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2001年にテレビドラマとしてスタートした『HERO』。シーズン1の平均視聴率が34.3%、スペシャルドラマの視聴率30.9%、2007年にスクリーン初登場した劇場版では同年日本映画最大のヒットを樹立、さらに2014年連続ドラマとしてシーズン2では初回視聴率26.5%を誇り、まさに国民的ドラマとなった。そして再び、スクリーンに帰ってくる。

シーズン2から検事・馬場礼子として登場し、『HERO』に新たな息吹をもたらした吉田羊。いまやドラマや映画、CMに引っ張りだこの人気女優である。そのきっかけであり、自身の女優人生を大きく変えた作品『HERO』という作品について、そして最新作である映画についてインタビュー。

 

◆まずは映画を観られた感想はいかがでしたか?

ホントに面白くて最後まで一瞬たりとも飽きることなく、観させていただきました。今回は、取り扱っている題材が“国境の壁”ということで、スケールの大きな作品になっていますので、これはぜひ劇場で観ていただきたいなと思いました。

◆『HERO』という作品の魅力は?

14年前の『HERO』もそうですが、私が面白いと感じているのは、検事の仕事自体にスポットを当てるのではなく、検事の日常にスポットを当てているのが『HERO』という作品の最大の魅力だと思っています。だから観ている方が、この人たちまた今日もどこかでバナナ食べてるのかな?とか、画面に映し出されていない部分を想像させるドラマってあんまりなかったですよね。いかに被疑者を追い詰めていくか、とか事件のトリックとか、そういう検事の仕事に特化したドラマが多い中で、こういうスタイルのドラマというのはなかったなと。鈴木監督がすごくグルーブ感を大事にされる方なので、ワンカットで撮るシーンが多いんです。その独特のカメラワークも魅力ですよね。カットの数を極力減らして、ワンカットの長回しで撮影する。検事たちの日常感を出すために、会話のテンポをワンカットで撮るというのが多かったです。それは『HERO』の見やすさでもあると思うんです。軽妙でテンポがよく、観る人をドラマの中に連れて行ってくれる感じがありますよね。

◆昨年のシーズン2のテレビドラマは、吉田さんの女優人生を大きく変えたドラマではないかと思いますが、ドラマ『HERO』に出演されて変わったことはありますか?

間違いなくそうですね。『HERO』が終わって、注目していただく機会が増えたことで、これを吉田羊にやらせてみようと挑戦してくださる方が増えたなとは感じています。それが自分がこれまでやってきたお芝居というフィールドだけでなく、バラエティーの司会であったり、書き物だったり。自分がまさかそれをやるとは思っていなかった分野のお仕事がいただけるようになって、そこはひとつスタイルとして変わってきたところではありますね。
それと、共演させていただいているみなさんは第一線で活躍されている主役級の方々ですから、その方々のお芝居の立ち上げ方、瞬発力、集中力、そいうことを現場で学ぶにつけ、自分はまだまだ下手だなと思いますし、そこで向こうから投げた球に自分がどう返していけるかということで、自分自身も鍛えられる部分がありました。お芝居という意味でも共演者の方々から学んだことは大きいなと思いますね。

◆共演者の方々との撮影中のエピソードで印象的だったことはありますか?

基本的に、ワンカットの長回しで撮影する時は、みなさんNGを出さないんです。時々(杉本)哲太さんがあるくらい(笑)。みなさん、このシーンはワンカットでいきます、と言われた瞬間にスイッチがそれぞれに入るんですよ。「これは失敗できない」って。で、自分の台詞が後になればなるほど、余計に失敗できない、という気持ちが強くなるので、とても集中力が高まるシーンになりますね。そこでも、意識の高い方々の集まりだなと毎回思っていましたね。八嶋(智人)さんも小日向(文世)さんも松重(豊)さんも舞台出身の方ですし。ワンカット長回しってどちらかというと演劇的じゃないですか。むしろその方が燃えるというか、私もそうですけど、ワンカットって聞くと「やった!」って思うんです。カットが入って途中でお芝居が切られるよりも気持ちがちゃんと積み上がっていくので、私は好きなんです。そういう撮り方に慣れている人たちの集まりでもあるので、そこが集中力の高さ、NGのなさに繋がっているのかなと思います。

