『超高速!参勤交代』シリーズで、これまでになかったユニークな視点で時代劇の新しいジャンルを開拓した土橋章宏原作の傑作時代小説「引っ越し大名三千里」を犬童一心監督が手掛け、主演・星野源、共演に高橋一生、高畑充希、小澤征悦、濱田岳、西村まさ彦、松重豊、及川光博ら超豪華キャストが集結。
江戸時代の姫路藩。書庫にこもって本を読んでばかりの引きこもり侍・片桐春之介は、突然【引っ越し奉行】に任命される。引っ越し奉行とは、すべての藩士とその家族全員で別の国に引っ越し(国替え)をする際の総責任者のこと。当時の引っ越しは、参勤交代を遥かに上回る費用と労力がかかり、前任者もあまりの激務に亡くなってしまうほど。失敗すれば、即、切腹!という状況の中、全くノウハウのない春之介は、果たして国の存亡をかけた超難関プロジェクトをクリアできるのか!?引きこもり侍、一世一代の大挑戦が今始まる!

本作の主演で片桐春之介を演じた星野源にインタビュー!

■初めて脚本を読まれた時の感想は?

すごく面白くて、とても現代的な主人公だなと思いました。身分差や上下関係があって当たり前の時代に人間はみんな一緒でしょ、と素直に思っている。さらに上司から言われたことを否定したら切腹というような時代に、上司に対して「それおかしくないですか?」って普通に言っちゃったり。江戸時代ではすごく異端な人物だと思いますが、それが彼の常識であり、自分の思いでもある。それが今の現代の僕たちの常識にすごく近い。とてもシンパシーを感じるし、今の僕たちの普通というものが、あの時代では異端だったんだと感じました。喜劇なので面白くて笑っちゃうようなところもたくさんあるんですけど、最後には予想もしなかったような感動にたどり着く感じがすごく気持ちがよくて、とても好きな作品だなと思いました。

■春之介役を拝見していて、星野源さんのイメージと近いなと感じましたが、演じていて共感できたことや楽しかったことはありますか?

引きこもり侍ですが、春之介は家に引きこもっているのではなくて職場に引きこもっているんです。職場に本がたくさんあって、本が好きなのでそこに籠もっている。僕は中学一年生の時から音楽と演劇をやり始めたんです。それが今仕事になっていて、自分の好きだという気持ちを中心に仕事が出来ているのは、彼と通ずるものがあります。でも春之介は社会というものに引っ張り出される。その中で大事になってくるのは、好きだった本の知識であって、そのおかげで国がどんどん良い方向に変わっていく。これは自己肯定の物語だなと思って、すごくいいメッセージだなとも思うし、僕自身も自分の好きなことをやっているだけでは、うまくいかないのかもしれない業界の中にいますが、できるだけ自分の好きなものを好きなように色んな人に届けたいという気持ちで活動をしてきたので、そういう部分では春之介にシンパシーを感じます。

■個性溢れる共演者の方々ですが、撮影現場でのエピソードや印象に残っていることはありますか?

6年ぶりの主演映画だったので、それがどういうものかを忘れてしまっていました(笑)。しかも初めての京都・太秦映画村での撮影ですし、どうなるのかな?と少し不安はあったのですが、みなさんが本当に優しくて例えば休憩中に演技論みたいな話をする人も一人もいなくて、最高に楽しかったです。僕はそういうのが少し苦手なので(笑)。お芝居はお芝居で会話をしたいと思っていて、みなさんそういう方ばかりでした。休憩中もたわいもない話をしてゲラゲラ笑ったり、好きな音楽や食べ物の話をしてオススメし合ったり。とても楽しい現場でした。

■演じていて印象に残っているシーンは?

一万人規模で600kmの引っ越しをしなけばならないという話ですが、当時はトラックなど無いですよね(笑)だから本当に大変だったと思うんです。家財道具も一万人分、食料も一万人分必要になるので、とにかく経費削減をするのでお金の物語でもあります。そこでお金を貸してもらいに行くシーンで僕と濱田岳くんがお金を借りに行っていて、そこに高橋一生くんが演じる鷹村という男が酔っ払って乗り込んでくるシーンがあるのですが、リハーサルの時に一生くんの芝居の勢いにみんなが引っ張られて演出に大きな変更があったんです。そういう風に俳優の芝居が想像を超えて、共演者がそれに応えていく、みたいな場面があって、それはすごく印象的で楽しい時間でした。

■演じる時に意識して心掛けていることは?

