シアタービューフクオカのコラムで誌上最長連載を誇るヨーロッパ企画・永野宗典氏。
ゲストを迎えての対談形式コラム!


限られた字数制限の中、所狭しとお送りするショートショート対談。今回のお相手は、ドラマ『さよなら、ハイスクール』でご一緒した脚本・監督の西垣匡基さんと!

nishigaki
今回のゲスト: 西垣匡基(にしがき まさき)
和歌山県出身。演出家・脚本家・ディレクター。2010 年、劇団ヨーロッパ企画に参加。自主制作によるテレビ番組のディレクターとして活躍。2018 年、フリーの作家・演出家として拠点を関西から東京に移す。hulu「さよなら、ハイスクール」配信中。

 

永野(以下 ) 脚本・監督するドラマに出て欲しいって言われて、すごい嬉しかったです。
西垣(以下 西) ヨーロッパ企画を退団してから、いつか永野さんに出ていただきたいと思ったので。あて書きさせていただきました。
 永 金八先生、GTO、ドラゴン桜、ごくせん…無茶苦茶モノマネさせられたけど、あて書きってどういうこと!?(笑)
西 永野さんだったら、モノマネするけど、狂気性が出るから新しいものが生まれるんじゃないなと思って。あて書きと矛盾しますが、永野さんのフリーの部分のお芝居を見たかったんです。
 僕、そんなにモノマネしてた印象やった?
西 そうですね! かなりモノマネしてる印象でした。打ち上げとかですけど。
 どうやった、フリー芝居?
西 フリーのお芝居めちゃくちゃ面白かったです。第4話では永野さんに揺さぶりかけたらどうなるんだろと思って、永野さんに黙って、ある俳優が突然永野さんに話しかけてくる、というのを本番でやったんですけど、見事に昇華しててすごかったです。若手の方はカチカチにお芝居固めるからどうしても奥行きにかける部分があるから、生で永野さんのお芝居を見てもらって、熱を高めてもらいたいなという意図もありました。
 女教師とパンをエロく食べるという謎のシーン、あれは何なの? ベッドシーンよりも恥ずかしいわ(笑)。ベッドシーンやったことないけど!
西 あれも永野さんの狂気性を見たいのと、性と死の仄暗い所があってこそのコメディだと思うので、軸を担ってもらいました!
 あの、さっきから「狂気性」っていうのは、何? どこで僕に狂気をみた?
西 普通の市民のふりしてるところでしょうかね(笑)。たぶん多くの人は、愚痴を言ったりお酒を飲んだり、色んなことで折り合いをつけてると思うんですが、永野さんはそれが普段の生活から見られない印象です。優しいし気を使う人だし。だけど芝居になった途端にくるっと変わって、中にあるものがドバーッと出てくる感じがします。
 初めて聞いた分析だ。芝居以外で、感情を吐き出せないのが悩みなのよ…。感情が強くなればなるほど、言葉が喉につっかえてしまって。
西 永野さんが、吐き出すと生活が送れなくなるんじゃないですかね。(笑)
  なんじゃそりゃ(笑)。もうちょっと真っ当な人間やわ!
西 そんなことないですよ、芝居になったら平気で人を殺してしまうような人だと思ってます! あ、でもいい意味で言ってます。(笑)
 あと気になったのは、「性と死の仄暗い所があってこそのコメディ」というコメディ観。(笑)
西 僕のコメディ観というか、人生観ですね。 死に向かって、敗北に向かって、突っ走るところに笑いがあると思ってます! ヨーロッパ企画の舞台見てても、それを感じます。大きな事件や社会現象の中に、うずうずした人たちが細々した悩みや言い争いをしてる笑いという印象です。
 どう、「さよなら、ハイスクール」の仕上がりは?
西 作品全体としては、自分の好きなものを詰め込めました。暗い旅ポータルでやった企画も入れられたし。青春ドラマというより青春ファンタジーになった感じですね。(笑)こんな高校生活だったなという感じも入れられたし、実際僕がカツアゲされたこともあったので、そのシーンはうまくいきました。(笑)特に気にいってるのは、4話の永野さんですね! これまでの変なモノマネ先生から一変して、正統な先生だけど狂った感じになったのは、永野さんすご、うおーと思いました。
 気持ちいい対談やなあ! 今後の西垣監督の活動は?
西 ドラマ撮ったり、夏に舞台したり、来年公開の映画の編集したりしてます。
 忙しっ! すごいね。伸び伸び活動の場を広げてる!
西 ヨーロッパ企画メンバーとも作家の仕事を一緒にさせてもらってるので、あんまり変わらないですね。(笑)
 でもすごくいいね、この関係性でお互い気持ちよく仕事できてるのが。今後もお互いがんばりましょう。
西 まるで普通のひとみたいな狂気的なこと言ってますね。(笑)
 狂気は今、一切、潜んでないから! 締めたいだけだから対談を!

 

●永野宗典(ながの むねのり)/’78年生まれ、宮崎県出身。’98年、上田誠らと共にヨーロッパ企画の旗揚げに参加。以降、全作品に出演。

◎シアタービューフクオカ vol.93掲載(2022.3発行)