舞台をはじめTVドラマ等でも活躍中の女優・池谷のぶえさんのコラム!

vol.23

このコラムは2ヶ月に1度執筆しているわけですが、ほんの2ヶ月前と現在では、世の中の様子がガラリと変わってしまいましたね。それにならって、演劇界の様子も。

2月末から上演・出演予定だった「お勢、断行」という舞台は、コロナ対策の洗礼を一番初めに受け、全公演中止になってしまいました。それなりに長い間舞台をやってきて、一回も本番をやることなく中止というのは初めての経験で。でも決まった瞬間は「仕方がない」と、思いのほか割り切れたものの、日を追って気持ちがモヤモヤしてくる…という不思議な経験をしました。10日ほどするとやっと気持ちのバランスがとれてきた気がします。

ですから、4月に入って初日を開けられないまま公演中止が発表される毎日に、座組のみなさんはいまきっとこんな感情なんだろうな、もう少ししたらこんな感情になるんだろうな…とわかる分だけ、どう声をかけたらいいのか、適切な言葉が浮かびません。しかし、ひとつだけ言えることは、「そりゃみんなやりたいさ、でも、いまはまたやれる時のためにやらないということをやる時さ」と思うほかありませんね。この冊子に記載されている未来の公演たちも、もしかしたら観てもらえないままになってしまう可能性もあると思います。でも、それだけ奇跡的で刹那的なことをやり続けてこれていたんだな…と、キラキラした姿と、そのキラキラを当たり前と思い込んでいた愚かさを反省したりする時間なのかもしれません。

とはいえ、なぜだかとても体調はよいです。なんでしょう、この天邪鬼な心身。毎日、なんとなく決まった時間に起きて、スムージーと具沢山味噌汁を飲んで、昼過ぎから夜ご飯を作りはじめ、我慢できず夕方に食べ、お腹いっぱいになってしまい早々に寝る…ただのぐうたら生活ですが、たくさん食べて、たくさん寝ることって、本当に大切なのですね。あとはたくさん笑うことも必要です。最近では時々、リモート飲みをして笑うことを補充しています。

便利な世の中で助かった。一人一台電話を持ってることすら昔には思いもしなかったですが、テレビ電話で飲むなんてことも思いもしなかった未来ですね。小学校6年生の時、21世紀を描くという図工の課題があって、みんなが空飛ぶ自動車とか、宇宙に住む姿などを描いている中、私はあらゆるものが自動販売機で買える…という地味な絵を描きました。ある意味地味にそんな世の中になってはいますが。私が小学校6年生の時の21世紀なんて、ほんの17年後の未来だったのだな。

いまから17年後は2037年、池谷66歳。何してるのかしら。
その頃、演劇は元気なのかしら。
いままた17年後の未来を描くとしたら、幸せな風景を描きそうな気がする。なんたって、なぜだかとても体調がよいので。

 

いけたにのぶえ/1971年生まれ、茨城県出身。俳優。幻の劇団「猫ニャー」出身。舞台を中心に活動中。

◎シアタービューフクオカvol.84(WEB版のみ)掲載(2020.5発行)