2つめのお題『正しい街』

=泊篤志(右/飛ぶ劇場代表、劇作家、演出家)
=泊達夫(左/飛ぶ劇場、音楽担当。泊篤志の弟)

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 えー、お芝居で使っている音楽、オリジナル音楽ってどうやって作っているんだろう?というのを明らかにしていこう!という、何とか対談も2回目になりました。今回のお題は、先ほど北九州&西鉄ホールで無事公演を終えた『正しい街』です!

 まだ来年の2月に東京公演は残っているものの
 ここらで『正しい街』を明らかにしておこうと。今回、『正しい街』の音楽はどうでしたか?
 えー今回は劇中で歌う歌を2曲
 最初は1曲の予定だったんだけどね
 途中で増えましたね
 同じ歌を何度も歌うのもアレかなと思って、1曲追加で
 1曲はちゃんと作ったんだけど、もう1曲は・・・
 パクりましたね
 あははは、パクったって・・・ 
 利用させてもらった 
 いやいやいや元の、原曲があって、それを歌いやすいようにアレンジさせてもらった
 それが、我々内部的には『一千の夜』と呼ばれている曲ですね
 これは地元で今も歌われている、地元っていうの?コレ言っていいんだっけ? 
 言っていい。えーカクレキリシタン信仰の皆さんが今もいらっしゃる生月島で
 今なお歌われているという
 『ぐるりよーざ』という聖歌?が元になっています
 元々はグレゴリオ聖歌だったんだっけ?
 そう、スペインのある地方でのみ歌われていた聖歌が長崎の生月島に伝わってですね。たぶんスペイン人の宣教師だったかが島の人に教えて、あまり意味も分からなかったかも知れないままに、そのまんま歌っていたのが、何百年も歌い継がれ、今もそのまんま意味不明なまま歌われているという
 それはスペインではまだ歌われて
 いないんだって。完全に廃れてて、資料が発見されて分かったんだとか。そのCDをわたくし生月島で買ってきまして
 それを聞いて 
 お、コレいいじゃんと
 で、これを皆で歌おうぜってなったんだけど。3人くらいのおじさま達が歌ってんだけど
 てんでバラバラで、もうどんな曲なんだか分からない
 それを僕が分かりやすく、歌いやすくまとめた、と
 三拍子にまとめてたね
 元のはもう全く拍子が分からないんでね
 で僕も何歌ってるか分からない呪文のような歌詞を、日本語の似たような言葉に置き換えて
 芝居の内容にあった言葉にね
 そう、何となくあった歌詞にしたと。こういうの何て言うの?リメイクした?
 この芝居用にアレンジした
 リメイクだな。だって曲はちょっと違うし、歌詞も音は近いけど意味は全然違うし
 リメイクですね 
 リメイクさせてもらったのが『一千の夜』です
 パクったんじゃありません
 ははは

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 で、もう1曲は完全オリジナルで
 『ジョアンさま』と呼ばれているやつです
 賛美歌みたいなのを作って欲しいということでね
 最初に作ってもらったのは、ボツにしたんだよね
 最初のリクエストは和風な感じでっていうのがあったんで、若干・・・こう・・・日本民謡的な、ぐるりよーざ的な歌い方で、そういう音階で、ってちょっとこだわって作ったんだけど、ちょっと地味だったんで
 和風過ぎたんかな?
 もうちょっと教会で歌ってる賛美歌みたいな感じでいこうや、みたいな
 そうそう、『ぐるりよーざ』が賛美歌っぽくないんだよね。元は賛美歌のはずなのに
 はずなのにね、あんな不思議な
 それでもう1曲はもうちょっと賛美歌っぽいのにしようってことで作ったのが『ジョアンさま』
 一応そういうイメージで作ってみました
 ジョアンさまはね、正しい街の主題歌みたいなもんですから
 あーそうやったんやーなー
 飯根戸サンジョアン会のテーマ曲ですから
 舞台上では、内田ゆみさんがね
 ♪じょ〜あん〜さま、じょあんさま〜ってコブシつけて歌ってましたね
 オリジナルアレンジで
 バカだよねーあの人
 あはは
 勝手に歌ってましたね
 あー演出じゃないんだ
 勝手にコブシつけて
 素晴らしい
 しかも♪私もあなたもジョアンさま〜とか聞いた事無い歌詞を勝手に
 メロディも作ってね
 あれでも真剣に考えてるらしいよ
 真面目に 
 真面目って言うか、出る直前に考えるんだって
 あー
 直前に考えて、でもあーどうしようってなったまま出て行って、適当に歌うんだって
 天才やな
 天才ですよ。で、一緒に出てる葉山んが
 合わせなきゃいけない
 俺いつまで歌聞いときゃいいんだ!って迷ってたらしいよ
 どこまでアドリブに付き合うかね
 で、もう一緒に歌ってやろうかなって思ったら、あいつセリフ言いやがったって
 あははは
 内田ゆみショー終わり
 あはは凄いな
 あの人は理屈じゃないからね

