泊篤志の「芝居音楽、兄弟対談」vol.6
6つめのお題 飛ぶ劇場がバンド結成?
篤=泊篤志(飛ぶ劇場代表、劇作家、演出家)
達=泊達夫(飛ぶ劇場、音楽担当。泊篤志の弟)
篤 えー、お芝居で使っている音楽、オリジナル音楽ってどうやって作っているんだろう?というのを明らかにしていこう!という、芝居音楽対談も6回目になりました。
達 意外にネタが尽きないね。
篤 それだけ活躍しているってコト?
達 タツオの時代が来たと(笑)。
篤 (苦笑)今回はその売れっ子タツオ率いるバンドについてレポートしようと、その稽古場にやってきました。
達 え?タツオが率いてるの?まあ、飛ぶ劇場の公演で作ってきた数々の楽曲をですね、生演奏生歌で披露しちゃおう!というのが今度ありましてね。飛ぶ劇のメンバーに「やりたい人?」って募集したら、なかなかの大人気で。抽選で8人に絞りまして。
篤 精鋭部隊だね。
達 まあ、本当は稽古に出て来れそうな人だけで。
篤 そうそう、今回のバンドはですね。飛ぶ劇20周年を記念して、過去の舞台美術や小道具や衣裳やらを展示する「飛ぶ劇場アーカイブ」ってのがリバーウォーク北九州の5階、アート&エコスペースで8月9日〜30日まで催されるわけですが、その中で、週一でバンド演奏が披露されるんです。
達 詳しくは飛ぶ劇HP(http://www.tobugeki.com)をご覧下さい。
篤 はい、その稽古場ですが、なかなかの熱気ですね。
達 ていうか、みんなイッパイイッパイなんですけどね。
篤 あー、楽器初めて触るような人も居るとか。
達 ハヤマンのベースは初挑戦ですね。
篤 ベースを?それ大丈夫なの?
達 さあ。
篤 (ベースに取り組む葉山君を見て)おとないしね、ていうか真剣だね。
達 私生活が荒れてるらしいんで。
篤 このバンドに集中し、うさを晴らす、と。
達 お前、オレの生き様を見ろ、と。
篤 意味が分かりませんが。
達 じゃ、稽古するんで、また後で。
篤 (稽古が始まる)最初の曲は「モドケフ・ダル」ですね。1997年に初演した『ジ エンド オブ エイジア』で演奏されたものです。ヒマラヤの山小屋での一夜の出来事を描いた作品で、夜に盛り上がって現地の歌を披露するって場面で歌い踊られたものです。おー、ボーカルは鵜飼さんで、ジャンベ(パーカッション)がタツオ、ツインギターが寺田&藤尾、キーボードが内山ナオミ、ベース:葉山。なかなかいいじゃないスか。アレンジはオリジナルに近いのかな。あーでもパーカッションが不安定だなぁ。後半の盛り上がりから盛り上がれないね。この曲はタツオのパーカスにかかっていると言っても過言ではありません。
達 今日、初めてこの曲でジャンベやってみたということもありまして・・。
篤 あーでもね、なんか思ってたよりもいいよ。ちょっとホッとした。
達 へえー。全然ダメダメて言われるかと思ってたけどねえ。意外に軽く褒められたなあ。
篤 (次の曲の稽古開始)お次は、2001年の作品『ロケット発射せり。』より「あなたの肩に猫がいる」ですね。これは劇中に出てくる大女優さんが出演してたTVドラマの主題歌って設定だったんだけど、このアレンジ凄いな。ムード歌謡な感じって言うの?ボーカルの内山ナオミが凄い、凄いよコレ。タツオさんはピアニカ吹いてますね。これちょっとテンションあがるなぁ。
達 内山さんがいいでしょ。
篤 いいっていうか、危ないね。危険な香りがする。あと、3番まで歌ってんだよね。
達 本番では歌の1番しか使われなかったんだけど、実は3番まであったということで、全部歌ってみました。
篤 これあれだよね、1番がタツオくんで。
達 2番が青年団のマチコさん(松田弘子さん)。
篤 そうそうこの時客演で出てて、あたしも歌詞書く!って書いたんだよね。で、触発されて僕が3番を書いたと。
達 晴れて3番まで公開ですよ。「あなたの肩に猫がいる」で検索したら、たぶんマチコさんのHPの歌詞のページが見れますよー。
篤 お次は、2002年の作品『ミモココロモ』より「気狂いの唄」だね。コレは実際劇中で歌った寺田くんが、ギター持ってしっとりと歌い上げます。おー懐かしいわ。(途中から色んな楽器が加わってきて盛り上がる)おーおー、へー、あー何か良いねぇ。これは安心して聞けるね。うんうん。
達 ま、これはね。寺田くんにかかっているからね。1番だけじゃ短いので2番も作ろうかなあって思ってます。
篤 次は、2003年に『生態系カズクン』の続編として作られ、新旧2本立てで上演された『カズクン、旅に出る』から「旅に出るんだ持ってくよ」です。こりゃあアレンジがまた良いねぇ。あーこれいい歌だわ。うんこれいい。自分で言うのも何だけど良い歌です。ボーカルはタツオくんですな。(途中から全員でハモる稽古になって、稽古中断)ハモりは難しいよね。
達 難しいね。ハモんなくてもいいんだけど、ハモってみよう!という熱いメンバーの意見に押されてね。
篤 ハモってみようと。
達 限界を越えてみようと。
篤 あなたは主旋律だから、そんな大変じゃないよね。
達 いやいや、主旋律がハモりグループに引っ張られそうになって。
篤 それ駄目だよね。
達 駄目駄目。だから大変。
篤 でも何かな、この曲は芝居そのもののテーマ曲みたいなのだし、他のと違って企画モノじゃない、曲として自立してて良いね。これはライブの最後の方に持ってくるといいんじゃない?
