映画「曲がれ!スプーン」公開迫る!辻修×諏訪雅エスパーインタビュー!

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左・諏訪雅(ヨーロッパ企画)/右・辻修(動物電気)

 

いよいよ11月21日に公開となる映画「曲がれ!スプーン」。原作・脚本はヨーロッパ企画の上田誠、監督は本広克行。2005年の「サマータイムマシン・ブルース」以来、二度目のタッグを組んだ作品となる。主演に長澤まさみを迎え、どこまでもガーリーに仕上がったという「曲がれ!スプーン」は、この冬、一番観て欲しいキュートでハートウォーミングな映画。
この映画で主要なエスパーを演じる、「動物電気」の辻修さんと原作舞台でも同じ役どころを演じている「ヨーロッパ企画」の諏訪雅さんに、映画の見どころや普段から仲良しのお二人の関係などたっぷりお話を伺いました!このインタビューを読めば、「曲がれ!スプーン」が10倍楽しめるかも!?

■お二人は、それぞれどんなエスパーの役ですか?


人の心が読めるっていう役どころですね。舞台ではヨーロッパ企画の酒井くんがやってた役ですね。この人がね、最後にいい仕事をするんですよ。手応えのある役でしたね。

諏訪
僕はサイコキネシスといって物を動かす力を持っている役です。舞台でもずっと同じ役をやっているんですけど、映画ではまた違った感じになってますね。

■今回役作りはどのようにされたんですか?


今回は、すごく稽古をしたんですよ。稽古するって舞台では普通にやりますけど、映画では珍しいんですよ。二週間くらいかけて全員で稽古をしたので、本番で台詞が全部入ってるんです。だから、これまでの映画の現場よりは舞台の感覚に近くて、やりやすかったですね。

諏訪
この映画はすごく演劇っぽい作り方をしたんです。だからこそ、充分に稽古をしてから撮影に入ったので、贅沢にお芝居をやらせていただいたな、と思ってます。

■諏訪さんは舞台もやられていますが、違いはありましたか?

諏訪
舞台だと喫茶店に集まっているエスパー達がメインとなったストーリーなんですが、映画は長澤まさみさん演じる超能力バラエティー番組のAD・桜井米の目線がメインのストーリーになっているので、その辺が舞台とは大きく違う部分ですね。

■物語の中でも出てきますが、お二人はエスパー肯定派ですか?否定派ですか?


僕は否定派ですね。

諏訪
僕はずっと否定派だったんですけど、この「曲がれ!スプーン」の映画の打ち上げの時に、魔法使いアキットさんという有名なスプーン曲げができる方がゲストで来られてて、間近でスプーン曲げを見ちゃったんですよ。あれ?これはおかしいぞ。超能力ってホントはあるのかな?って、そこで気持ちが揺れちゃいましたね。

■元々は否定派なんですよね?

諏訪
子供の時は信じてたりしましたけど、やっぱりね、色んな経験を重ねて大人になると、そういうのないよね、みたいな(笑)


その魔法使いアキットさんは嘘つきでしょ(笑)ていうか、やっぱり種はあるわけでしょ?

諏訪
わかんないんですよ!ホントに。何にもしてないのに一瞬でスプーンが曲がるんですよ!

■あれ?辻さんはそのアキットさんのスプーン曲げは見てないんですか?


僕ね、その打ち上げの日に熱が出て寝込んでたんですよ(笑)

諏訪
残念でしたね〜。でもホントにビックリしましたよ。作家の上田くんも超能力とか超常現象とかは信じない派だけど、そういうのが、あったらいいなと思えるような映画を作りたいって言ってたんです。そういうことを信じられる大人がいる空気感みたいなもの作りたくて書いた作品だったんですね。でも、目の前で超能力を見せられちゃったんで、こりゃ、おかしいぞ、と。上田くんなんか2〜3日考え込んでましたね(笑)


オーバーだよ(笑)

諏訪
いや、ホントに。上田くんは、そのスプーン曲げを見てから、ず〜っとスプーン曲げの話してるんですよ。僕らは「わ〜すげ〜!」って言って、終ったんですけど、上田だけずっとその衝撃を引きずってるんですよ(笑)もう何でスプーン曲げの話しなくなってんの?実際に目の前で見たでしょ?っていうのをね、ずっと言ってる。それくらい衝撃的だったみたいです(笑)

■辻さんはヨーロッパ企画のお芝居には初めてですか?


