シアタービューフクオカのコラムで誌上最長連載を誇るヨーロッパ企画・永野宗典氏。
ゲストを迎えての対談形式コラム。
webでもダブル掲載!本誌と併せてお楽しみください!


限られた字数制限の中、所狭しとお送りするショートショート対談。今回のお相手は、ヨーロッパ企画本公演に客演していただいている加藤啓さん!


今回のゲスト:加藤 啓
拙者ムニエル/モッカモッカ。他劇団への客演・プロデュース公演の出演多数。


永野
(以下 ) 僕、高校演劇からやってるんですけど、当時、台詞を棒読みでしか読めなくて先輩に一語ずつ音階をつけてもらって、手取り足取り丁寧に抑揚をつけて読めるようにレッスンしたりしてて…。
加藤(以下 ) マジで?
永 ええ。だから新人です、とかいってスラスラ台詞読めちゃう人とかすっごい不思議なんですけど。
加 ああ、わかる。っていうか、丁寧に台詞の読み方とか教えてもらった割には永野くん、随分独特のセリフ回しだけど(笑)。
永 あはは。たまに訛りがでちゃって(笑)。
加 いや、リズムの持って行き方、グルーヴっていうのかなあ。でも、未だに俺、棒読みしちゃう。
永 そうなんですか?
加 プロデュース公演の読み合わせとかで、いきなり立体的なキャラ作りができてる人とか、驚いちゃう。俺よく言われるもん、「加藤くん、初め無茶苦茶棒読みでびっくりしたよ」って(笑)。
永 で、20代で演劇書にハマったりして演技のことを研究するのに夢中になった時期とかあるんだけど、30歳過ぎから、一時、演じるのが何か面白くないというか物足りなくなった時期があったりして。で、作家業がんばってみようかなと思ったり…。
加 「こう表現したい!…けど何か足りない、いつものまんまじゃん」みたいな停滞を感じて?
永 そうですそうです。そんな時期ってあったりしたんですか?
加 もちろんもちろん。劇団公演ばっかやってた頃とか、求められる演技も似通ってくるっていうのがあって、どこか閉塞感みたいなものを感じてた。別現場に呼ばれて違う役割が与えられたり、違う風景の一部になれたりすると、その停滞から解放された気がしたね。他にもユニット作ってイベントやったり映像作ったりして、何か全く違う刺激を得ることができたかなあ。その時期にやりたいことが出て来たら、それはやっぱりやった方がいいんだと思う。
永 今はどんな感じですか?
加 今は、それも落ち着いて、…え、なんだろう? 静かな気分…(笑)。
永 (笑)。次の波をまってる?
加 う~ん、5年後に今のことを振り返れば、どういう時期かわかるんだろうけど。最近、ハワイ行きたいな~と思ってハワイに行って、すごい気持ちにピッタリきたりして。直線的に俳優道を進んでる感じはしないけど、寄り道したりするのもいいのかもなって。
永 寄り道する余裕ができた?
加 余裕っていうか、時間があるからただ寄り道してるだけだけど(笑)。ま、人それぞれで。隣と比べても意味がないから。自分の今やりたい事とか、今どんな気分かってことを見失うと、よりわかんなくなるだろうから。今休みたいとか今やりたいとかに従ってる感じかなあ。
永 何か最近、花を愛でたりとかに関心があるんでしょ?(笑)。花鳥風月とか、味わう感覚の変化を敏感に感じてる真っ只中にいるみたいなこと言ってませんでしたっけ?
加 あご髭に白髪が出てきて初めて鏡で見て「老い」を受け入れたというか(笑)。体は毎日死に向かってるってことを全く忘れて生活してるんだけど、確実に0歳から考えたら変化し続けてる訳で。
永 なるほどー。40代を迎えるに当たって、どういう俳優になりたいとかあります?
加 今、一緒にツアーしてて思うのは、ふざけ続けるっていいなーって思って。何かヨーロッパ企画の人っていつでもふざけてるじゃない?うっかり、真面目な空気に支配されて真面目が正義みたいに思いがちなんだけど、結局、劇とかってお客さんが楽しむもんだもんなーと思って。
永 まあ、劇団っていう安心感があるからでしょうけどね。外の現場では大分お利口にしてますよ、臆病だから。(笑)。
加 そうなんだ(笑)。そういう風にしていきたいんだけどなー。面白いもの作り続けるってそういうことかな~って思うんだけど。

●永野宗典(ながの むねのり)/’78年生まれ、宮崎県出身。’98年、上田誠らと共にヨーロッパ企画の旗揚げに参加。以降、全作品に出演。
information  ヨーロッパ企画第33回本公演「ビルのゲーツ」@福岡・西鉄ホール 9/27~28