◆『HERO』という作品は木村拓哉さん演じる久利生公平という人が引っ張っているドラマだなと感じますが、久利生さんという男性をどんな風に観られていますか

久利生さんは木村(拓哉)さんです。だからどこからが久利生さんでどこまでが木村さんかわからないくらい、深くご本人とリンクしていらっしゃるので、お芝居をしていても時々、あ、今は木村さんじゃないんだとか思ってしまいます(笑)。それは私だけじゃないんですけど、小日向さんは普通に本番で木村くんって言ってましたけど(笑)。それくらいご本人とリンクしているので、木村拓哉さんご本人が普段から大事にしていらっしゃることが、久利生さんにも生かされているし、木村さんでしか久利生公平は成立しなかったし、この『HERO』という作品は完成しなかっただろうなと思います。

◆では吉田さんにとって『HERO』という作品はどういう位置づけの作品ですか?

『HERO』は私の生涯の宝物です。圧倒的に知名度を上げてくれたという意味では、おそらく『HERO』を超える作品は今後出てこないと思います。そういう意味でも宝物ですし、例えば今後辛いことがあったとしても、『HERO』で過ごした時間は本当に楽しかったので、思い出すだけで気持ちが穏やかになれる、自分にとってのパワースポットのような、そういう作品として今後も私の中で生きていくと思います。スタッフ、キャストみんなが口を揃えて楽しい現場だったねと言うくらいの素敵な現場でした。そういう体験をさせていただけたことで、今後自分が関わっていく現場を、ひとつひとつそういう風にしていけたらと思います。そう思わせてくれる作品ですね。

◆新たなスタート地点のような存在ですか?

常に隣りに在るものですね。それは多くの方がこの作品の馬場礼子という役を通して私を知ってくださったように、「私=HERO」といイメージはこれからもずっとあると思うので、それは私自身も大事にしていきたいですし、14年たっても私が『HERO』という作品のファンであるように、きっと今回の馬場礼子という役がみなさんの心の中に残っていくと思うのでそれは常に隣に置いていっしょに成長していきたいと思います。

◆今回演じられた馬場礼子という役はどんな女性だと捉えられていますか?

彼女はスーパーウーマンではないんです。仕事は出来るけれども、お酒と男には弱いということに象徴されるように、その綻びのある感じこそが彼女の魅力だと思っています。なので検事としての仕事ぶりをいかに華麗にみせるかということよりも、その抜けのあるところが彼女の人間臭いところなので、そこを大切に演じようと考えていました。完璧ではないからこそ、どこかチャーミングに映る人なんだろうなと思っています。お酒と男に弱いところは私と重なる部分があるかな?と思います(笑)なので自然体でやらせていただきました。それは監督さんが現場での私を見て、馬場礼子像を作ってくださったのか、わからないですど、私は等身大で演じさせていただいております。だからこそ、すごく大事な役ですし、また礼子さんになれる機会があったらいいなと思いますね。

『HERO』という作品は“チームワーク”や“諦めない”“人を信じる”など、個々が際立っている現代とは相反するテーマがあるにも関わらず、みんなが観ていて心地いい気持ちになるという不思議な魅力がありますが、そのことについて吉田さんはどんなふうに捉えられていらっしゃいますか?

相反しているからこそ、みんなが実は必要としている。だからこそ、これだけ『HERO』という作品が愛されているんだと思うんです。急速に変化していく世の中の流れの中で、心のどこかで本当にそれでいいのか?って疑問を持っている方がたくさんいらっしゃるからこそ、こういう昭和の泥臭いお芝居が受け入れられているんだと思います。そういう意味では、多くの人の励みになる作品ですし、変わらないでいることが、成長していないと取られがちな部分もありますが、そうではなく、変わらないって実はスゴいことなんだ、ということ。そして自分が信じること、その信念を持ち続けて、それが一人でもいいから誰かの心に届いて、その人の人生がちょっとだけ変わっていく。大きくても小さくてもそういうことが出来たら、すごく素敵じゃないですか。そういう感覚を取り戻すツールとしても、この映画を観ていただけたらと思いますね。
そしてこの城西支部のメンバーに関しては、すごく羨ましいと思う部分が多いですね。これだけ、相手のことをダメだとか文句を言いながらも、根本では相手のことをきちんとリスペクトしている、そういう関係性はすごく大人でいいなと思いますし、その中で一人、青臭い久利生公平みたいな人がいる。久利生さんに触発されて口では「しょうがないな」と言いながらも、気持ちに賛同して、“ひたむきさ”みたいなものに加担していく。それって素敵だなと思いますね。だから久利生公平は会社に一人いたらいいと思います(笑)。