クランクインの前に監督がこれは春之介の成長物語でもあるので、どのポイントで成長していくのかターニングポイントになるのかというのを意識して演じてもらいたい。そしてそのポイントは任せる、と言って頂いたんです。だから自分の中でいくつかポイントは決めてはいたのですが、あまりガチガチにお芝居を固めていくよりも、現場で生まれたもので、変わっていきたいなという気持ちが強くありました。ですが成長の段階によって共演者のみなさんの目線も変わってきて、蔑んでいた目線から信頼に変化したり、そうしていただくことで、春之介が出来ていく。共演者のお芝居に応えるようにして春之介の成長過程が表現できたらいいなと思っていました。

■時代劇の所作はすんなり身につきましたか?

春之介のキャラクターはちょっと特殊で、もちろん所作指導の先生に基本的なことは教えて頂きましたが、そこを気にして演じなくて良いキャラクターだったんです。着ている服も髪型も無頓着ですし(笑)。本当は着物を着ていたら、休憩時間にゴロゴロしていたりできないんですよ。でも僕は気にせずゴロゴロしていました。着崩すことが前提なので、時代劇でなかなかこんなことも出来ないので楽しい体験でした。

■全編を通して見ての感想は?

シンプルに面白いなと思いました。撮影の環境としてはすごく過酷だったんです。京都ならではというか、撮影を始めた時はものすごく寒くて、撮影を重ねるにつれてものすごく暑くなってくるという(笑)。朝4時~5時くらいに支度して、夜中まで撮影が続くような過酷な状況だったので、とにかく必死にやっていたんです。なので、基本的に記憶がないです(笑)。「大変だったな」「がんばったな」という記憶はあったんですけど、でも完成したものを観たら、こんなに面白く撮れていたんだと感じられて、うれしかったです。決して分かりやすい題材ではなかったと思いますし、監督もサラリーマンものって仰っているくらいなので、社会で生きる上での厳しさとか、会社員ならではの苦悩とかがいっぱい詰まっていると思います。ですがこんなに小さなお子さんからお年寄りまで楽しめる作品ってなかなか無いと思います。時代考証もしっかりされていて、細かいところまでしっかり作られているので、時代劇がお好きな方も楽しめる作品だと思います。そういう色んなハードルを越えたエンターテイメントになっていると思います。

■演じていて楽しかったことはありますか?

コメディーだし引っ越し大名というタイトルだし、あまりイメージが沸かないと思うんですけど、ラブもありまして(笑)。「引っ越し大名!」からラブが出てくるのはなかなかイメージが出来ないかもしれませんが、高畑充希ちゃん演じる於蘭との告白シーンがあって、それがすごく楽しかったんです。春之介対大勢とか、春之介対何人かいるみたいなシーンが多くて、二人で芝居をするシーンはあまりなかったんです。その中で、於蘭さんとは、時代劇ではあまり見たことがないような告白シーンだったんです。僕はそれがすごく好きで、リハーサルを重ねるにつれてお芝居が成長していったというか、演っていても楽しくなって面白くなって、その勢いみたいなものが映画の中にもしっかり映されている感じがありました。告白をするシーンは時代劇ではないタイプのシーンになっていると思います。

■星野さんは音楽もお芝居もどちらも精力的に活動されていますが、それぞれにどのようなスタンスで向かわれるのですか?

始めた時期はどちらも中学一年生と一緒で、ギターを始めて自分の歌を作り始めた頃、友達に誘われて演劇を始めました。それぞれにずっと続けて来て、高校を卒業してどちらもアルバイトをしながら活動をしていて、そのまま今に繋がっているので、どちらが中心とかはないんです。どっちも自分の中心であるし、最近は俳優さんが音楽をしたり、ミュージシャンが俳優をやったりしますが、最初から両方をやっていた人って少ないと思うんです。それは自分だけの強みだと思うし、両方続けて来た僕にしかできない表現というものがあるのじゃないかと思っているので、これからも両方をしっかりやって行けたらいいなと思っています。

 

 

『引っ越し大名!』大ヒット公開中!

【監督】犬童一心
【原作・脚本】土橋章宏「引っ越し大名三千里」(ハルキ文庫刊)
【出演】星野源
高橋一生 高畑充希
小澤征悦 濱田岳 西村まさ彦 松重豊 / 及川光博 ほか

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Ⓒ2019「引っ越し大名!」製作委員会