2016年第13回本屋大賞を受賞した小説『羊と鋼の森』。ピアノの調律師という世界を繊細な筆致でつづり、日本中の読者の心を震わせた本作が、待望の映画化。ピアノの音、森の景色や匂い、心を打つ言葉… 映画ならではの、五感を刺激する美しい映像でお届けします。

ピアノの一音に森の匂いを感じ、調律師の世界に魅せられていく新米調律師の主人公、外村直樹を演じるのは山﨑賢人。そして、外村に感銘を与え、彼の人生を導いていく憧れの調律師、板鳥宗一郎役を三浦友和、外村を優しく、時に厳しく指導する先輩調律師・柳役に、鈴木亮平。ピアニストの高校生姉妹・和音(姉)と由仁(妹)役を、実の姉妹である上白石萌音、上白石萌歌が演じた。

本作で、姉妹初共演、さらに姉妹役で出演した鹿児島出身の上白石萌音&萌歌姉妹にインタビュー。

◆初共演で、さらに姉妹役ですが、オファーをいただいた時の感想と、実際に共演してみていかがでしたか?

萌音:姉妹での共演が一番の目標であり、一番の夢だったので、もっとお互いにいろんな経験を経て、もっと先、30歳とか40歳とかになった時に、ひっそりとどこかで共演できればと思っていたのですが、まさか十代のうちに制服を着て、一緒にピアノを弾くなんて思っていなかったので、ご縁だな、運命だなと思っていました。
実際に現場に入ると家族が自分が仕事をしているところを見ているという事に、最初はすごく照れがあって、どうしてもふざけたくなったりしてたんですけど(笑)、照れに慣れてくると、やはり姉妹でしか生まれない感情や呼吸がありました。台詞がすごく少ない映画なので、喋っていなくても、目を見ているだけで伝わってくるものがたくさんあったり、そういう瞬間には、姉妹で姉妹を演じるってこういうことなんだなと感じていました。

萌歌:お仕事を始めたのが、8年前になるんですけど、今まではお互いのお仕事をそれぞれ丁寧にやってきました。こうやって役で共演できることが夢だったので、それがやっとかなってスゴくうれしかったです。
私は表現者として、姉のお芝居を側で見られるのがすごく勉強になりました。一番お互いが刺激を受け合うし、お互いの作品は必ず見ます。姉のお芝居が大好きなので、同じ作品の同じ空気の中で、一緒に、今持っている力をぶつけ合えたのは、すごくいい時間だったと思います。初めて私たち二人で、一生懸命になれたなと、この映画の中で思っていたので、またそういう機会があれば、何かぶつけ合うことができたらいいなと思いました。

◆演じられた姉妹は対照的な人物像でしたが、それぞれの性格で似ている部分がありしましたか?

萌歌:ひとつのことに熱心になるとか、そこに向かっているということは、一緒だなと思っていて、私たちはお芝居で、彼女たちはピアノで、対象が違うだけであって、ずっと熱量を注いできたものがある、というのはすごく共感できる部分だったので、そこを大事に演じていました。
姉妹でキャスティングしていただきましたが、普段の私たちのままではダメですし、二人で一緒に役に染まらなくてはならなかったし、それがピアノの練習とかで、一緒に役になれるというか、役の要素を取り入れられてよかったと思っています。

私は由仁のような女の子にすごく憧れるというか、理想的だなと思っていました。初対面の人にもすぐに心を開けるし、明るく接することができるって、すごく素敵だなと。私は小さい頃は、人前に立って何かをするということが、全くできなくて、自分の世界だけにいるような子供でした。お仕事を始めて、意識を外に向けられるように頑張っているので、すごく由仁に憧れる部分はあります。

萌音:小さい時の萌歌は和音でしたけど、最近は由仁になってる気がします。
私は、和音に性格が似ているわけではないと思うんですけど、姉としてはすごく共感します。妹の才能がすごくうれしくて誇らしくて、みんなに自慢したいという気持ちと、私より後に生まれてきたのに、多くを持っているんじゃないかとかと思っているところとか、姉としての葛藤みたいなところをすごく抱えた女の子なんです。私自身もそれにすごく共通するところがたくさんあったので、台本を読みながら、わかるよ、すごくわかるよ、って(笑)、和音と一緒に悩んだ、そんな日々でした。そこまで役に深く共感することって、一番幸せなことだと思いますし、これまでで一番、共感する部分が多かったので、似ていると言えば似てるのかもしれません。でも自分に似ている役を演じるというのもすごく難しいことなので、そこで上白石萌音が和音に勝ってしまわないように、ちゃんと和音として悩めるようにというのは、演じるときにずっと思っていたことです。

◆萌音さんは、この作品では台詞があまりなくて、表情で演技をされていたのが印象的でした。そのお芝居について監督と相談したり、自分で挑戦したことはありますか?

萌音:あまり表情は意識していなかったです。きっと和音は言葉に出す前に、いっぱい頭の中で考える子で、口にする言葉というのは、本当に考え抜いた言葉なんだと思います。だから口にする前に、心の中で何を思っているんだろうと考えていました。心の中でずっと台詞を言っている気持ちで演じていたので、表情で何かを伝えようというのは、思っていなかったです。なので台詞が少なかったというのも、終わってから気づいた感じです。それくらい心の中でいっぱい言葉が生まれていましたね。監督もそれをすごく引き出してくださって、こういう表情をして欲しいとかは無く、すごく寄り添ってくださったので、正直なお芝居ができたかなと思います。

◆ピアノもすごく練習されたそうですが、練習はいかがでしたか?

萌音:最初に楽譜を渡されて、曲を聴いたときには、びっくりしました。(笑)。和音は小さい時からピアノをやっていて、コンクールにもどんどん出るような女の子で、そういう子たちが弾く曲というので、本当に難しそうで(笑)、ピアノを弾いている動画とかも見たんですけど、超人的な感じがして、これを半年後に自分がやると思うと途方にくれる思いでしたが、曲を聴き込んだり、和音の気持ちになって寄り添うと、和音が選んだ曲なんだと思って、すごく愛が持てて聞けば聞くほど、どんどん美しい曲になっていきました。最初はすごくきつかったんですけど、途中からその苦しみさえも楽しくなってきて。だから自分からピアノを弾きたいと思えるようになれたので、それは幸せな経験だったなと思います。役作りを通り越して、自分の趣味みたいになって。いまだに劇中で弾いた曲を家でも弾いたりしてます。

萌歌:家でピアノを弾いている背中が、どんどん生き生きしてくるんですよ。それを見ていて、なんか楽しそうでいいな~と思っていました(笑)

◆お母様は、ピアノの先生をされているということですが、今回の役で、ピアノについて教えてもらったりしましたか?

萌音:もうすがってました(笑)映画でピアノの先生もつけてくださったんですけど、なかなか頻繁には習いに行けないので、家に先生がいるというのは、本当にありがたい。わかんないことがあったらすぐに母に聞いたりしていました。

◆ではお母さんもいっしょに作った映画ですね。

萌歌:だからエンドロールに母の名前がないかなと探しちゃいました(笑)

 

TOHOシネマズ天神 ほかにて上映中!

【監督】橋本光二郎
【原作】宮下奈都『羊と鋼の森』(文藝春秋刊)
【出演】山崎賢人
鈴木亮平 上白石萌音 上白石萌歌
堀内敬子 仲里依紗 城田 優 森永悠希 佐野勇斗
光石 研 吉行和子 / 三浦友和

©2018「羊と鋼の森」製作委員会

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