約2年ぶりとなる福岡公演
本ツアーで、47都道府県を制覇!春の巡業公演が3月からスタート

中村勘九郎、中村七之助を中心に、中村屋一門が毎年行う全国巡業公演。時期によって「錦秋」、「新緑」と銘打つこともあり、2005 年より毎年欠かさず行ってきました。しかし2020 年は、やむなく中止に。2021 年 3 月〜4 月の春暁特別公演で再開し、同年 10 月にも全国 15 ヶ所で行うことが出来た。

この巡業公演の始まりは、ある時、2人の元に 若いファンの方から「地方にいると交通費や宿泊費がかかってなかなか歌舞伎を見に行くことが出来ない」という 内容のお手紙を受け取ったことから。父である十八代目中村勘三郎とともに親子会として全国各地にま巡業していたが、それならば「自分たちが全国各地に足を運び、たくさんの方に歌舞伎を見てもらおう」と、兄弟ふたりを中心とした全国巡業の特別公演を行うことにした。

毎年いろいろな演目を取り上げ、初めて歌舞伎を観る観客でも楽しめるようにと工夫を凝らしている。2022 年は「春暁」と「陽春」、それぞれに趣向を凝らした演目になっている。福岡では「春暁特別公演」を開催する。

3月からスタートし、今年17年目を迎えるこの巡業公演について、中村勘九郎、中村七之助の取材会が行われた。

◆本公演について

中村七之助:この巡業公演は、歌舞伎を行える劇場が全国でも限られているため、なかなか歌舞伎に触れることができない場所にでも自分たちから出向いて歌舞伎に触れていただけたらと2005年から始めました。お陰様で17年目を迎えることができました。コロナの状況下で中止になったこともあったのですが、今年は無事に開催することができそうです。今回は「春暁」と「陽春」と分けまして巡業公演を行う予定です。私と兄の兄弟で「春暁特別公演」をやり、「陽春特別公演」には、勘九郎息子である中村勘太郎、中村長三郎も参加して公演を行います。

中村勘九郎:私たち兄弟にとってもとても大切にしている巡業公演ができること、そして昨年から参加した子どもたちが出演指せていただける公演ができることをとてもうれしく思っております。こういう状況の中で、公演をやらせていただけるということは、感染対策を万全にしてくださるスタッフのみなさん、そしてきちんと対策をして観てくださるお客様のおかげだと思っております。まだ予断を許さない状況で、3月の公演がどうなるかわからなくもありますが、やれる方向で準備は怠らずにしたいですね。

◆演目と見どころについて

中村七之助:「春暁特別公演」の『隅田川千種濡事(すみだがわちぐさのぬれごと)』は、『於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)』、通称『お染の七役(ななやく)』と言われる長いお芝居の中の最後の段の舞踊です。以前、私一人で芝居小屋をまわった公演では舞踊としてかけさせていただいた作品です。これで早替わりをするのですが、それを生で観たことがないと仰る方が多かったんですね。それだったら踊りも美しいですし、早替わりを生で観て頂きたいなという軽い感じで(笑)やらせていただいたらとても喜んでくださったので、今回は、『高坏』という中村屋に深い縁のある作品と、歌舞伎の早替わりというものを観て頂きたいと思って演目に選ばせて頂きました。

中村勘九郎:「春暁特別公演」では、『高坏』をご覧頂きます。これは家の芸と言っても過言ではない作品です。祖父十七代目中村勘三郎が今の形にしたもので、中村屋にとりましても大事な演目のひとつです。巡業の目的のひとつに、お弟子さんたちを含め中村屋の面々でやっているとしておりますので、それが叶うということもうれしく思っています。とても華やかな、春を先取りではないですが桜満開の中、お酒に酔って踊る作品です。今のご時世なかなかお花見も自由にできなくはなっていますが、この舞台を観てお花見気分を味わってくださったらうれしいなと思います。

◆『高坏』で、高下駄でタップを踊られますが、お稽古が大変なのではないでしょうか?

中村勘九郎:『高坏』の高下駄でのタップ、『隅田川千種濡事』の早替わりも、僕たちが思うのは、それはおまけなんですね。タップを踊るまでの次郎冠者がお酒に酔っている桜の風情やお酒の匂い、ピンク色の粉をお客様に振りまく演出、七之助だったら、「遅めの七役」というのがベースにありつつもそれまでの人間関係や踊りの風情などを大事に置いているので、そのおまけに重きを置いているわけではないんです。ただ、一番難しいのは出てきた時にお客様の心の中の桜が満開になっているのかどうか、というのが『高坏』のポイントです。それと、今回高下駄を新調しました!これまでは父が使っていたものでやっていたのですが、今回からようやく自分のサイズに合わせた高下駄の初お目見えがこの巡業になるので、そこも楽しんで頂ければうれしいです。

◆七之助さん早替わりではお弟子さんたちとの連携が大事かと思いますがいかがでしょう?

中村七之助:そうですね、お弟子さんたちとの連携が本当に大事になってきます。僕たちはそれを「ピットイン」と言っているのですが、本当にお弟子さんたちが大変なんです。僕は立っているだけなので(笑)。あと踊りですと、自分の手を残して一瞬で手ぬぐいを持ち替えるとか、わざと遅らせるとか、そういう細かいところは考えていますね。この踊りだけを観て、作品を理解するというのはとても難しいと思うんです。最初にお光が病はちまきで登場してきても、この人はどうしてこんな姿になっているんだろう?とか。でも巡業公演ではパンフレットに歌詞まで詳しく書いていますので、歌詞を読みながら理解していただけるとうれしいですね。この作品は台詞がないので、歌詞で物語っているんです。なので、それを読んで観て頂くとより深く楽しんでいただけると思います。

◆福岡は「平成中村座 小倉城公演」以来の二年ぶりとなります。ぜひトークでは小倉城公演の思い出話なども聞かせていただけるとうれしいです。

中村勘九郎:本当に北九州の小倉城公演の時には大盛況をいただいて。町中の人たちが本当に一丸となって応援してくださったんです。あの時の恩返しではないですが、今回の公演でみなさんが明るく元気になっていただけるような芝居ができるように頑張りたいですね。

 

 

中村勘九郎 中村七之助 春暁特別公演2022
【北九州芸術劇場 大ホール】

【日時】3月26日(土) 11:00、26日(土) 15:00
【出演】中村勘九郎、中村七之助 ほか
【料金】
SS席 9,000円、S席 7,300円、A席 5,800円、B席 4,300円、C席 2,800円(全席指定)
※未就学児入場不可
【問合せ】キョードー西日本  0570-09-2424
サンライズプロモーション東京 570-00-3337(平日12:00~15:00)

写真:中田智章