大塚ムネトの「かぶりモノ大図鑑」No.006

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No.006 十円ベエ/中村卓二

チロルチョコVSライスチョコ
 昭和34年、チビッコ達の間に衝撃が走った。何と、たった10円のチョコ「ライスチョコ」が登場したのだ!当時のチビッコにとって、チョコは手が届かない憧れのおやつ。それが自分のお小遣いで買えるのである。チビッコ達は大喜びした。もちろんライスチョコの誕生前にも10円チョコは存在していた。
しかし10円で売るために使える「原料のチョコ」は少なく、見るからに小さなモノばかり。たまに大きなモノがあっても「中が空洞」という、かじった瞬間に落胆させるガッカリチョコしか存在していなかった。そこにチビッコ達の「10円で買える大きさの常識」を超える、大きなライスチョコが登場したのである。この嬉しいサイズは、少ないチョコで大きく見せるため「チョコの中にポン菓子を入れる」という開発陣の涙ぐましい努力の結果だった。ライスチョコは全国の駄菓子屋で大ヒット商品となった…。それから3年後の昭和37年、筑豊で飴菓子を作っていた松尾製菓が「チロルチョコレート」を発売し、ライスチョコが独占していた10円チョコの世界に戦いが起きる。軽さがウリのポン菓子に対抗するかのように、チロルチョコの中身はコーヒーヌガーとボリューム満点。もともと飴を扱っていたから出来たウルトラCであった。チビッコ達は驚愕した。ライスチョコの大きさへの感動も薄れ「しょせん10円チョコだから、中身も軽くてあっさりだよなぁ…」と、現実の厳しさを感じていたところに、同じ10円でしかもヌガーという腹持ちのいいチョコが誕生したのだ。こうしてチロルチョコはすぐに大人気となり、大阪を境に「西のチロルチョコ、東のライスチョコ」と呼ばれるようになるのである。

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