舞台をはじめTVやCM等でも活躍中の竹井亮介さんのコラム。本誌と併せてお楽しみください!


vol.8
私のミテクレをご存知の方には、なんとなくご想像いただけると思いますが、私、ラーメンが好きなんです。
福岡に行った時も、朝からラーメン食べました。美味しかったなぁ。数あるラーメンの中でも出身地神奈川県発祥の家系ラーメンがとくに好きです。最後の晩餐は?と訊かれれば家系ラーメンと答えるし、なんなら棺桶に入れてほしいくらいです。それくらい好きなわけですから、もちろんその年の最後の家系ラーメンを「家系納め」、翌年最初のは「家系初め」と称し、年中行事として食べることにしています。
2019年年末のとある日。少し夜も遅い時間に差し掛かってきていましたが、家系納めをすべく、比較的家から近い家系のお店に車で向かいました。好きなお店の暖簾分け的なお店です。ウキウキでしたよ、そりゃ。15分ほどのドライブ。車内では「チュルチュルチュルチュルチュルルルルン、チュルチュルラーメンチュルルルルン」と、以前「おかあさんといっしょ」で見てた「チュルチュルチュルルン」という歌を歌いながらニコニコしてたと思います。それくらいのウキウキ具合だったわけです。昨年の12月は舞台の公演もあったし、終わってからもすぐに、次の舞台の稽古が始まったので、なかなか食べに行けなかったものですから、家系欲求がかなり高まっていました。コインパーキングに車を駐めて車を降りた私は、颯爽と歩き出します!いよいよお店まで数メートル。最終的には私、小走りでした。そして、お店の前に着き、いざ入らん!と、入り口方向に目線をやると、扉の前に張り紙がありました。
「機械調整のため閉店」
早じまい?嘘でしょ!?ここで食べられないなんて想像すらしてなかった上に、こっちは完全に家系ラーメンの口になってるので、もうどうしていいかわからず、ただ茫然と立ち尽くすのみでした。
どのくらいの時間が流れたことでしょう。ひとつの考えが浮かびます。そうだ、本店行こう!おそらく車で40分くらい。大丈夫!ここの本店はわりと遅くまでやっている。今から行っても余裕だぜ!そう思うと、なんだか力が湧いてきます。血の気が引いていくような感覚すら覚えた先ほどの衝撃から立ち直り、血のめぐりがよくなってきた気がしました。再びチュルチュル歌いながら、夜のドライブ。そうして本店に辿り着いたのです。次の瞬間、私は頭の中でこう叫びました。
「閉まってしもたんかーい!」
そう。その日の営業ば終了してしまっていました。もうこの際、家系ならどこでもいい!近くにある、食べたことのない家系ラーメンのお店に入ることにしたのです。そしていただきました。しかし、満足できる味ではなく…。神よ!こんなに家系を愛しているのに、なぜあなたは私に試練をお与えになるのか!失意のままお店を出た私が、コンビニでおにぎりを購入したことは言うまでもありません。あぁ、人生って難しいですね…。

●たけい りょうすけ/早稲田大学在学中は、劇団「木霊」で活動。卒業後は様々な舞台を経験し、1999年、コントユニット親族代表を結成。ぽっちゃりとした見ためを活かした朗らかなキャラクターを演じると、場を和ませ、画面が一気にあたたか味を帯びる。その安定感は、各方面の監督からも信頼が厚い。

◎シアタービューフクオカvol.83掲載(2020.2発行)