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「いつも心に太陽’sを!」大塚ムネトインタビュー

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ギンギラ太陽’s 大ギンギラ博覧会2006「いつも心に太陽’sを!」が11月22日(水)から西鉄ホールにて公演がスタートする。福岡とは切っても切れない定めと縁のギンギラ太陽’s。来春に10周年を迎える彼らの、いわば“プレ10周年”のお祭りだ。おなじみのキャラや懐かしいキャラが大集合!そして、ちょっと泣ける新作など見どころ盛りだくさん!そんなお祭り公演を数倍、いや数十倍楽しめるくらいの話を主宰・大塚ムネト氏に語っていただきました!

■今回ショート3本立てにしようと思ったきっかけは何ですか?

ギンギラが初めて西鉄ホールで公演したのが1999年なんですけど、その時は「夏休みギンギラ祭り」ってタイトルで3本立ての公演だったんです。僕の中で賑やかなお祭りというと「東映まんがまつり」のイメージなんですよ。ホントだったらそれぞれが違う番組で主役のキャラたちが、まんがまつりのポスターではみんな一緒に出てる。で、別の番組のヒーロー同士が戦ったりするんですよね。一体何が起きるんだろうって子供ながらにワクワクして、その映画の多くは3〜4本立てになっていて、長編があったり短編があったり、僕の中ではとても賑やかなお祭りだったんです。そのまんがまつりが大好きだったこともあって、西鉄ホールでの初めての公演は、「夏休みギンギラ祭り」ってタイトルにしたんですよ。その時は、お祭りの賑やか感にプラスして、ギンギラ太陽’sを初めて観る人からいつも観てくださっている方まで、みなさんに楽しんでいただきたいと思ったんですよ。そうするためには、オムニバス形式にして、ギンギラの色んな部分を観てもらって、どれかを好きになってもらえればいいなと。ギンギラは来年10周年を迎えるんです。それに向けて、というのもあるんですが、もう一度色んなお客様に僕らの芝居を楽しんでいただこうと思って、今回こういうスタイルにしました。

■いつも観てる人は懐かしく観ることもできますしね。

そうですね。もちろん新作もありますから、今のギンギラも楽しんでいただける。オムニバス形式にすると、あらゆるお楽しみを盛り込めるんですよ。まずお客様でいうと「初めまして」の方から「毎度どうも」の方まで楽しんでいただけますし、作品としても幅広く紹介できるんです。笑いに徹したものからシリアスなものまでね。「女ビルの一生」は、擬人化された流通キャラたちが経済の流れを人生に例えて表現している。笑ってちょっとホロリときて、まさにギンギラらしい作品なんです。そして「震電」の物語は取材に基づいたシリアスな物語の新作です。その合間に「お蔵出しスペシャル」の人気キャラたちが、息抜きがてらにいっぱい出てくるっていう構成なんです。この方法だと作品としても思い切ったことができるんです。さらにお客様にも楽しんでもらえるし、で、何より賑やかなお祭り感があると思うので。来年の10周年を前に、前夜祭的なノリで秋から盛り上がっていこうと。それから来年春の10周年では、第一次流通戦争から第四次までの全てをまとめたオールスターキャストの物語。作る僕も今からワクワクですね。

■そのシリアスな「震電」という作品は、“震電プロジェクト”に出会ったからこそ、作品にすることができたとういことですが、構想から作品に仕上げるまでに苦労した点とかありますか?

ギンギラをやる時に苦労する事は、コレだ!と思う物語の軸に辿り着けない時だけですね。辿り着けた後の苦労は無いですよ。ギンギラ太陽’Sのお芝居は、物語を作る前に必ず題材にする場所に行って、現場の人にきちんと話を聞くようにしているんです。その現場に行くまで、現場の方にお会いするまでに苦労があるんです。

■現場に行ってしまえばイメージが沸いてくるけど、その題材を決めるまでに苦労があるんですね。

そこに行って何かしら出会えれば、“よし!”って感じはありますね。震電はホントに作品に持っていくまでのきっかけがなくて、ずっと温めていたんです。今回、震電プロジェクトの方にお会いするまでは、随分悩んでましたね。お会いして、当時学徒動員で震電を造っていた方のお話しを聞いて、渡辺鉄工(戦争中に震電を造っていた「九州飛行機」の流れを継ぐ会社)の方にも話を伺うことができて、昭和9年からある倉庫を見学させてもらえた時に、やっときっかけが見つかった!と思ったんです。作品を作りはじめる時にある程度、骨組みは作って取材に行くんですけど、実際、取材を通して出会った方やその話を聞いていると、思ってもいなかった方向にイメージがどんどん膨らんでいくんですよ。ですからギンギラの作品は、僕自身が本当に起きた素敵な物語に出会うことから作品づくりが始まるんです。今回飛行機を主役にしようとか、地下鉄を主役にしようとか、題材を決めて現場の方にお話しを聞いていくと、知っているようで知らなかった事がいっぱいあるんです。そこからどんどん物語が見えてきて、不思議となんか繋がっていきますね。出会うべくして出会えて、そうやって繋がっていき始めると、自分でも「キタ!!」って思いますね。その繋がる瞬間に辿り着くまで、取材を続けます。まずはバラバラの取材なんですよ。図書館に行ったり、現場に行ったり、当時の方にお会いしたり、バラバラのところから始まるんですけど、取材を重ねていくとある瞬間から、それらがガチッとひとつになるんですよ。それはそうですよね、それぞれの方は、同じ思いを持って頑張ってこられている方々ですから。ですからその物語の題材にしようとしていた世界の人たちの「思い」みたいなものが見えてくると、全てが繋がっていくんですね。その「思い」に触れていく中で自分自身が泣いたり、感動したりしたところを、お客様にも感じてもらいたくて、作品を作り続けてます。ですからお客様が芝居を観ていただいて、泣いたり笑ったりするところは、僕自身が取材の時に同じように泣いたり笑ったりしたところですね。

