OLYMPUS DIGITAL CAMERA

TEAM NACSのメンバーであり、映画やテレビドラマでも活躍する安田顕が主演を務める映画『俳優 亀岡拓次』がいよいよ1月30日(土)に公開。

亀岡拓次は、映画やテレビドラマなど、誰もが“どこかで見かけたことのある”役者。だけどパッと名前が思い浮かぶことはない。泥棒、チンピラ、ホームレス……演じた役は数知れず。声がかかればどこにでも、どんな役でも駆けつける。37歳独身で、彼女もナシ。趣味はお酒。ひたすら撮影現場と酒場を行き来する日々を送っている。恋に奥手で、生き方は不器用。

映画・ドラマ・舞台などで、まさに名バイプレイヤーとして活躍する安田顕。この愛すべきキャラクターの亀岡拓次を、まさに安田カラーで、脱力感たっぷりに演じきった。

“人生は主役ばかりじゃないさ”。そう優しくつぶやき、そっと疲れた背中を押してくれるような、ハートフルな人生賛歌をつくりあげた、横浜聡子監督にインタビュー。

◆原作を読まれて、どのような感想を持たれましたか?
亀岡拓次という人自体も含めて原作はとても淡々としているんですよ。何か起こっているけど、亀岡の人生を覆すほどの何かではない。その淡々とした日常の中に、読んでいるこちらが想像を膨らませられるような、余白を感じたんですね。確固たる物語があって、強いキャラクターがあって、という小説だと、こちらの想像が入り込む余地が実はないんです。ですが、この原作は亀岡拓次の世界で何でもできるというか、映画化する上で自由にできるんじゃないかと。起承転結の物語ではないという所に逆に可能性を感じました。

◆原作は淡々と進む物語ですが、映画の構成はどのように考えられていましたか?
原作の中で、一番大きなストーリーは、居酒屋でのシーンなんです。原作の中にもあの居酒屋は登場しますし、亀岡が2回居酒屋に行って安曇(アヅミ)さんにフラれるというシーンがあるのですが、そこを半分に分けて映画の最初と最後に持ってくれば、ストーリーというか、一本の糸のようなものは作れるなと思いました。その間に関しては、亀岡が色んな現場を転々としている、ロードムービーという感じで自由にやれるんじゃないかと思って、最初と最後だけは最初に決めてシナリオを書き始めました。

◆安田顕という俳優は、どんな俳優でしたか?
とにかく真面目な方なんですが、その真面目さをあまり表に出さない。おそらくシャイな方だと思うんですけど、ご自分が辛いこととか、苦しいこととかをあまり見せないんです。いい意味で、何を考えているかわからないというか。亀岡拓次も自分の気持ちを言う人ではないので、解りづらい人間なんです。安田さんもそんなに言葉で語る人ではないので、役との共通する部分はたくさんあった気がします。

◆撮影中、思っていた以上のものが安田さんから出てきたりしたことはありましたか?
実際に撮影に入ってみないと解らないので、あまり想像せずにクランク・インを迎えたんです。映画を観ていただいた方の多くが、亀岡の目が死んでいると仰るのですが(笑)、それって生気の無い目というのともまた違っていて、何を考えているか解らない、という目なんですね。そこに関しては、安田さんが作り上げたものですね。現場でその演技を観たときに、あ、そうか、亀岡ってこういう目をしてるんだ、と初めて腑に落ちました。亀岡拓次という人物を、安田さんと一緒に日々手探りで作り上げたという感じです。

◆俳優さんの裏側というのは、なかなか見られない世界ですが、リアルにあんな世界なんでしょうか?
私も映画の現場にずっといるので、戌井さんの小説を読んだ時に、すごいわかるな~と思いました(笑)。俳優あるあるじゃないですけど、そんな感想は持ちました。自分の知っている世界が、そこに書いてあったので、私自身は小説世界に入りやすかったです。戌井さんが文字にしてくれたおかげで、映画の撮影とか、物を作る現場ってこういう感じだよなと、改めて認識しました。客観的に書かれているものを読む事で、私ってこういうことをやっていたんだと、改めて気付くこともできました。

