてからの役の印象と、演じられてからの役の印象は変わりましたか?
森田
可哀想なヤツだなとは、思いました。そう思うことによって役に近づけたかなと思いますし、人を殺すというのは理解できないし、いけないことですけど、“いじめ”ということが森田という役には大きく関わってきている事なので、そこもすごく考えさせられました。

濵田
映画の冒頭で僕が演じた岡田という役の説明をするんですね。「夢がなくて、どうしていいかわからない」という台詞があるのですが、人生の先輩からしたら、今どきの若いヤツは、って言われる代表格みたいな男です。でも初めてこの映画を観られる方々からしたら、岡田目線だと映画の中に入って行きやすいのかなと。なので、これといって突飛なことをするわけではなく、でも、岡田くんとしては日常的にラッキーとアンラッキーがほぼ同時に起きるというか。本当に普通の男の子なんです。だからムロツヨシくんが演じていた安藤さんは、岡田くんが生きてきた中でまず最初に出会う怖い人なんですね(笑)。それを森田くんに出会うことで早々に記録が更新されるんです。岡田くんにしたらとても不幸な数日間だっただろうなと。でも方やユカちゃんという、高嶺の花というか自分でもイメージしていなかったようなかわいい子から逆告白をされて、ホントに人生の最高にハッピーなところからどん底に落とされるという。ある意味、周りの役者さんたちに振り回されていたらそれでいいかなと思っていました。

■森田さんはこの役を受けることに躊躇はなかったですか?
森田
全くなかったです。むしろやりたいと思いました。

■出来上がった作品を観られてどんな感想でしたか?また、お二人真逆のキャラクターを演じられましたが、それぞれの役をお互いにどのように観ていましたか?
森田
いいな〜って思いました。楽しそうだな〜って(笑)。先日イタリアの映画祭で上映した時も、お客さんがラブシーンですごく盛り上がっていて、濵田くんのシーンも結構ウケていてうれしかったです。
監督
でも嫌でしょう?部屋でチュッとかする役って苦手でしょう?(笑)
森田
苦手ですね(笑)(濵田くん)うまいな〜と思って観てました。
濵田
ウケていたのであればやってよかったなと思います(笑)。僕は僕で一生懸命だったんですけど、出来上がりであの対比になっていくというのは、監督ってすごいなと思いました。実は撮影中、現場のスタッフも「あ〜明日は森田のシーンだね。。。」って言っていたので、なんでそんなに暗い気持ちになっているんだろう?って思っていたんですけど、映画を観て意味が解りました。やばいな、この人と思って。もちろん台本では読んでいるんですけど、警官を殺すシーンでもあんな殺し方をしてたんだと思って。お客さんとして観てもとてもショッキングでした。

■森田さんは映画全体を見られた感想はありますか?
森田
おもしろかったです。映画が始まって、しばらく僕はそんなに出ていないので、前半はすごい楽しく観ました。台本を読んでいる時に、森田のラストの台詞に「お母さん」という言葉が出てくるんですけど、その言葉にすごく惹かれたというか。もしかしたら森田は、お母さんの愛情を受けていなかったのかなとも思うし、男の子にとって思春期でのお母さんの存在ってすごく大事だから、そういう意味でもラストもすごく素敵だなと思いましたし、自分自身も楽しんで観ることができました。

■監督の出来上がりの手応えはいかがですか?
吉田監督
最近ずっとほのぼのとした映画を作ってきていたんですけど、自主映画も昔から撮っていまして、デビューする前は割とこういうトーンの映画を作ってきていたので、むしろこちらの方が得意なんです。なので、そんなに悩むことなく楽に撮っているというか、大体クランクインの初日、二日目は、メイキングで撮られて、初日の感想どうですか?って聞かれるんですけど、今回は本当に初日からこんな手応えは初めてだぞ、と。その手応えのまま最後まで撮影できたのでかなりの手応えを感じていますね。

■原作があるものを映像作品に置き換える時の、この作品におけるポイントというのは?
吉田監督
これを僕が言っちゃいけないですけど、本来は、やっちゃいけない作品だと思うんですよ。この作品の一番のテーマである森田の葛藤を、原作では丁寧に描かれているんですね。でも今回の映画ではそれを描いていないというか、感じさせる程度にしているんです。あの濃い漫画での森田の心情を100分位の映画で描くとなると、ものすごく中途半端なものになってしまうと思ったんですね。中途半端にしてしまうと、その殺人鬼がどんな生い立ちとか知らねーよ、という感じの作品になってしまう。そうすると、この原作の持つ意味合いが曲がった形で伝わってしまうんじゃないかと。でも原作の持つパワーというか、やりたい部分はものすごくあったので、アプローチの仕方を変えさせていただいて、僕なりにアレンジして「ヒメアノ〜ル」の面白さは伝わるようにバランスをとったつもりなので、原作ファンの方がどう捉えられるのか、正直、今いちばん怖いですね。森田くんのファンに対しては全く心配ないです。逆に減るくらいを期待していたんですけど、先日試写会でみた感じだとめっちゃファンの人たちが喜んでいたから、なんかちょっとガッカリしたんだよね(笑)

■先日のイタリアでの映画祭での観客の反応はいかがでしたか?
森田
めちゃくちゃウケてました。特に前半の濵田さんとムロさんのシーンとかでもゲラゲラ笑っていました。こんなに笑ってていいのかな?って、この後すごいことになるのにな(笑)とは思っていましたけど、面白がって観てくださるのは、うれしかったです。日本での反応が楽しみになりました。
吉田監督
中には一人、途中で泣きながら出てきた人もいて、しめしめと思っていたんですけど(笑)基本的には笑い上戸な感じでした。あと記者さんたちの質問から、みんないじめ問題に関心があるんだなというのが、イタリアの印象ですね。特に日本のいじめ文化みたいなものが、向こうにはものすごく重くみられている感じがして、僕は正直、お宅の国にもあるでしょ、って言ったんですけどね。きっと制服の感じとかもあるんでしょうね。日本のいじめってものすごくディープだぞ、みたいな印象を持っているようなので、森田のいじめのシーンとかも、これか!みたいな感じはありましたね。

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『ヒメアノ〜ル』(R15+)
5/28(sat.)TOHOシネマズ天神  ほかにて全国ロードショー

【監督】吉田恵輔
【原作】古谷 実「ヒメアノ~ル」(ヤングマガジンKC所載)
【出演】森田剛、濱田岳、ムロツヨシ、佐津川愛美 ほか

http://www.himeanole-movie.com/

Ⓒ2016『ヒメアノ〜ル』製作委員会