「火星の倉庫」という舞台から観させてもらったんです。僕ね、実はあんまりお芝居を観ないんですよ。だけどヨーロッパ企画さんとは親交があったから観させてもらったら、これがホントに面白くてね(笑)昔、子供の頃に、ドリフを見てて「志村、後ろ!後ろ!」ってやつがあったじゃないですか。「火星の倉庫」っていう舞台で、ヨーロッパ企画の永野くんが同じような設定になってて、「永野くん!後ろ!後ろ!」って思ったもん(笑)めちゃめちゃのめり込んで、いいお客さんですよね(笑)それからハマりましたね〜。それからは、よく観に行かせてもらってますね。

■「曲がれ!スプーン」の原作は観られました?


DVDで観ました。映画の前に見て、ああ、こういうことか、と参考にさせていただきました。

■舞台作品の「冬のユリゲラー」を観られて、映画「曲がれ!スプーン」では出演されていますが、実際演じてみられていかがでした?


原作は舞台なんでね。どうしても舞台は演技がオーバーになるじゃないですか。当たり前なんですけど、映画では本広監督がオーバーな演技をしないでくれって言われたんですね。映像と舞台は全然違うんだよって、本広監督は常に言われていて、だから僕もそういうことを意識しながら、映像で必要な演技のやり方を改めて監督に教えていただきましたね。繊細な感じで、目の動きだけの演技とか。きちんと言ってくださるんですよ。それは舞台の演技だから、とか。だから本広監督と作家の上田くんには足を向けては寝られないですね(笑)

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■主演の長澤まさみさんと共演されてみていかがでしたか?

諏訪
いや〜、大人ですよ。映画撮ってる時って21歳とかでしょ?ホントに大人で、みんなに気を使うし、いちばん動くんですよ。


現場の雰囲気をちゃんとわかってるんですよ。こうしたら円滑に現場が進むとかね。助監督かって感じでしたね(笑)それくらい気遣いの人。ちゃんとわかっているんですね、何が問題で今こんな状況になっているのかっていうのが。いつもそういうアンテナをはり巡らせているから、パパパパッと理解して「こうすればいいんじゃないですか?」って言って自分でやっちゃう方なんですよ。

諏訪
だから僕らなんて映像のお仕事をガッツリやった経験も少ないので、わからないからボーッとしてたりするんですよ(笑)


比較的、ヨーロッパ企画の人たちはホントにひどいんです(笑)自分らの台本で、自分らの演目だから余裕なんですよ。だから、のんびりしてるし。僕はこう見えても映像の仕事も多いんですよ。だから映像の現場は、映像の現場として、そこは社会性を持ってやらせていただいているのに、ヨーロッパ企画の諏訪くんと中川くんは、台詞もうろ覚えだし(笑)のんびりしてるんですよ(笑)

諏訪
そんなことなかったでしょ!うろ覚えじゃないですよ!


みんなで台詞を確認しようって日があったでしょ(笑)

諏訪
いやいや、それはホントの確認ですよ(笑)舞台での設定と映画の設定では少し変わっている部分もあるから。ちゃんとやってますって(笑)

■(笑)今回の映画のそれぞれに、おすすめの場面はありますか?


