公開を記念して3/28まで「3月のライオン通り」となった天神・西通りにて撮影

親子、兄弟姉妹、友達、師弟——人と人を結ぶ愛を求めて
魂がぶつかり合う、感動のエンタテインメント2部作

数々の栄えある賞に輝く、羽海野チカ原作のベストセラーコミック「3月のライオン」を大友啓史監督が実写映画化。主人公の桐山零を演じるのは、大友監督の〈希望〉と羽海野チカの〈待望〉、そして原作ファンの〈熱望〉がひとつになった、神木隆之介。さらに、有村架純、倉科カナ、染谷将太、清原果耶、佐々木蔵之介、加瀬亮、前田吟、伊藤英明、豊川悦司ほか、新鋭からベテランまで錚々たる豪華キャストが集結。観る者の心をとらえて離さない個性豊かなキャラクターたちを演じ、繊細でありながらも壮大な世界観の物語を創り出した。

本作でメガホンをとった大友啓史監督にインタビュー。

◆映画化される際に、軸に置いたのは原作のどういった部分だったんですか?

大友啓史:桐山零くんの成長です。小学三年生の時に事故で家族を亡くして、引受先がない中、父親の友人であるプロ棋士の幸田に内弟子として引き取られます。その時「君は将棋が好きか?」と問われて「はい」と答えてしまう。でもそれは生きていくための嘘だった。他に行き場所がなく、子供心に自分は将棋をやるしか生きていく術がないと思ったんですね。生きるために指し続けて来た将棋、好きなのかどうかも解らなかった将棋が、様々な人たちに出会い、本当に将棋が好きだと思えてくるまでの少年の成長ドラマです。そこを軸にして撮りました。

成長過程にある人って、自分が今成長しているなんて自覚できないんです。なので、彼の成長を描くためには、周りの人間との関係性で見せていくしかない。周りの人間たちをきちんと丁寧に描くということが、零くんを描く上でとても重要でした。零くんが将棋を好きになるまでのドラマの中に、初めての師匠と感じられるような人や初めて自分はこの人と同じ道を歩むのではないかと思わせてくれた人、自分の才能を開花させるきっかけになった人、そして小さい頃からお互いが唯一無二の相手だと思って生きてきた人、そういう人たちに出会いながら彼が成長していく物語なので、同時に、周りの人たちをきちんと描くというのも大変なことでしたね。

◆神木さんに感情移入して映画を拝見していましたが、とても繊細な演技をされていました。どのような演出をされたのですか?

大友啓史:それはいいことです(笑)。神木くんに感情移入してもらうようにドラマを作っているので。他に出てくる人物も、彼の成長過程で出会った人たち、ということは意識して撮っています。なので、それぞれのキャラクターがいないと、零くん(神木隆之介)の成長は描くことができない。なぜ彼らが零くんの成長に関わっているのかというと、それぞれに背負っているものが明確にある。そこに触れることで零くんが成長していくので、他のひとり一人のキャラクターたちをきちんと描いていないと零くんの成長も見えてこないんです。
神木くんのキャスティングは、誰もが納得するものでした。ただ、一方で彼自身も5~6歳の頃から俳優というプロの世界で生きてきた人です。だからこそ、中学生でプロ棋士になった零くんの心境が理解できるだろうと。14歳の中学生で天才棋士と言われて育った人間の心境を、神木くん自身が持っているもので補填してくれるだろうということは期待していました。実際に体験してきて解っているはずなので。僕は最初に会った時に、そのことを話しました。実は神木隆之介のドキュメンタリーを撮る気持ちでいるんだよ、と。神木くん自身もそう言われて初めて、そうだなと気づいたと言っていました。零くんの気持ちを理解する上で、自分の経験が役にたったことがたくさんあったみたいですね。なので、どう演出するか、ということよりも神木くんの中に持っているものを出してもらえるように話はしました。

◆豪華なキャストが集結されていますが、キャスティングでこだわったことはありますか?