達 まだ曲順とか考えれる段階じゃないっす。
篤 MCとかどうすんの?
達 どうしようかなあ。どうすんだろね?
ココら辺で稽古時間は終わり、皆が片付けを開始。
篤 えー、ではココら辺でメンバーにひと言意気込みを語ってもらいましょう。お疲れです。
寺田 あ、どうも。
篤 どうすか?バンドは?
寺田 これ僕の思いつきで始まったんですよ。
篤 あ、そうなんだっけ?
寺田 「あーさんと動物の話」でも歌うってもっぱらの噂でしょ。だから・・。
篤 あー、ね。
寺田 バンドの名前が「あしみのわーぽ」と言いますの。
篤 え、あ、そんなのあるんだ。
寺田 みんなから一文字ずつ募集してさっき作りました。バンドですもの。
篤 へー。
寺田 プロみたいなマネは出来ないけれど心を込めて歌います!
篤 はい、ありがとうございます。お次は。
藤尾 藤尾です。クラシック・ギターほったらかして2年が過ぎました。ちょっと弾いただけで指も手首も痛いっす。
篤 そう言えば、前になんかやってたね。
藤尾 これを機に再びギター魂を燃やしたいっす!世界で通用するギタリストになってやるゥ!!と叫ばないし思いませんけど練習練習。
篤 みんな真剣だよね。
藤尾 バンドメンバーの上達は素晴らしいです。焦ります。ヤバイ!
篤 頑張って。
藤尾 短期間なのにメンバーの結束力は固いんですよ、いや、むしろ結束力ばかりが固くって、それはそれで面白いものができつつありますけど。「意外にやるじゃん」ってより少し上級の褒め言葉がいただけるよう頑張ります!
篤 はい、頑張っておくれ。お次は。
葉山 ベースの葉山です。初ベースです。フジロックに出れる様に頑張ります!
鵜飼 パーカッション鵜飼です。ウキウキして稽古してます。ドドンパで頑張ります。
内田 みんな中々渋いっすよ。飛ぶ劇ビッグバンドって感じ?お客様と一緒に歌いたいなー。参加型ライブ希望!
内山 中学生の頃夢みていたバンド結成ですよ。思いがけず夢が叶ってしまいましたよ。
篤 え、そうなの?宝塚だけじゃなく?
内山 うん、宝塚だけじゃなく。この調子でいけば、私の人生最大の夢、「徹子の部屋」への出演もかなっちゃうかもね!
篤 やー、それはどうかなぁ。
内山 いやその前に、このバンドで紅白出演です!
篤 あー、グループ魂も紅白出たしね、夢は大きくね。
内山 頑張ります!
篤 じゃあ最後はリーダー達夫に締めてもらいましょう。
達 たぶんですねー、演奏はグダグダで、トークもグダグダ。そんなゆるいイベントになることが予想されます。本人たちは必死ですけどね。
篤 ま、イベントだし、そこは楽しもうよって事で、ね。
達 ま、それでも構わないという海のように心の広い方がいらっしゃいましたら、是非会場までお越しくださいませー。
篤 是非是非。ということで、今回は飛ぶ劇バンド、名前なんだっけ?
達 えーっと、「あしみのわーぽ」。
篤 なんとかわーぽの稽古の様子をレポートしてみました。
達 次回は飛ぶ劇の新作の話とか
篤 おおっと、10月からスタートする新作『あーさんと動物の話』もヨロシクです。
達 これって歌とか曲があるっていう噂を聞いたんだけど?
篤 たくさんあります。
達 大変ですね。
篤 大変ですよ。
達 劇中に歌う?
篤 歌います。
達 おー。
篤 ま、次回はそのネタをね。ネタバレじゃない程度に。
達 披露していきましょうかね。
篤 公演の詳細は飛ぶ劇サイトに載ってるんで、詳しくはそちらを。
達 んじゃ、まー、そんなとこで。