今回の僕の役って、明らかに小劇場出身の僕みたいな役者がやるような役どころではないんですよ。どう考えても、ちょっと名の売れた人がやる役なんですよ。

■辻さんの役って、主役に次ぐメインどころですよね。


でしょ。役回りとしては大きいんですよ。だから最後のクライマックスで桜井米役の長澤まさみさんの心を読んで、本人を呼びに行ったりするんです。そこで帰ろうとして駅にいる桜井米が電車に乗ろうとするのを引き止めるシーンは、ぜひ見て欲しいところですね。そこのシーンは映画としても本当に大切な場面なんですよ。駅とか電車の感じとかを映画のスタッフが、かなり探して、ようやく見つけたような渋くて映画の雰囲気にぴったりの場所なんです。ここでしかこのシーンは撮りたくないって監督が言っていたくらい。それくらいみんなの熱い思いの詰まった場所での素敵なシーンなんです。そこはぜひじっくり観て欲しいですね。

諏訪
僕はね、舞台を含めると同じ役を5回くらいやっているんですよ。でもね、ホントに全部見どころなんですよ。


うわっっ。上っ面だわ〜(笑)

諏訪
違いますよ!!ホントにね、どこをとっても面白いんですよ!特に、喫茶店の中のシーンっていうのは、みんなでずっと稽古して撮影に挑んだんです。その会話をまわして行くシーンは、やっていて気持ちよかったんですよ。カメラの動きと連動してテンポよく会話を続けるところは、ホントに流れる様なんです。演じている時も、仕上がりをみても、あまりにもスムーズでいいシーンになっていると思いますね。舞台では会話を続けることだけを意識しますけど、プラスカメラがそれに加わって尚かつストレスなく観ていただけるようにってホントに稽古を重ねましたから。だから喫茶店のシーンで会話が続く場面は全部好きですね。もちろん会話劇の真骨頂みたいなシーンなので見どころでもありますよ。会話劇の面白さが、映画でも伝わると思います。

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*映画「曲がれ!スプーン」より。

■ヨーロッパ企画は、この映画公開の後、「曲がれ!スプーン」の舞台公演がありますよね。

諏訪
そうなんですよ。あるんですよ。

■今回は、どうなると思います?

諏訪
でしょ?僕の役でしょ?腐るほどやってるこの役を、どうしたらいいんだって思うんですよ。しかも何十ステージもやるんですよ(笑)これまでのステージ数を全部足したら、100回以上同じ役をやってるんじゃないかっていう(笑)


森光子さんレベルだよね(笑)

諏訪
そうですよ。もう普通にウォーミングアップとかしないでも、劇場に来て、そのまま舞台に上がれます(笑)


やれるでしょ、もう。

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■辻さんの役どころは誰になるんですか?

諏訪
酒井くんですね。


僕には全然お声がかからないから(笑)上田くんに、その辺どうなってんのかな?って話はしたんですけどね(笑)

諏訪
だって、舞台上の辻さんってやっぱ、ちょっと変じゃないですか(笑)映像の辻さんと普段の辻さんのギャップが激しすぎて(笑)

■普段の辻さんはどうなんですか?

諏訪
ネガティブだし。ホントダメだな〜って思うんですよ(笑)


いいじゃないですか、そっちの方が(笑)夢があるでしょ。

諏訪
でも芝居になると、ちゃんと今回のようなかわいらしくてキチッとした、一番の常識人になっちゃうんですよね(笑)オカシイと思いますけどね。

■私何度か舞台で拝見してますけど、全然普通の人に見えますよ。だからそういう方だと思ってました。


ほらね、それでいいんですよ。そういう、役者としてちゃんとやれてるから(笑)

■今回一緒に映画も舞台もやられてみて、お互いの感想はどうですか?

諏訪
僕は今言ったような感じなんですけど(笑)でもね、現場に入る時は「まだ目が覚めとらんわ〜」とか言ってるのに、カメラまわったら人が変わったようにちゃんとやるんですよ。そういうところはめちゃくちゃな人だな〜とは思うんですけど、でも、僕、辻さんが大好きで、10年くらい前から動物電気を観てるので、ホントに辻さんと共演できてめちゃくちゃ嬉しかったんです。それを初日に言ったのに、次の日くらいから扱いがひどくなったんですよ(笑)見下されたんじゃないかな(笑)


違うんです!なんとなくこの人は絡みやすいなと思って(笑)喋りやすいし、イジりやすいし(笑)現場もすごくなごやかな雰囲気だったんで。ただね、本人が撮影当時に比べて20kgも痩せてるんですよ。だから映画を観る人は驚かないでほしいですね(笑)あの太った人でしょ?っていうほんわかしていいイメージだったのに、ダウンしてるんですよ(笑)イメージダウン、でしょ。

諏訪
イメージダウンとか言わないで下さいよ!あれは、ああいうヤツなんですよ。ちょっと太ったキャラ。僕、役者ですから、あいつはああいうキャラなんです。


100kgのね(笑)

諏訪
そうそう。でも、普段の僕は、全然違います。


あ!役作りで100kgの人になってたんだ?(笑)

諏訪
あったり前じゃないですか!


