シアタービューフクオカで絶賛連載中のハイバイ・岩井秀人氏のコラム「岩井の好きな映画」。
前号よりwebでもダブル掲載スタートしました!本誌と併せてお楽しみください!

ハイバイ・岩井秀人コラム【岩井の好きな映画】vol.15 「アル・パチーノ映画」

初のPARCOでの公演ですた「ヒッキー・ソトニデテミターノ」が終了。
ここ1ヶ月で「ゴッド・タン」(テレビ東京)で殺し屋の役をやり、やっぱり間近で見る劇団ひとりさんは、シリアスならシリアスなほど面白い表情をする!と笑いをこらえたり、ドラマ「大奥」(TBS)で、いばりちらしたあげくに、道ばたで見つけた女性に興奮するまま襲いかかり、次に登場したときには即死している殿様をやり、NEWS ZERO(日本テレビ)で引きこもり代表として参加し、なぜかオープニングで村尾さんの横に立って少し遅れてお辞儀をした後、前田日明をオランダ軍団から守るために外に出た的なコメントしたりなど、我ながら振り幅の広い人生を送っております。後悔はしておりません。そしてついでに、嫁と娘の喧嘩を仲裁したりもしてます。

そしてそのPARCO「ヒッキー」の打ち上げにて、名優の古館寛治氏と、時代遅れを承知で演劇とか俳優とかの話をしていて、二人して一番好きな俳優が、アル・パチーノだったことで盛り上がる。みんな知ってるか?パチーノ。ゴッド・ファーザーの人で有名な人だ。僕は引きこもってたときにテレビでずーーーっとパチーノ見てた。「セント・オブ・ウーマン」では、盲目の可愛いいばりんぼとして、名言「フーアー!」(言葉じゃないけど)を残し、「セルピコ」では麻薬組織に潜入し、捕まえなきゃいけない悪党と仲良くなっちゃって情がわいて葛藤するという、なんとそんな事実を元にした作品にて、終盤で顔面を撃たれるけど生還する、という役をやっている。役って言うか、この人が演じると、もうその時点で何かが決定する。我々はパチーノが演じる「生き物」をフツーーーに認めて、受け止めて、共感しながら2時間を過ごすことが決まるのだ。これはホント凄いこと。ただ、彼のせいで、自分の人生までドラマチックじゃないといけない気がして、ちょっと激しい気質で引きこもり後の何年間かを過ごさないといけなかったという害悪もあるわけではあるのです。でもでも、せっかく自分も俳優ぽいことやってるんだから、いつかそんな俳優になりたいわね~。始まって3分で即死してる場合じゃないわよ。

映画のコラムなのでそんなパチーノの映画を薦めて終わりたい。
前述した「ゴッド・ファーザー」シリーズ。特にパート1にて、前半では一族の大学生ぼっちゃんとして登場して、「パチーノどこ?」って思うくらい地味。が、映画の終盤ではもう、いつのまにか親分の風格が漂い始めるという離れ技。
「狼たちの午後」も、実際の事件を元にした、人質が犯人に感情移入してしまう「ストックホルム症候群」てやつにいたるまでの流れとか、パチーノ演じる、注目されたくてやっちゃった銀行強盗を見てるはずなのにただのヒューマンドラマに見えてくる不思議。すげーの。見て。そんで岩井がパチーノに近づいたと思ったら教えて。

いわい ひでと/劇作家・演出家・俳優、ハイバイのリーダー。パルコ劇場初進出作品「ヒッキー・ソトニデテミターノ」が無事終了。11月1日~11日ハイバイ「霊感少女ヒドミ」を三重県文化会館&アトリエ春風舎の2都市で上演!!福岡にも来たかったよ~ http://hi-bye.net/