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『そして父になる』から4年、是枝裕和監督が深い闇の先にある<真実>に挑む――

カンヌ国際映画祭・審査員賞受賞から全世界へと広がった『そして父になる』の熱狂から4年──。
是枝裕和監督×福山雅治主演というタッグに加え、名優・役所広司が是枝組に初参加。共演に広瀬すずらを迎え、日本を代表する豪華キャストの競演が実現した。
福山が演じるのは、裁判で勝つためには真実は二の次と割りきる弁護士。役所演じる得体の知れない不気味な容疑者と、広瀬演じる被害者の娘との接点が明らかになるにつれ、弁護士としての一線を超えた領域に踏み込んでしまう男を演じた。今回は『最強のふたり』(11)を手掛けたイタリアの巨匠ルドヴィコ・エイナウディによる音楽と、日本最高峰のスタッフが集結。弁護士が覗いた容疑者の深い闇。その先に浮かび上がる、慟哭の<真実>とは――。心震える心理サスペンスが完成した。

「弁護士」を描いた経緯や是枝監督にとってエポックメイキング的な存在となった音楽家・ルドヴィコ・エイナウディについて語ってくれた。

◆今回「弁護士」という職業に注目されたのはどうしてですか?

「そして父になる」の撮影で、法律監修に弁護士さんに入って頂いたんです。いつもすごくいいスーツを着て、イニシャルが刺繍されたワイシャツを着て、金の犬のカフスをして、いい靴を履いてるんですよ。その弁護士さんたちと撮影が終わって何度か食事に行ったんです。その時、弁護士同士で「よくテレビで裁判のニュースをやっていて、判決が出て、控訴が決まって、レポーターがマイクを持って『真実を究明する舞台が地裁から高裁になりました』とか言うんだけど、別に法廷は真実を明らかにする場所じゃないから、あれは違和感があるよね」って話をされていたんですよ。だから僕が「じゃあ何をする場所なんですか?」って聞いたら、「利害の調整をする場所です」と話してくれたんです。そんなリアルな弁護士の話を聞いて、ゾッとする反面、むしろこの人たちは誠実なんだなと。

真実が解らない前提で、弁護をする。「真実」というのは、本来わからないものだと思っていて、彼らは超人ではないし、タイムマシンも持っていないので殺人現場には立ち会えない。なのに弁護士と検事と裁判官が、あたかも立ち会ったかのように判決を書いたり弁護をするし、起訴する。そして絶対的なものとして、判決が書かれる場所が存在する。おそらくそれが普通だと思っているから、何の疑問も無く受け入れているけど、本来それはとても恐ろしいことだと思ったんです。

その姿を描けないかと思ったのが最初のきっかけでした。司法の持っている、システムとしての危うさ、怖さ、みたいなものを、一つの殺人事件を描く中で見えてくる背景を映画にしたいと思いました。ただ、観念的な面では「人は果たして人を裁けるのだろうか?」ということや「人は人を理解することができるだろうか?」ということは、考えながら撮らないと、単に犯人は誰だ?という作品になってしまうので、もう少し深いところにある問いを、観た方も共有していただける作品にしなければならないと思いました。

◆そこから脚本づくりに入られたのですか?

今回の脚本は、僕が書いたというよりは弁護士さんたちのリアルを見せて頂いて、それを僕が書き起こしていった形に近いです。その時の弁護士さんに相談して、7人の弁護士さんに集まってもらいました。その中に元検事さんを二人入れてもらって、それぞれ弁護士チームと検察官チームと裁判官チームと犯人、というのを作って、一番いいスーツを着ている人を犯人にしたんです(笑)。

その人が人殺しをしたという設定で、弁護士が初めて接見室に行った時の自己紹介から裁判、判決まで全部模擬的にやりました。起訴状も書いてもらって、それに基づいて模擬接見、模擬裁判というのを半年かけてやりました。それを文字起こしして脚本に落とすというのを、判決まで全部やりました。弁護士さんたちもこんなに大変だと思わなかったらしく、本当の裁判をするよりも大変だって言われてました。実は、その流れの中で犯人役の方に他の方には内緒で予定していない台詞をって言ってもらって、その時に起こった本物のリアクションを映画の参考にしたりしました。だから弁護士さんのシーンは、本当にリアルにできていると思います。

◆動揺もリアルな反応からということですね。

その模擬的な一連の作業が終わった後で、「タクシーの中で接見のことを話したりするか」とか「突然供述を変えたらどうなりますか?」とか、本当に細かく聞いたので、福山さんが演じた弁護士の行動は、かなりリアルだと思います。

◆今回の作品は、音楽が観ている人の心情を揺るがすと感じました。ルドヴィコ・エイナウディさんは日本映画に参加するのは初めてだそうですが、なぜルドヴィコさんにお願いしようと思われたのですか?