すごいね!デニーロみたいだね(笑)そこまで意気込みがあったとは知らなかったな〜。

諏訪
そうですよ、体型くらいすぐ変えちゃいますよ!でもね、痩せたといっても80kgはあるんですよ。役者として続けていく為にはやっぱり健康第一じゃないですか。もちろん、キャラ作りっていうのも大事ではありますけど、僕は役者業を長く続けたいんで、その為には痩せれる時に痩せとかないと、これからどんどん痩せにくくなってくるんで(笑)

■(笑)話は戻りますが、辻さんが改めて感じた諏訪さんの役者としての良さは?


役者としての諏訪くんはね、面白いですよ。面白くてちゃんと返してくれるんですけど、ただ。。。見つからんな〜。良さが。あ!今回、映画も一緒でしたけど、舞台も共演させてもらって感じたのは、役がブレないですね。そういう部分は役者として尊敬できますね。何回でも同じことをやれるっていうのは、精神のスタミナをもってるんじゃないかと思いますね。

■お二人は普段から仲良しだってお伺いしてるんですが。。。


あのね、気遣いの人なんですよ。話が途切れたりすると、気を使って自分の興味のある話を色々してくれるんですよ。空間は五次元まであるとか(笑)僕はその時飲んでるので、難しい話は理解不能なんですけど、なんだか二人で盛り上がっちゃうんですよ(笑)そういう人に気遣いながら自分も一緒に盛り上がろうとするところなんかは一緒にいて楽しいですね。

■ちょっとグダグダになってきたので(笑)最後に今回の映画についてそれぞれにコメントをお願いします。


ホントに長澤まさみちゃんが、予想以上に素晴らしく小劇場の役者の中にとけ込んでいるんですよ。ホンッとにね、よくやってくれたと思いますので、まさみちゃんが僕らとホントによく遊んでくれて現場の雰囲気もすごくなごやかで楽しかったんです。それが画面にも出てると思いますので、それをぜひ楽しんで下さい!

諏訪
試写で観たんですけど、ちょっとね、最後のシーンで泣けるんですよ。もちろんそこは辻さんが活躍してるシーンでもあるんですけど。もともと超能力がどうこう言ってて、おかしな話じゃないですか。それなのに、ちょっとハートウォーミングなんです。恋愛とか人の生死でもないのに、なんで泣けるんだ、っていう変な感覚なんですけど。原作はコメディーなのに、最後になんだかこみ上げてくるものがあるんです。これはいい映画だなと確信してますね。


ドラえもんみたいだね(笑)

諏訪
ああ!でもそういう感覚です!11月21日公開なので、ぜひ、劇場であったかい涙をながしてください!

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【11/21〜全国東宝系ロードショー】 new.gif
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「曲がれ!スプーン」

■11月21日(土)~
■監督/本広克行
■原作・脚本/上田誠(ヨーロッパ企画)
■出演/長澤まさみ
 三宅弘城、諏訪 雅、中川春樹、辻 修、川島潤哉、岩井秀人
 寺島 進、松重 豊、甲本雅裕、三代目魚武濱田成夫、ユースケ・サンタマリア(友情出演)、升 毅(友情出演)、佐々木蔵之介(友情出演)
永野宗典、本多 力、与座嘉秋、川岡大次郎、ムロツヨシ、石田剛太、土佐和成、酒井善史、山脇 唯、西村直子、角田貴志、赤澤ムック
 平田 満、木場勝己・志賀廣太郎
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