コラム・岩井の好きな映画 vol.28 「ビリー・エリオット」「キス我慢選手権 THE MOVIE2」

シアタービューフクオカで絶賛連載中のハイバイ・岩井秀人氏のコラム「岩井の好きな映画」。本誌と併せてお楽しみください!

ハイバイ・岩井秀人コラム【岩井の好きな映画】vol.28  ビリー・エリオット/キス我慢選手権 THE MOVIE2

ハイバイ「霊感少女ヒドミ」の全国六ヶ所ツアーも終わり、久々にゆっくりパズドラとかをやって過ごしている僕ですが、映画は2本ほど見ました。
あ、正確には、見に「行きました」です。

一つは「ビリー・エリオット」。これは原作となった映画「リトル・ダンサー」を元にしたミュージカルの舞台を映像化したもので、ややこしいですが、まあ、舞台映像です。
ただ、やはりピーター・ブルックなんかがいたりするイギリスのミュージカルともなると、演出がすげえです。そして全く、僕はそれを言葉で表せません。とにかく感じさせることが上手いです。僕も一応演出とかを仕事にしていますが、「これだ!」という「演出の手」みたいなものが見えないんですよね。大抵の演劇には「ああこれね。」っていう「演出の手」が見えて、「そいつぁすげえや」とか思って、いや、全然思わないでブーたれてみてることが多いのですが、「ビリー・エリオット」は、本当に力強い。主人公の10歳くらいの男の子も力強いし、その主人公のおばあちゃんまで、力強い。「わたしも、むかしゃ、夢がいっぱいあったんだぁよ」なんてことを歌う、ありきたりとも言えるシーンなのに、ガッチリ胸に染み入ります。

もう一つ、「見に行った」のは、前作で僕も出演させてもらった奇跡の映画「キス我慢選手権 THE MOVIE2」でございます。
ああ言いたい。なにを?内容を?ネタバレしちゃうから言えないけど言いたい?違います。「見ました」と言いたい。でも言えない。「見に行った」のに「見た」と言えない、この不思議。
東京ではこの「キス我慢MOVIE2」は、上映しているところは新宿のバルト9の1館のみでして、それも夜中の0時過ぎからとなっていまして、あとは東京を離れ、千葉の幕張にあるイオンモールに望みを託し、ちゃんと「キス我慢選手権 THE MOVIE」と確認をして、ホームページ上でチケットを買った訳ですね。そして家から2時間近くかけてたどり着き入場し、座席に座りまして「イオンモールの中の映画館は宣伝が長いな。嫌になっちゃう」とか思いながらも、堂々と「キス我慢」は始まりました。オープニングで、おぎやはぎ、バナナマン、松丸さんが話し始めて、「そうなんだよね、パート1でもそうだけど、この導入が大事なんだよね。」なんて、映画とバラエティの垣根を越えた前作を思い出したりしてたんですけど、それにしてもその、パート1の思い出と、すご~く似てるんですね。おぎやはぎ、バナナマンのやりとりが。
もうお分かりですよね。「2」じゃありませんでした。「1」でした。
そして仕方なく「1」を見たあと、「2」で僕と同じ役回りをしている安井順平さんが出演しているイキウメを見に行って、飲み会に参加をしたんですけど、悲しいかな「キス我慢」の話が、なかなか出来ず、気まずかったです。でも安井さんは優しかったです。
必ず見ます。そしてそれを次号に書かせてもらいます!涙

いわい ひでと/1974年生まれ。劇作家・演出家・俳優、ハイバイのリーダー。 「ある女」で第57回岸田國士戯曲賞を受賞。2015年2月7〜8日「ヒッキー・カンクーントルネード」をKAAT神奈川芸術劇場大スタジオで演出、山崎貴監督「寄生獣」(11月29日全国公開)に出演中。
http://hi-bye.net/

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