シアタービューフクオカのコラムで誌上最長連載を誇るヨーロッパ企画・永野宗典氏。
ゲストを迎えての対談形式コラム!


限られた字数制限の中、所狭しとお送りするショートショート対談。今回のお相手は、尊敬する女優・武田暁さんと!


今回のゲスト: 武田 暁
1976年3月生まれ。大阪市出身。魚灯所属。近年は主に外部で活動。現在公開中の映画『れいこいるか』(監督:いまおかしんじ)に出演。

 

永野(以下 ) 最近、配信劇やラジオドラマでご一緒することが続いて、そのたびに暁さんの演技に魅了されておりまして。主演の映画『れいこいるか』も観させていただきました。
武田(以下 ) 魅了…⁉︎恐縮きわまりないです(汗)え!映画も⁉︎ありがとうございます…。
 この間ラジオドラマで、観劇しに行く還暦の女性役を演じてもらったじゃないですか。タクシーの運転手さんに「京都府立文化芸術会館まで」という、何気ないセリフの言い方にいろんなニュアンスが詰まっててすごく感動したんです。老眼入ってる?って感じ、初めての場所に行く感じ、慣れないタクシーに乗る感じ、いっぺんにそのキャラクターの姿が見えたし、バックボーンも想起させてるなと思って。武田演技のイロハをイチから教えてください(笑)。
 イロハ(笑)!いやぁ…わたし、だいたいどこ行っても演技薄いって言われるんです。
 もっと濃くやってって言われるんですか?
 静かな演劇畑京都だからか…もっと濃く、出して!みたいな…(笑)。
 まず、台本もらったらどういう感じに役作り始めるんですか?
 台本でとっても想像膨らむものだと本当にありがたいんですが、それがない時とっても困りますね。
 イメージが膨らまない場合、どう作っていくんですか?
 作家さん、演出家さんと話して糸口を探す時もありますね。役割から考えて、その位置づけにハマりそうな感じの人を想像して…。あ、結構モノマネみたいな感覚でそのイメージした人を再現することが多いかもです。永野くんは口調とかどうしてるんですか?結構テレビでも濃いキャラクターが多くって、それって台本にその言い回しで書いてるのか?永野くんがあみだしたのか!といつも思ってて。
 劇団外の仕事だと、ひたすらウロウロして口元でボソボソ言いながら、しっくりくる口調や速さとかを探して、忘れないように、句読点の位置とかを台本にメモったりしてます。
 そうか‼︎やっぱり…偉いですね。職人のように陰で作業されている気もしていて、作品数多いから大変だろなって。
 暁さんの演技の入り口ってどんな感じだったんですか?
 最初学んだのはルコックシステムでした…(※パントマイムを手掛かりに舞台上の役者の身体・感情がどうあるべきか考えるメソッド)。人間でも動物でも機械でも、演じるものの再現を出来るだけ忠実にってことだったのかな?と思っています。想像力と再現力みたいのはいまも大事にしてるかな。
 演技を学んだな~!っていう出会いってありますか?
 所属劇団の魚灯ですかね。山岡徳貴子という演出家は役者でもあるので演技に厳しくって。
 はー!興味深い!厚みのあるキャラクター造形はそこで培ったと?!暁さんは感情から作るタイプか?計算して作るタイプか?どっちですか?
 やはり先ず感情ではあるんですが、台本に情報としてセリフが先行してあるので、つい、セリフ情報の意図に感情も乗りがちになってしまうところ気をつけると言いますか…以前、小さな子どもを亡くした母親の役で、錯覚ではあるんですけどその子どもと再会して「あなたは悪くないよ…」と言うシーンで、つい、シリアスになってしまって。その時に作・演出の山岡さんに「ずっと会いたかった小さな子どもにそんな怖い顔でモノ言うか…」みたいな事言われて、ハッ!として。
 うわーシリアスにやってしまいそうや…。
 わたしが未熟で、何かを表現しなきゃと、思ってしまってたんだと。そこからその感情を大事にセリフをテキストとして扱うと、表情がうっとりとなって。これがきっと、普通?なのでは、と。なるべく普通の視野を保てたらと思っています。自分に寄せて考え過ぎると、どうもその視野が狭くなるので俯瞰して、最初に言ったモノマネするくらいが丁度いいような気がしています。
 いや~、静かな演劇畑京都の貴重な財産だ〜。武田演技メソッドの本が出たら僕買います!

●永野宗典(ながの むねのり)/’78年生まれ、宮崎県出身。’98年、上田誠らと共にヨーロッパ企画の旗揚げに参加。以降、全作品に出演。ラジオ「ヨーロッパ企画のブロードウェイラジオ」(LOVE FM 毎週火曜日21:00~21:30)。YouTubeにあるアーカイブで武田暁さん出演のラジオドラマもお聴きいただけます。

◎シアタービューフクオカ vol.88掲載(2020.12発行)