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 それともう1つ、今回も音響:杉山さんの
 杉山聡さんの
 今回自分、実際に稽古場にはあまり行けなくって、いきなり通し稽古を見たら、何か色々とかかってましたね。あれはグレゴリオ聖歌?
 あれはブルガリア・ボイスですね。確か。女性合唱の
 それはそういう依頼をして、出てきたみたいな
 あーいや、もうそういうのを用意してた杉山さんが
 あとあの念仏みたいなのは
 棺桶を開けたら聞こえてくるオエオエオエオエみたいなオッサンが喋ってるの?
 それそれ 
 あれは某CDの、ね。
 ああ某CDのね。
あれはもう曲じゃないもんね、念仏みたいなのをちょっとアレンジして出してる
 あーなんかそんなんだろうとは
 アレ恐いよね、なんか地獄の底からね、この棺桶の下では何が蠢いているのだという、いい雰囲気でしたね
 で、ラストら辺の
 ブルガリア・ボイスのがカーテンコール含めて2曲
 今回もいい曲作っとったねーって青春座の江口さんに言われて
 ああそうなんだ
 最後の曲は違うんですよー劇中の歌だけですよーって
 アレは作れないよね 
 アレは無理ですよ
 アレ作れたら天才だね。あれ出来たら仕事殺到するよ
 どうやって作ってるかわかんない 
 凄い歌い手を何人も囲ってないとね
 それと、今回は色んな音を舞台の周りで出してたのは
 アレも杉山音響の提案ですよ
 演出からじゃなく
 そうそう。ま、周りで本を読んでるんでね。あ、音出すのもアリっすね、みたいな感じで
 カエルがコロコロ鳴いたり、鳥がチュンチュン鳴いたり
 カエルはエスニックな雑貨屋に売ってて、鳥は作ってたよ
 誰が?
 杉山プロデュースで、下部たちに作らせてた 
 へー
 あと、フクロウが凄かったね
 あー
 ホーホーっての
 あれちょっと欲しかったもん
 あれも作ったんだよ。フツーの缶とストローで
 へー
 缶とストローを組み合わせただけで、でも見た目があんまりだろうってことで、和柄の紙かなんか貼っただけ
 あれ売れるよ
 だねぇ
 最初みんなが音を鳴らしながら入ってきた時、演奏とか始めちゃって寒いコトになりゃしないかとちょっと冷や冷やしたけど
 しないしない
 実際始まったら雰囲気出てて良かったよ
 あれ全員がね、自然界の音を持って入ってきて、ラストも自然界の音を鳴らしながら終わるっていう、ちょっと意味があんのね
 はぁー
 後付で考えたんだけど
 はいはい
 という音を実際に鳴らすってのも音響さんのアイデアでした
 音響さん凄いね
 もうそろそろネタ切れだって言ってたけど
 そういうのは小出しにね
 ということで、今回は『IRON』ほど派手さは無かったものの、渋く、かつバラエティーに富んだ音楽・音響だったんじゃないでしょうか
 オリジナル曲が1つ、リメイク曲が1つ、生音の音響など素晴らしいね、と。
 さて、この『正しい街』は年明け2007年の2月に東京公演を控えていますが 
 歌は・・・こう、感動できる感じのをもう1曲作りたい
 おー是非作ってください
 あははは。でも稽古1週間しか無いんでしょ?
 そんなのは前もってCD配って覚えとくようにってやればいいし。あ、じゃそれラストで歌おう皆で。で、ラストお客さんはダーっと涙流すみたいな
 あはは、ヤラシイな
 どうですか
 そうですね
 ということが付け加わりそうなんで、一度観た方も
 是非、東京にね
 足をお運びください
 うわコレ泣かされたみたいな
 そういう展開にご期待ください
 じゃあ、まあ
 この辺で。