ヨーロッパ企画 永野宗典の対談野郎 vol.30 ゲスト:酒井善史
シアタービューフクオカのコラムで誌上最長連載を誇るヨーロッパ企画・永野宗典氏。
ゲストを迎えての対談形式コラム。
webでもダブル掲載!本誌と併せてお楽しみください!
限られた字数制限の中、所狭しとお送りするショートショート対談。今回のお相手は、同劇団員でもありテレ東系番組「ポチっと発明!ピカちんキット」でも共演してる酒井善史と!
今回のゲスト: 酒井善史(さかいよしふみ)/1981年生。京都市出身。ヨーロッパ企画所属。俳優、作家業の他、2014年より「所さんの目がテン!」実験プレゼンターとしてレギュラー出演中。
永野(以下 永)酒井善史の時代が来てるなって感じてますが、いかがでしょうか?
酒井(以下、酒) どういう入りですか(笑)。
永 ヒーローもの、科学、発明とか、趣味や興味が全て仕事に繋がっていってるよね。ヒーローショーの作・演出はすっかり定番になって、「所さんの目がテン」のレポーター、発明バラエティ番組「ポチっと発明ピカちんキット」出演しながら発明品作ったり。
酒 時代が来てる!とはさすがに思わないですけど、やりがいのある仕事をたくさんやらせてもらえてるなとは思います。
永 すごい忙しそうだし、僕、ハード過ぎると悲壮感でちゃうけど、酒井くんはハードだけど楽しそう。
酒 発明とかは、材料揃えたり作ったりしながら、アイデアが出てくるんで、やりながら乗り越えられることも多いです。あと、最終モノが出来上がるんで、達成感もひとしおです。失敗も多いけど(笑)。
永 失敗も含め、番組で生かされるからね。それは救われるよね。
酒 そうなんです!失敗で楽しんでもらえることもあるし、ある意味前進ではあるし、失敗は恐れず作りたいと思ってます。
永 エジソンみたいやな、発言が。
酒 伝記読んで、一番尊敬しましたもん、トーマス・アルバ・エジソン。あと平賀源内も好き。
永 発明家、やっぱ好きなんや(笑)。
酒 一番好きなのは、ニコラ・テスラです。
永 だれ?(笑)
酒 エジソンのライバル。天才過ぎて、時代がついていけなかった、とも言われている人で、「世界システム」っていう、電気を世界中に送電するという仕組みを作ろうとしてたりね。テスラ、凄すぎるんで…。彼のマッドな感じが好きです。マッドでありたい。
永 知らん。対談で初めて言ったわ、「知らん」て(笑)。テスラの話、もういいや。
酒 すみません。
永 次はどの趣味を仕事にしていくんだろう?って興味があるんだけど。
酒 他の趣味だと、晩酌のつまみを作るのが楽しいですね。純然たる趣味です、これは。
永 料理番組持ったら酒井善史完全体?
酒 まあでも一応、「おとりよせ王子」とか「さぼリーマン甘太朗」っていうグルメ系ドラマも脚本書かせていただいてます。
永 やっとるね! 俳優、レポーター、発明、料理モノ脚本家、ヒーローショー等の中で、役者業は、興味でいうと何番目くらい?
酒 順番とかではないですけど、「役者」単体でよりは、「自分で作った小道具」を使ったり、役の背景にある情報とか知識を勉強しておいたり、とか、合わせ技で「役者」をやっていきたい、というのが一番ですかねえ。
永 それ劇団でやってる事じゃん。じゃ、最高な状態なわけだ!
酒 はい、ありがたいことに。ヨーロッパ企画でよかったです。 一旦入団断られたけど(笑)。舞台美術、会計、あとホームページ作ってね。
永 しっかり下積みしてるもんなあ。世の若者たちに、どうしたら好きなことを職業にしていけるか、なにかメッセージはありますか?
酒 好きでやってることって、多分、仕事にならなくてもどうせやることだと思うんです。それをやること自体が実益にならなくても。だってやってるだけで楽しいから。
永 マインドは所さんと一緒や!
酒 学ばせていただいてるところはすごくあると思います。好きなことがあるなら、仕事になろうとなるまいと、せっかく好きなんやし、好きなだけやったらいいと思います。以前、文筆家のせきしろさんのオーダーで作った、「薄型テレビの上に巨大な将棋の駒を置く発明」は一生忘れないと思います。僕が作ったものを「発明品」って名付けてもらったのが、人生ですごくエポックメイキングな出来事でした。まさに大恩人です。こんなものでも発明って言っていいなら、発明ってすごく面白いぞ、みたいな。
永 ヨーロッパ企画、所さん、せきしろさん、なんとかステラ。酒井善史を形成した人たち。酒井くんの伝記を読んだ気になりました。
酒 テスラね(笑)。ニコラ・テスラ。
●永野宗典(ながの むねのり)/’78年生まれ、宮崎県出身。’98年、上田誠らと共にヨーロッパ企画の旗揚げに参加。以降、全作品に出演。
◎シアタービューフクオカ vol.72掲載(2018.4発行)