■そんな話を聞くと、さらに観るのが楽しみになりますね。

最初は僕もお客様と同じですからね。まずは僕自身がその物語の最初のお客さんなのかもしれません。ビックリしたり、泣いたり笑ったり、それを、今度はお客様にも感じてもらいたくて作品にして。

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■大塚さんが見ている福岡の現状とお客様が見ている福岡は同じですもんね。共感できる部分がたくさんあるから余計にうれしくなっちゃいますよね。

そうですね。ギンギラの楽しみ方の中には、「わかるわかる!」という価値観を共有する楽しみ方と、「へぇ〜知らなかった!」という驚きや発見がある楽しさと、違う種類の楽しさがひとつの作品の中で味わえるようにと思って作っていますね。
ちょっと目線や切り口を変えると起きる「笑い」とか、気持ちを共有できる「笑い」とか。そういうのを作品にどんどん取り込んでいきたいんです。

■お蔵出しスペシャルではどれくらいの数のキャラが出てくるんですか?

お蔵出しに登場するキャラは今年話題になっているキャラが多くて、市役所がオリンピックのことをぼやきに来たり、やっぱりホークスは登場しますね。他にもいろんな人たちが愚痴りに来るコーナーがあったり、YS-11の映像が出たり、ホントに賑やかな舞台になると思います。

■そんな大塚さんもパルコ公演は大成功で、全国区でも公演をして欲しいという気もしますが、大塚さんが“福岡”にこだわる理由ってなんですか。

それはやっぱり福岡で表現をやっているからですね。以前は、漠然とお客さんはどうやったら増えるんだろうとか、どうして自分たちの芝居にお客様は来てくれないんだろうなって、僕も若い頃は思っていました。でも、最終的に誰に自分たちの芝居を観てもらいたいんだろうってところまでを、ちゃんと自分が突き詰められていなかったんですよ。何を観てもらいたいのか、自分は何を表現したいのか、それを誰に観てもらいたいのかを、もっと突き詰めなければ、いつまでたっても、狭い閉じた輪の中から抜けられないんじゃないかっていう思いがあったので、じゃあ、福岡でやるんだから、福岡を題材にして表現しようと決めたんです。「どこにいるかわからないお客様」ではなくて、もっと身近にいる、一緒に生活をしている、この福岡の方にお客様になってもらえるように頑張ろうっていう所からがスタートだったので、とことん福岡にこだわってやろうと今も思っていますよ。

■ツアーとかはやらないんですか?

うーん。でも以前と少しは考え方が変わったのは確かですね。福岡に根ざしてやるという所は変わらないんですけど、この福岡の物語をもっと色んな人たちに観てもらうというのは、あってもいいのかな、と考えるようになりました。で、最終的にみなさんが福岡へ来てくれるようになったらいいなと。僕が福岡にこだわるのは変わりませんし、ギンギラが福岡の物語を作り続けるのは変わりませんから、そうやって作っている作品を、福岡にはこんないい物語があるんだぞ!って色んな人たちに観てもらうというのも面白いなって思います。福岡はこんなに熱いぞ、泣けるだろう!面白いだろう!っていうのを全国の人に見せたいので、いつかやるかもしれません。

■では、最後に、大塚さんにとって、“福岡”ってどんな存在ですか?

僕の表現を育ててくれた場所です。天神の岩田屋デパートにワクワク家族で出かけていた子供の頃の想い出や、電車で幼稚園に通っていましたから、電車やデパートや街にあるもの全部が身近なものとして自分の中にあったんです。だから福岡は、僕を育ててくれましたし、ギンギラ太陽’Sの作品としても育ててくれていますし、勝手に色んな物をキャラとして出してますけど、怒ることもなく見守ってくれていますから、僕個人も、ギンギラ太陽’Sとしての僕も育ててもらっている場所ですね。こんなに好き勝手にやってる僕らを企業の方も街の方も温かく見守ってくれているのが肌で感じられるから、東京で公演した時も、福岡っていいでしょう!こんなにあったかい街なんです!って胸張って言えますよ。

 

 

【西鉄ホール】
大ギンギラ博覧会2006
「いつも心に太陽’sを!」

■公演日/
11月22日(水)19:30、23日(木・祝)14:00・18:00
24日(金)19:30、25日(土)14:00・18:00、26日(日)14:00・18:00
■作・演出/大塚ムネト
■出演/大塚ムネト、立石義江、杉山英美、上田裕子、中村卓二、古賀今日子、中島荘太
廣末真奈美、田中慎一郎、吉田淳、石丸明裕、田中侑希、川口大樹、彰田新平 他
■料金/3,500円(全席指定)
〈電子チケットぴあ Pコード〉372-366〈ローソンチケット Lコード〉89660

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