大友啓史:漫画原作のキャスティングが物議を醸すことは織り込み済みです(笑)。でもやはり二次元と三次元は違いますから、それはキャラクターとしてどういった人を求めるかということだと思います。そういうことで言うと、原作に合わせたキャラクターを決める時に難しかったのは、宗谷(加瀬亮)です。漫画に合わせると神様のような存在になるんです。その神様のような人をどうやって地に足をつけた人物として映画の中で存在させるか。将棋が恐ろしく強く、超越している。人間としても超越している。劇中で島田(佐々木蔵之介)が、彼のことを“雪のごとく圧倒的な白い闇”と形容していますが、それはぴったりだと思うんです。僕も雪国の人間ですから、津々と誰も気づかないうちに静かに降り積もり、一面を真っ白にそめてしまう。それが時として人の生活を壊したり、命を奪うこともある。でも、美しくもある。そういう圧倒的な、誰も刃向かえないということを、対戦した棋士に感じさせるような底知れない存在になるのが宗谷です。その雪のような圧倒的な存在感を人間として演じるのは、結構ハードルが高い。キャスティングが難航していた時に、加瀬さんの名前があがって、実際にお会いしたら、この人に演じてもらえれば一緒に着地点を見つけれるのではないかとお願いしました。加瀬さんが宗谷を演じてくれたことで、この映画の通奏低音が決まったというか、桐山零が向かうべき所がどこなのかが着地できたと思います。雪と同じような圧倒的な何かを感じる存在として見事に演じていただきました。

この映画の中では、零くんと宗谷が抜きん出ている天才同士です。努力の人・島田が、どんなに努力をしても敵わない、努力が追いつけない領域に宗谷がいて超然としている。零くんにとって宗谷は自分の少し先の未来を予感させる、でも遙かむこうにいる存在。そういう人をキャスティングするのは、本当に難しかったですし、加瀬さんにやっていただけて本当に良かったと思います。

◆将棋は、動きのない世界ですが、それを映像で表現する時にどのようなことに気をつけられたのですか?

大友啓史:将棋は、将棋盤の上の闘いを追っていても面白くないんです。棋士は盤の上の闘いの十手先、二十手先を読みながら闘っているので、盤上ではわからない。でもその読み合いが闘いなんです。将棋ファンはその読み合いを楽しんでいるんです。でもこの作品は、将棋ファンだけを楽しませるだけではなく、将棋を知らずに観る人にも、楽しんでいただかなくてはならない。だから棋士の表情をクローズアップしているんです。
よく見ると棋士たちの目の奥に、心の動きが見て取れます。負けそうになって苦しんでいたとしても、相手にそれを見せてはいけない。とはいっても人間は動揺すると目の奥に同様の表情がみえる、滲む。隠しても滲んでくる。そういう部分は引きの画では解らないけど、アップにすると解るんですよ。色んな撮り方を工夫しなきゃというよりも、演じる俳優たちには、ちゃんと将棋の練習をしてもらって、一手、一手の意味、指す時に何手先まで考えているのかを頭に入れて演じていただいています。5時間の棋譜を作って、その流れを全部頭に入れてもらう。そこでどういう心境になるのか、何手先はで考えているのかということを作った上で演じてもらっているんです。

それに劇場だと、みなさんあまり気づかないけど、将棋のコマのアップをスクリーンでみると、コマが畳8畳分になるんですよ(笑)。そんな巨大なコマを観ることなんて、人生で二度とないですよ。それを観るだけでも価値があると思うんだけど、同じように人の目もそれくらいの大きさで見ると、テレビの小さい画面ではわからない、目の表情が見える。スクリーンから感じ取れる勝負の緊迫感や緊張感が、家のリビング環境で見て伝わるのかというと、そうではないかもしれない。やはり劇場で見るべき映画、題材だなと、強く感じたんです。そこを丁寧にやっていけば、難しいと思われている将棋も面白くなるだろうなと。

 

★3/24(金)に主演の神木隆之介さん、大友啓史監督、ぼくのりりっくのぼうよみさんを迎えた前編公開記念福岡舞台挨拶も決定!★
詳しくはコチラ http://info.toho.co.jp/3lion_hit2/top.html

 

 

「3月のライオン」前編3/18(土)後編4/22
TOHOシネマズ天神、ユナイテッド・シネマキャナルシティ13、T・ジョイ博多 ほかにて全国ロードショー

【監督】大友啓史
【原作】 羽海野チカ「3月のライオン」(白泉社刊・ヤングアニマル連載)
【出演】神木隆之介、有村架純、倉科カナ、染谷将太、清原果耶 ほか

http://www.3lion-movie.com
Ⓒ2017映画「3月のライオン」製作委員会