2年半くらい前に、映画祭を回っている移動の飛行機の中で初めて彼の音楽を耳にした時、非常に映像が浮かぶ音だと思ったんです。もちろん映画「最強の二人」の音楽も担当されていましたから、映画音楽のことは解っていらっしゃるだろうし、どこかのタイミングでお願いできないかと思っていたんです。例えば「海よりもまだ深く」や「歩いても歩いても」みたいな作品だったら、お願いしなかったと思います。この作品は、いわゆる日本映画というよりは昔の洋画にあったサスペンスや法廷劇の色合いが強かったし、自分の頭の中にあった映像のイメージに乗るなと思ったので、思い切ってお願いしました。外国の音楽家の音を日本の役者の顔とか風土に乗せるのって、やや危険ですから(笑)作品を選ばないといけないなとは思っていましたね。

◆お願いする時に、どんなリクエストをされたんです?

最初は脚本を翻訳して読んでいただきました。それから実際に法廷の撮影をしていたスタジオに来ていただいて、現場の雰囲気と役者にも会って頂きました。その時はすでに北海道のシーンは繋がっていたので、そのシーンを見て頂いたら、音が聞こえてきたと仰っていましたね。その後、編集がほぼ出来上がった時に日本でのコンサートがあったので、一緒に見ながら僕が考えている作品の概要を大まかに伝えました。僕の方からもこの部分にピアノを当てたいとか、ここは音を厚くしたいのでチェロかバイオリンか弦を入れて欲しいというリクエストをして、あとはお任せでした。一度トレノの彼のアトリエに行かせて頂いたのですが、映像を見ながらその場でピアノを弾いて音を録っていくような感じだったので、出来上がった音が映像と同じ呼吸をしているような絡み方をしていると思います。こんな録り方をすると、ああいう音の付き方になるんだなと、僕自身も新たな経験できて良かったです。

◆役所広司さんとご一緒されるのは初めてですよね。役所さんの演技はいかがでしたか?

僕が語るのはおこがましいですよ(笑)。日本で一番うまい役者だと思っています。何をやってもそのものに見えるのは、彼が一番ですね。決して極端な役作りをするわけではないのに、それこそ山本五十六にも見えるし、田舎の林業のおじさんにも見えるし、井上靖にも見えるっていうのは、いつも「何だろう?この人は」って思いますね。コメディー作品に出ていても役所さんだけは本物(役そのもの)に見える。作品の世界を壊さずに本物に見えるというのはすごいなと。今回、接見シーンで出てくる度に、本当に殺したのか殺していないのか、善人なのか悪人なのか、という演技ですよね。どれも本当に見えないといけないし、どれも嘘に見えた方がいい……というより、役所さんだからそういう役にしました。彼ならできるだろうと当て書きしているところもあります。だけど思った以上にスゴかったですね。

◆その役所さんと対峙する福山雅治さんも、これまでに見たことのないような福山さんを見たような気がしたんですけど。わざとそうしたんだ、と何かで仰っていましたが、その辺の真相は?

それは役所広司という役者と、ちゃんと向き合えば福山さんにとっても今までになかったものが引き出されるチャンスだと思ったから。それは本人もわかっていたと思うんです。それがいい形で現れたんじゃないかな。

◆二人が、お芝居をしているのを見るのではなく、実際に二人が接見しているところを私自身が見ている気持ちになりました

接見室のシーンを重ねる毎に、どんどん良くなっていくと、周りで見ていた誰もが思っていました。非常にいい集中力で二人が独自の世界を作ってくれたと思います。二人とも酸欠になるくらい迫真でやっていたので、そういう空気感が作れたんだと思います。

 

 

【 PRESENT 】

 

公開を記念して、シアタービューフクオカの読者に、「『三度目の殺人』特製レザーノート」を3名様にプレゼントいたします。下記の必要事項をお書き添えの上ご応募ください!

★『三度目の殺人』特製レザーノート(3名様) ★

※当選者の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。

★応募方法

ご応募はこちらから↓

https://goo.gl/forms/C5hvt0eykrWriTqg1

【応募締切9月2日(土)】

 

「三度目の殺人」
9/9(土)
TOHOシネマズ天神・ソラリア館、UCキャナルシティ13、Tジョイ博多ほかにて全国ロードショー

【監督・脚本】是枝裕和
【出演】福山雅治、役所広司、広瀬すず、斉藤由貴、吉田鋼太郎、満島真之介、松岡依都美、市川実日子、橋爪功

http://gaga.ne.jp/sandome/

©2017 フジテレビジョン アミューズ ギャガ

 

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