劇団イキウメの代表作のひとつでもある『関数ドミノ』、2005年初演の後、2009年、2014年と再演し、その度に登場人物や結末が改訂された戯曲は、観客の心を掴んで離さない作品として高い人気を誇っている。
今回は2009年版の戯曲をもとに、前川による加筆が行われた、新たな『関数ドミノ』として上演。演出を手掛けるのは、戯曲の世界を鮮やかに出現させる寺十吾。出演は、瀬戸康史、柄本時生、小島藤子、千葉雅子、勝村政信など個性が際立つ俳優が揃った。プロデュース公演としての初上演となる『関数ドミノ』について、イキウメ&前川作品の大ファンだという瀬戸康史に話を聞いた。

◆脚本を読まれての感想は?

瀬戸康史(以下:瀬戸):僕自身がイキウメ、前川作品が大好きで、2008年頃から拝見しています。今作は、前川作品の特徴のひとつである非現実的な部分というのは、そう多くはなく、どちらかと言えばそれをとりまく人間たちの物語だなと思いました。イキウメの公演では2014年バージョンは観ているんですけど、今回のはそれとは結末が少し違っていて、2009年版をベースに改定されて希望のある終り方になっています。
劇団公演として拝見した時は、僕が演じる真壁という役を、安井順平さんが演じていて、すごい破壊力だなと思いました。僕は安井さんの芝居が大好きで、彼が演じる真壁は本当にハマっていたなという印象があります。それを観てしまったので、僕が同じ役をやるのだなと思うと、ちょっと不安な部分はありますが、今回は劇団公演ではないですし、演出も寺十吾さんなので、僕らにしかできない『関数ドミノ』、僕にしかできない真壁というのものを作り上げることができればと思います。

◆昨年、前川さんの舞台に出演されていますが、いっしょにお仕事をされてみていかがでしたか?

瀬戸:たくさんの言葉を使わなくても、前川さんが言わんとしていることが解るというのはありました。それは僕自身が前川さんのファンであり、イキウメの舞台をこれまで見続けてきたからかなと思います。それに2年連続で前川作品に出演できるというのはファン冥利に尽きます。光栄ですし、僕が演じることによって、これまでイキウメや前川作品を観たことがない人にも届けられたらと思います。実は少し前に、前川さんにお会いした時に『関数ドミノ』について、どう演じたらいいですか?と質問したんです。その時に、「戯曲だけを提供する場合は、どういう作品になるのか、楽しみでしかない。瀬戸くんの真壁は特に楽しみ」と仰っていただいたのですが、特にアドバイスは頂いていないんです。演出の寺十吾さんが「この作品は人間関係のドラマなので、そこを丁寧に作りたい」と仰っていました。僕も共感できるので、寺十さんと一緒に新しい『関数ドミノ』を作りたいと思います。

◆イキウメの作品を観るようになったきっかけは?

瀬戸:きっかけは事務所の先輩である安井順平さんが出演されていたので、観に行ってハマったという感じです。

 

◆『関数ドミノ』の魅力とは?

瀬戸:前川作品の中でも、非現実的な部分やSFの部分が少ないので、とても観やすいと思います。人間はとても流されやすい生き物なんだなということを改めて感じた作品です。気持ちに左右されてしまうとか。例えば病は気からと言いますよね。風邪だと自分が思い込んでいたら体調が悪くなったり。その逆も然りですが、僕が演じる真壁という役は、自分がうまくいかなかったり運が悪いことを周りのせいだと思い込んでいる、ある意味偏った先入観を持っている人物です。真壁は闇は深いですけど、僕にの中にも嫉みみたいなものは少なからずあるので、そこを突破口に役作りできればと思っています。でも最後には、人間って面白いなと思える。そこがこの作品の魅力だと思います。

◆瀬戸さんが真壁を演じると聞いて、とても意外でした。どのように演じていきたいですか?

瀬戸:真壁をただの嫌われ者では終わらせたくないなと。そのためには人物に説得力というか、みんなが共感できる部分が必要だと思っています。ああいう育ち方をしたら、確かにこんな人間になっちゃうよなとか。そういう部分を含め、真壁という人物をどう見せていくか、丁寧に演じたいと思います

◆瀬戸さんご自身はやりたい役がありましたか?

瀬戸:真壁は演じてみたかったです。というのも、これまで自分が演じたことがなかった役なんです。映像だといろんな制約があって(笑)エッジの効いたものというのはなかなかできないですが、舞台だとその可能性が広がるんです。役者をやっている醍醐味のひとつに、裏切りというのがありますが、これまでの僕にあるイメージを裏切っていくのが今回、テーマのひとつです。

◆舞台作品に出演する時の楽しみや面白さがあれば聞かせてください。

瀬戸:今は、一年に1〜2回は舞台に出させて頂いているので、仕事として映像と舞台とのバランスがいい感じなんです。僕が舞台で魅力的に思っているのは、作品や役どころ、スタッフさんやキャストのみなさんといっしょに作品作りに浸っている時間が長いので、すごく愛着が沸きますし、今回も全国色んな場所に行かせて頂きますが、各会場によって空気感、お客さんの年齢層や反応が毎回違うんです。観に来てくださるお客様も含めて、芝居が作られているという感覚があるので、それがとても刺激的ですね。最初は台詞が飛んだらどうしようとか、そういう不安はあったんですけど、今はもう純粋に楽しみだなと思える部分の方が大きいですね。

◆最後にメッセージをお願いします。

瀬戸:僕の出身である福岡で公演できることがとても幸せです。そして今回の作品は、ストーリーも解りやすいので舞台初心者の方でも見やすいですし、内容も普遍的なのでどの年代の方にも楽しんでいただけると思います。そして何より登場人物に感情移入しながら見られる作品です。最後には、あんなことが起きるのかと驚いて帰って頂けたらうれしいですね。
僕が、前川作品に対して一番感じるのは、観終わった後に、自分やそれを取り巻く世の中を俯瞰して見られるようになるということです。僕自身、今の自分のままでいいのか、世の中はこのままでいいんだろうかなど、世の中を俯瞰してみられるようになるんです。僕にとっては自分を見つめ直せるというか、冷静になれるというか、そういう作品です。観て下さるみなさんも観終わった後、同じように感じていただけるとうれしいですね。

『関数ドミノ』

【北九州芸術劇場〈中劇場〉】
■10月21日(土)18:00、22日(日)13:00
■作/前川知大 ■演出/寺十吾
■出演/瀬戸康史、柄本時生、小島藤子、、鈴木裕樹、山田悠介、池岡亮介、八幡みゆき、千葉雅子、勝村政信
■料金/7,500円(全席指定)
高校生〔的〕チケット1,500円(枚数限定・劇場窓口・前売のみ取扱)
■問合せ/北九州芸術劇場 TEL:093-562-2655
※未就学児童入場不可

【久留米シティプラザ ザ・グランドホール】
■10月26日(木)18:30
■料金/ S席 7,500円(1-3F)、A席 6,000円(3-4F)(全席指定)
学生券 3,500円(当日指定席券引換・要身分証明書)
■問合せ/ピクニックチケットセンター TEL:050-3539-8330