泊篤志の「芝居音楽、兄弟対談」vol.3
3つめのお題『冒険王07』
篤=泊篤志(左:飛ぶ劇場代表、劇作家、演出家)
達=泊達夫(右:飛ぶ劇場、音楽担当。泊篤志の弟)
篤 えー、お芝居で使っている音楽、オリジナル音楽ってどうやって作っているんだろう?というのを明らかにしていこう!という、芝居音楽対談も3回目になりました。今回のお題は、2007年1月に北九州と長崎で上演される『冒険王07』です!
達 再演の要望が北九州芸術劇場に殺到したとか?
篤 殺到したかどうかは知らないけど、2004年12月に『冒険王04』をやりましてね
達 いい歳をしたオッサンもたくさん泣いてたとか
篤 そうそう
達 まあ、自分もそこそこオッサンですけどもうね
篤 そんな『冒険王』は、元々は飛ぶ劇場の演目で、初演は1990年。わたくしまだ大学生で
達 僕はまだ高校生だね
篤 いや参加してないよね
達 してないけどね
篤 16年前ですよ
達 へえー、そんなになるんだねー
篤 初演、観たんだっけ?
達 えーっとね、観た
篤 そんな『冒険王』、劇中に歌が出てくるんですよ
達 アニメのね
篤 今はオリジナルの歌を作ってますが、初演は『大魔王シャザーン』ってアニメの歌を歌ってました
達 パパラパーって
篤 はいはい、魔法をかけてって、ランプの魔人みたいな話で
達 それを、『冒険王98』で、1998年に再演した時に
篤 オリジナルアニメを作りました
達 アニメは作ってないけど、オリジナルでアニメの歌を
篤 それが『エアロマン』っていう
達 勝手に作った、エアロマンってアニメがあるって設定で、『宇宙パトロール エアロマン』
篤 あれ何でエアロマンだったの?何、エアロって
達 いや、なんとなくかっこよさそうな感じだったから
篤 あー、いかにもありそうな感じでね
達 いかにもありそうでなさそうな感じでね
篤 はいはい、歌詞はこんな感じです
『宇宙パトロール エアロマン』
♪この俺の秘密を知ってるかい
俺は宇宙のパトロール
迫り来る魔人を ぶちのめす
戦え正義の ブラストファイアー
GO!GO!GO!GO!エアロマン!
GO!GO!GO!GO!エアロマン!
地球を守れ!
達 バカですねー
篤 作詞作曲:泊達夫ですよ
達 それで2004年に北九州芸術劇場で再演されると聞いて、果たしてエアロマンはどうなるのか?と
篤 あのまま使われるのか?と
達 気になってたんですが
篤 演出の岩崎さんがね
達 いらねぇと
篤 いらなくはないけど
達 お前の曲じゃ駄目だと
篤 あの詞は何だと
達 直接ではないけれど、激しく拒絶されたとのことで、まあ普通にヤケ酒ね
篤 演出の意向ですからね
達 仕方ありません、泣き寝入りです。ヤケ酒ね
篤 演出からは、その『冒険王』の持つテーマというか、時の流れみたいなのがあるじゃない、そういうのを歌詞にも込めたいという要望があって。んで、僕が『冒険王04』版の歌詞を書きました
達 その歌詞もここに掲載しときますか
『時空戦士エアロマン』
♪ギュンギュン ジェット! ギュンギュン ジェット!
ギュンギュン ギュンギュン ジェットー!
走る走る 時を越えてやってくる エアロマン
未来から 過去から 僕らのヒーロー
迫り来る魔人を やっつける
真っ赤な空を 君を乗せて
ギュンギュン ジェット!
時空戦士エアロマン
達 なるほどね、時空をね
篤 時を越えてやってくる孤独なヒーローをイメージしてみました
達 何でギュンギュンジェットなの?
篤 エアロマンってどういう意味かなって辞書とかで調べたりして、そしたらまあ「ジェット機野郎」みたいな意味なんだなって。正解かどうか知らんけど、んでギュンギュンジェット
達 最初の時は設定も何もなかったしね
篤 適当に、勢いで作ったんでしょ?
達 ぽいのを作っただけで、子門真人風に
篤 『冒険王04』では、作曲が橋本剛さんという、スーパー作曲家が参加してくれて
達 『冒険王』そのものの音楽も作っているという
篤 演出:岩崎さんの絶大なる信頼を得ている方ですよ。稽古場にオルガンがあったんだけど、稽古中に、ここのシーンに曲が欲しいっていうと、その横で即興でオルガンを弾くのね、剛さんが
達 スゲー、その曲がもうイイんだ
篤 そうそう、何かもう作って練習してきたんじゃないの?ってくらい完成してて、もうその場面にピッタリで、泣けるんですわ
達 へえー、それでもう即録音して?
篤 それはスタジオで別の時に録ったんだけど、もう頭にインプットされてて、譜面とか無くって弾けるんだわ
達 すげえー、ミュージシャンだ!
篤 ちゃんと音大とか出てる人だしね
達 すげえー、こっちは独学だしねー、早くも負け戦ムード
篤 というかあなた八重山民謡の人だからね
達 だっからよー、わったーオバアはよー、でーじ元気やっさー
篤 (苦笑)んで、新エアロマンの歌が完成し、石川さんという本格的な声楽の歌い手さんに歌ってもらって
達 オペラさんだ
篤 あだ名がね、オペラさん
達 本格的なエアロマンが出来たと
篤 はい
達 達夫の出番は無いと
篤 産みの親なのに、どういうことだ!と
達 まあそこはね、大人ですから。声を大にして言いませんけど
篤 でも今回、『冒険王07』では、その歌い手を達夫さんにしてみてはどうかという声がどこからかあがりましてね
達 そうそう、そんでもって何と録音してきましたー!
篤 熱唱してますねー
達 気持ち良かったねー
篤 Tシャツ1枚ですね
達 熱かったもんねー
篤 それで、録音した夕方にさっそく演出岩崎さんに聴いてもらって
達 没でしたー!
篤 はい
達 いやー残念でした
篤 そこはそれ、演出のイメージがね
達 ちょっと違ったとのことで
篤 達夫さんの方がいいなってフレーズはあったんだけど、オペラさんの方がトータルでは、やっぱイメージに近いなって
達 自分は全力を出し切ったので悔いはないっす
篤 NGかました岩崎さんの写真を撮ってきました
岩崎正裕(演出)
達 小さく「×」作ってるね
篤 演出家ですから、そういう細かい芝居するんですよ
達 時間があればねー、オッケー出すまでしつこく録り直したりするんだろうけど
篤 まあ達夫さんにはお礼に『冒険王07』の招待券がプレゼントされるそうですから
達 ありがとうございますです。そういうことでね、わたくし達夫の歌は聞けませんが、『冒険王07』は1月中旬、下旬と公演です
篤 北九州の土日のチケットは残り少ないらしいんで、お早めにお求めください
達 へー、売れてるんだ
篤 待望の再演ですから
達 エアロマンに込めた熱い思いをね、感じてください
篤 ということで、今回は『冒険王』をテーマに、その劇中歌『エアロマン』の秘話をお届けしました
達 次回は『正しい街』東京公演に関することを
篤 お届けする・・・予定です
達 結構スケジュールつまってるよね
篤 『冒険王07』終った2週間後に本番です
達 おー 近いね
篤 そんな切羽詰った状況もお伝えできればと
達 じゃ、ま、そんなとこで