◆吉田さんの好きなシーンや観て欲しいと思う部分はどこでしょう?

映画だからといって何か特別なことをやろうという気負いがなく、出ている人たちがいい意味で全く変わってないんですよね。その全く変わってない部分こそが、『HERO』の魅力のひとつでもあると思います。往年の『HERO』のファンには、そうそうこの感じ!と安心して観ていただける部分でもありますし、一方で、雨宮さん(松たか子)が城西支部に戻ってきて、違和感があるのかと思ったら、そんなことは全く無く、自然に城西支部に溶け込んで、むしろチーム力を高めてくれる。その感じこそ、15年間続いてきた『HERO』の中で、ちゃんと城西支部の人たちの時間は繋がっていたんだなと思わせてくれる作りになっていると思います。豪華な俳優陣の芝居合戦も見どころですし、また個性豊かな城西支部のメンバーのチームワーク、結束力を楽しんでいただける所だと思います。知っている方も、知らない方も、楽しんでいただける作品になっていると思います。また取り扱っているテーマが国境の壁という『HERO』史上最大の敵です。そういう部分の映画ならではスケール感もぜひ劇場で楽しんでいただけたらと思います。

 

《衣裳協力》
・ピアス 65000円
・ネックレス 64000円(以上ともにマリハ/showroom△SESSION)
[問い合わせ先] showroom△SESSION/03-6459-2829

 

 

【ストーリー】
ある日、ネウストリア大使館の裏手の路上で、突然道に飛び出してきたパーティーコンパニオンの女性が車に跳ねられるという事故が起こり、不幸なことに女性 は亡くなってしまう。東京地検城西支部の久利生公平検事がその事故の捜査を担当することになる。事務官の麻木千佳と共に事故を起こした車 の運転手を取り調べていたところ、かつて久利生とコンビを組んでいた元城西支部事務官・雨宮舞子が現れる。現在、検事になり大阪地検難波支部に勤 める雨宮検事は、自身の担当している広域暴力団絡みの恐喝事件の重要な証人が、久利生が担当する交通事故の被害者女性だった為、城西支部を訪れたのだっ た。久利生の担当する事件は単なる交通事故ではない可能性が出てきたため、
久利生と雨宮の因縁の二人による合同捜査になることに。

現場主義の久利生は事故現場を調べると、ネウストリア公国の大使館に行き当たる。
事故当時の状況を知りたいから大使館員に話を聞かせてほしいと頼むが、あっさりと大使館側に断られてしまう。大使館の中には日本の司法が全く及ばない、治 外法権という権利が存在しているのだ。しかし、捜査の過程でネウストリア大使館が事件に間接的な関係があるのではと思った久利生は、あきらめずに大使館に アプローチするも、当然の事ながら、大使館は全く応じない。さらには日本とネウストリア公国の外交問題にも影響を及ぼし始め、外務省からの圧力も受けてし まう。さすがの久利生も、立ちはだかる“治外法権の大きな壁”の前になす術なく、捜査が進展せず暗礁に乗り上げてしまう…。

果たして、久利生はその強大な壁の向こうにある真実にたどり着けることが出来るのか?

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(C)2015フジテレビジョン ジェイ・ドリーム 東宝 FNS27社

 

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7.16(sat.)全国東宝系ロードショー

監督:鈴木雅之
脚本:福田靖
音楽:服部隆之
出演:木村拓哉 北川景子 杉本哲太 濱田 岳 正名僕蔵 吉田 羊・松重 豊
八嶋智人 小日向文世 角野卓造/松たか子 佐藤浩市

〈2015年・日・120分〉

www.hero-movie.com