シアタービューフクオカのコラムで誌上最長連載を誇るヨーロッパ企画・永野宗典氏。
ゲストを迎えての対談形式コラム。
webでもダブル掲載!本誌と併せてお楽しみください!


限られた字数制限の中、所狭しとお送りするショートショート対談。今回のお相手は、京都・祇園の映画企画でご一緒させていただいている辻野孝明さんと!


tujino

今回のゲスト:辻野孝明

キース・リチャーズ、長渕剛などの衣装デザイナー・スタイリスト他、林海像監督の映画の衣装など幅広く手掛けている。京都拠点にブランドT&A(teenei)も運営。

永野(以下 ) 色んなビッグアーティストの方々とお仕事されてますよねえ。なぜその並びに永野宗典がいるのかな?ってすごいバランス変じゃないですか(笑)。どういう感覚でお仕事されてるんですか?
辻野(以下、) 「面白そうかどうか?」だけですね。面白そうな人と組めるんだったら関係無くやろうと思っています。
 初めからそういう感覚でお仕事されて来られたんですか?
 そうですね。キースの話で言うとローリング・ストーンズが大好きだったんで、彼らの衣装を作って、彼らがその服を着てワールドツアーしてるっていうのが、十代の頃の夢だった訳ですよ。
永 青年期の夢をそのまま実現してしまったという…!
  ええ。僕、山本寛斎っていうデザイナーが大好きで。専門学校行って、寛斎さんの所へ行って、パリコレのお手伝いして、独立して、自分の事務所作るぞ、みたいな青写真を作ってて。でも、先輩たちの才能を目の当たりにしたり、才能が無いみたいなことを言われちゃって挫折して、辞めた時期が3年程あって。京都でカジュアルショップのお手伝いとかしてて。
永 完全に距離置いちゃうんですね。
辻 はい。で、洋服触ってると、また作りたくなってくる訳ですよ(笑)。そう思ってた頃に、ストーンズの2回目の来日があって。で、作って持って行ってみようかなと思って。
永  普通持って行ったとしても門前払いでしょ。
辻 調子に乗って持って行って(笑)。ラック1つ分くらい。
永 すげえ話だな(笑)。
辻 ダメ元ですよ(笑)。見てもらうだけですげーっていう感じなんで。でも、たまたまキースが気に入ってくれて楽屋に呼ばれて「若いデザイナー探してるからいつでも持っておいで」って言われて、そのまま調子に乗って持って行き続けてるんですけど。
永 センスってどうやって磨くんですか?僕、服のセンスとか一向に良くなる気配が無いんですが(笑)。
辻 ヨーロッパを2ヶ月フラフラしてた時期に、あ、この人恰好いいなって思う人が大抵、乞食みたいな人だったんですね。「あの乞食、洒落てるな。あのバランス感すげえな」とか。
永 あはは(笑)。珍しい視点ですね!
辻 で、眺めてるとあっちも「お前の服いいな」とか言ってくる訳ですよ。こんなセンスのいい乞食が言うんなら俺大丈夫かなとか思ったり。変な金持ちのブランドもの着てる人に言われるよりかはよっぽど説得力があるというか。
永 辻野さんって、何というか本質的というか、誰に対してもフラットですよね。普段、人に対して、先輩後輩とか差別とか区別って無意識にしてるものだと思うんですけど、その辺を全く感じさせない稀有な方だなあと。
辻 昨年、お忍びで来られた某国のすごい偉い人と飲みに行ったんですよ。
永 何でそういう人と飲めるのかがまずわかんないですが(笑)。
辻 で、メアドも交換してお年賀メール送ったりして。まさかと思ってたら、ちゃんと返ってきて(笑)。
永 はあ~!辻野さんの人柄とかも大きいと思いますよ。
辻 ま、他にも連絡先交換した友達は連絡すらしなかったですけど、そこで連絡取り合おうと思うかどうかだったり、引いちゃうと何にもならないんで、ダメ元で。
永 ダメ元感って、キースの頃から繋がってますね(笑)。
辻 何かに失敗するとマイナスになると思う人が多いんですけど、仕事だとそれは経費だったり。でも、それだけなんですよ。自分の人生的には0のままで、マイナスになってない。マイナスと捉えちゃうと先に行けないんで。元々0やしええやんって思ってます。
永 見た目のせいか、仙人とか賢者と喋ってるみたいです(笑)。ちょいちょい教えを乞いに来させてもらってもいいですか?
 ふっ(笑)。

●永野宗典(ながの むねのり)/’78年生まれ、宮崎県出身。’98年、上田誠らと共にヨーロッパ企画の旗揚げに参加。以降、全作品に出演。
information  ヨーロッパ企画本公演「ビルのゲーツ」福岡公演9/27~28 @西鉄ホール!