映画『散り椿』主演・岡田准一&木村大作監督が福岡へ!葉室麟への想いを語った

CINEMA

「蜩ノ記」で直木賞を受賞した葉室麟の名作「散り椿」を、日本映画界の巨匠・木村大作が、三作目の監督・撮影作品として映画化。主演の瓜生新兵衛を演じた岡田准一と木村大作監督が公開直前の9月25日(火)に来福。舞台挨拶に登場し、福岡出身の原作者・葉室麟との思い出や撮影秘話を語ってくれた。

◆いよいよ公開ですが、今のお気持ちは?

木村大作監督:精神的に、非常に弱っています(笑)。昨日は一睡も出来ませんでした。映画作りというのは、そういうものなんです。封切りを迎えて、ワクワクする気持ちもあるんですが、やはり緊張します。僕をワクワクさせてくれるのはみなさんの力なんです。よろしくお願いします(笑)

岡田准一:最近は大作さんと一緒にいることが多いですが、特にこの1週間くらいはセンチメンタルになってて、本当にしおらしいんです(笑)。やはり全身全霊をかけて映画を撮られているのを僕らは間近で見ていますし、全部の責任を負うつもりで映画を撮られていますから、緊張されていると思うんです。驚くほど、しおらしいですよ。

◆福岡は原作者である葉室麟さんの地元でもありますが、福岡の方々に観て頂くお気持ちは?

岡田准一:僕自身、葉室麟さんに特別な思いがあります。前作『蜩ノ記』でアカデミー賞を獲らせていただきましたし、撮影現場にも来ていただいて、『岡田くんだったら、自分の作品はどれでも映画化していいよ』と、冗談でも言ってくださったりして。とても応援してくださっていた作家さんでした。実はこの作品も観ていただいていたんです。一緒に食事をした時にも、映画が完成したことをとても喜んでくださっていたので、福岡でそのご報告させていただけるのは、すごくうれしいです。

木村大作監督:映画のラストシーンで、瓜生新兵衛役の岡田さんが言う『大切なものに出会えれば、それだけで幸せだ』という言葉は、原作にあった台詞です。自分の実生活も、18歳で映画界に入って、最初に出会ったのが黒澤明監督、そして高倉健さんという名優にも出会う事ができました。今、79歳になっていちばん新しく出会った大切な方は葉室麟さんです。自分自身にも共通する思いがあったからこそ、この台詞で映画化を思い立ちました。高倉健さんも葉室麟さんも福岡の生まれですからね。その福岡で上映できるというのは感無量です。

◆この映画を撮る時に、主演は岡田さんだと決めていたそうですが、一緒にお仕事をされてみていかがだったでしょう?

木村大作監督:岡田准一さん主演で『散り椿』を撮ろうと決心したのは、2014年の冬でした。なので公開までに4年くらいかかっています。『追憶』という映画で岡田准一さんが主演でと、お話をいただいたのですが、僕はその後に『散り椿』を撮ろうと思っていたので、現場でカメラマンとして岡田さんを観られるんだと思うとうれしかったです。そして『追憶』の撮影が終わったその日に、ホテルで『散り椿』のシナリオを渡して、3日間くらいで「やります」という返事をもらって、それが今公開になるわけですから、感動しています。歳は42歳も違うんですけど、スゴい俳優さんだと思うし、これからの役者人生に大きなが道が開いている方だと思っています。

◆岡田さんが感じる、この作品の美しさとはどういったところですか?

岡田准一:葉室麟さんが描かれていた人間関係の美しさや必死に生きようとする美しさは根本的にあると思いますし、大作さんが79歳で初めて時代劇を撮るというのは、何か思いがあって撮られていると思います。そういう大作さん自身の思いの美しさや、描かれた人々、物語の美しさ、殺陣の美しさというのもあると思います。何よりも大作さんの撮られる映画は、とても艶っぽいというか色っぽいんです。この『散り椿』もとても色っぽい映画になっていると思います。

◆この映画では、クレジットロールで出演者のお名前はそれぞれに手書きされているんですよね。その理由は?

木村大作監督:みんなで作った映画ですから、それぞれに自筆でサインをしろと(笑)。僕だけが責任を取るのじゃ無くて、俳優さんもスタッフも全員で責任を取ろうという思いでやりました。ですが、スタッフも俳優さんもみなさん喜んで、自筆のサインをしてくれました。そういう細かいところまで考えながら映画一本一本を丁寧に作っています。

岡田准一:主演としての気持ちを込めて書きましたが、今回は(エンドロールに)何回も名前が出てくるので、それを見て習字を習おうかと思いました。大作さんのサインはカッコいいんですよ。僕もそんな風に書けたらと(笑)。

◆最後にこれからご覧になるみなさんに一言お願いします。

木村大作監督:観たらみんなに宣伝してください!(笑)

岡田准一:大作さんと一緒に仕事ができて良かったとスタッフ、キャスト一同が思いながら、撮影に臨んでいました。若い僕たちに対して、大作さんからたくさんのものを投げかけられているような現場でした。それが映画に出ていればいいなと思っていますし、感じてもらえるとうれしいです。沁みる映画なので、じっくりと観ていただけたらうれしいです。

【STORY】
享保15年。かつて藩の不正を訴え出たが認められず、故郷・扇野藩を出た瓜生新兵衛(岡田准一)は、連れ添い続けた妻・篠(麻生久美子)が病に倒れた折、彼女から最期の願いを託される。「采女様を助けていただきたいのです……」と。采女(西島秀俊)とは、平山道場・四天王の一人で新兵衛にとって良き友であったが、二人には新兵衛の離郷に関わる大きな因縁があったのだ。篠の願いと藩の不正事件の真相を突き止めようと、故郷・扇野藩に戻った新兵衛。篠の妹・坂下里美(黒木華)と弟・藤吾(池松壮亮)は、戻ってきた新兵衛の真意に戸惑いながらも、凛とした彼の生き様にいつしか惹かれていくのだった。散り椿が咲き誇る春——ある確証を得た新兵衛は、采女と対峙することになる。そこで過去の不正事件の真相と、切なくも愛に溢れた妻の本当の想いを知ることになるのだった……。
しかし、その裏では大きな力が新兵衛に迫っていた——。

 

 

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【監督・撮影】木村大作
【原作】葉室 麟 「散り椿」(角川文庫刊)
【出演】岡田准一、西島秀俊、黒木華、池松壮亮、麻生久美子
緒形直人、新井浩文、柳楽優弥、芳根京子、駿河太郎
渡辺大、石橋蓮司、富司純子、奥田瑛二

http://chiritsubaki.jp/

Ⓒ2018「散り椿」製作委員会

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