◆原作の戌井さんとは、何かお話をされましたか?
映画化に関しては、横浜監督に全てお任せしますと一番最初に言っていただいたので、だからこそ、想像を広げることができたし、でも、要所要所で、戌井さんにお会いして、意見をいただいたりはしました。でも、大きな反対意見はなかったです。戌井さんの懐の広さのお陰でこの映画を作ることができました。

◆脚本に起こすときに苦労されたことはありますか?
戌井さんの小説は昭和の匂いがするんです。おそらく、昭和の音楽や昭和のスターとか、昭和の下町感というか庶民感というのがお好きなんだと思います。そんな昭和の空気感の表現がとても難しかったです。小説を読んでいると、亀岡が行く居酒屋とか泊まっているホテルとか、すごくイメージが湧くんです。しみったれた世界のイメージというか(笑)。そこに綺麗な女の人がけだるそうにいる。昭和歌謡の世界ですよね。そういう雰囲気の撮影場所をみんなで一所懸命探しました。

◆作品として、監督が力を入れたところは?
力を入れたところはもちろん安田顕さんです。亀岡をいかに魅力的に見せて、観ている人に愛してもらえる人間にするかということを、ずっと考えていましたから。でも亀岡拓次という人物を作り込みすぎないように、ということは意識しました。「亀岡拓次はこういう人」ということがはっきりしすぎると、原作にある何でもありの亀岡拓次ではなくなってしまうので。例えば、毎回違う人間に見えたとしても、亀岡は俳優なんだし、違ってもいいはずだ、と思っていました。安田さんが演じている亀岡拓次を観て、私自身も改めて亀岡という人間を理解する部分も多かったです。今、目の前で演じているのが、安田顕なのか亀岡拓次なのか、わからなくなる瞬間もたくさんあって、未だにどっちだったんだろう?と解らないくらいです。
この映画は、安田顕さんの映画ですし、手前味噌ですが、私がこれまで観た安田さんの作品の中で一番好きな役です。みなさんに新たな安田顕さんを観に来ていただきたいです。

 

 

 

 

kameoka_tenjin

【STORY】
亀岡拓次【カメオカタクジ】(安田顕)、37歳独身。職業は脇役メインの俳優。泥棒、チンピラ、ホームレス・・・演じた役は数知れず。監督やスタッフから 愛され、現場に奇跡を呼ぶ?と言われる“最強の脇役”。呼ばれればどこへでも、なるべく仕事は断らない。プライベートは一人お酒を楽しむ地味な生活。そんなある日の夜、ロケ先で訪れた長野県諏訪市でのこと。初めて入った居酒屋「ムロタ」のカウンター席でうとうと眠りこけていた亀岡。冷たい隙間風に起こされると、そこには美しい若女将の姿があった。名は安曇【アヅミ】(麻生久美子)。地元の名物だという寒天をつまみながら、気の利いた彼女の会話にすっかり癒される亀岡。

「淋しくなったら、また飲みに来てくださいよ」―優しく微笑む安曇に、亀岡は恋をしてしまう。

甘い時間も束の間、再びロケや撮影所など、都内から地方へと忙しく飛び回る日々。はじめて引き受けた舞台の仕事で、劇団・陽光座の稽古場にも通う。ある日、亀岡に大きなチャンスが訪れた。彼が心酔する世界的巨匠、アラン・スペッソ監督が極秘で来日しており、その新作オーディションを受けることになったのだ。カメタクの一世一代の恋の行方は?そして初の海外進出なるのか・・・?

 

 

 

『俳優 亀岡拓次』
ユナイテッド・シネマキャナルシティ13ほかにて上映中!

監督・脚本:横浜聡子
原作:戌井昭人
出演:安田 顕 麻生久美子 宇野祥平 新井浩文 染谷将太 杉田かおる 工藤夕貴 三田佳子 山﨑 努

http://kametaku.com/

©2016『俳優 亀岡拓次』製作委員会