シアタービューフクオカで絶賛連載中のハイバイ・岩井秀人氏のコラム「岩井の好きな映画」。
webでもダブル掲載!本誌と併せてお楽しみください!

ハイバイ・岩井秀人コラム【岩井の好きな映画】vol.16 「2012年を振り返る」

今年も終わりです。でもこれが掲載されるのは、あれよね。年が明けて、マヤ歴での滅亡を逃れた我々が元気に暮らしているころなのですよね。仮に滅亡して、宇宙人が荒れ果てた地球の、もう福岡ドームも骨組みくらいしか残ってないところの瓦礫の中から、この「シアタービューフクオカ」を発見して、「地球人の文明の手がかり」として唯一のものになったとしても恥じないくらいのものを、という気持ちでいっつもやってます。岩井です。
さて、『岩井の好きな映画』というタイトルですが、映画観てないから、ムリです。なので、ちょっと振り返ってみます。今年(2012年)は、『ある女』『ポンポン』『ヒッキー・ソトニデテミターノ』と3本やり、そのうちの2本(ある女とポンポン)は福岡で観てもらえる機会にも恵まれ、個人的には「自分やみんなの不幸を、笑って受け止められるタイプ」な、僕と同人種な福岡の皆様に観てもらえて嬉しかったっす。福岡はホント楽しみなのよ。ご飯おいしいし。ご飯おいしいし。お店の人も元気だし。たまに元気すぎてうるさいけどさ。注文の復唱が大きすぎるときがあるよ。「店中のみなさま!このおじさん、今ドリア頼みました!みなさま!!鍋の店でドリア頼みました!!でも…よろこんで!!!」ぐらいにピンチになるので、精一杯以外にもおもてなしはあるってことを、特に若い店員さんは知りましょうね。そんなの東京でも変わらないよね。
映画のこと書こう。今年はこちらでもおすすめした『桐島、部活やめるってよ』の年でしたね。今(2012年12月)の時点で、あっちゃこっちゃの作品賞、俳優賞なんかを10冠くらい取っていて、もう、未だに上映されてますからね。原作もさることながら、それを映像化するために練りに練った脚本もだし、現実の弱さも力強さも、丁寧に表現したスタッフワーク、そしてそれを最前線で丁寧に等身大でやりきった、若い俳優さん達。やるなあ。こないだその忘年会があって、やっぱり若い子達は、あんなに立派な俳優さん達でもあるんだけど、忘年会ってなると、ホントただのガキでした。騒ぐ騒ぐ。泣く叫ぶ。そしてそういった連中を取り仕切った吉田大八監督は、年の瀬にいたっても相変わらず冷静沈着で、相変わらずほお骨が僕とおなじくらい出っ張ってて、淡々と挨拶をしていました。「若い俳優のみなさん、もう、この作品のことは忘れてください。そして、この作品を基準にして、この作品を必ず越えるものを作る、という意気込みで、次の仕事に進んでください。」だって。もう、かっこいいわ。あなた。何年も前に上手く出来た作品を未だに再演し続けてる男岩井とはエラい違いだわ。まあそこは映像と演劇の違いではあるけど、ホント深く深く頷かされました。
そして来年のハイバイは、とりあえず言ったそばから再演、と、もう一個はお楽しみです。劇団始めたときから、「いつか上演してやる!!そしてオリジナルを越えてやる!」と密かに企み続けていた作品を、ハイバイ面子中心にやります。福岡でやれたらいいけど、どうだろうな~~。とりあえずは再演の方、観に来て!これはもう、絶対面白いから!

いわい ひでと/1974年生まれ。劇作家・演出家・俳優、ハイバイのリーダー。 2013年2月21日~ G2プロデュース最終公演「デキルカギリ」に出演、東京と大阪公演があります。http://hi-bye.net/