シアタービューフクオカのコラムで誌上最長連載を誇るヨーロッパ企画・永野宗典氏。
ゲストを迎えての対談形式コラム。
webでもダブル掲載!本誌と併せてお楽しみください!


限られた字数制限の中、所狭しとお送りするショートショート対談。今回のお相手は、ヨーロッパ企画新作公演で共演している歌手・俳優・音楽家として活躍している木下出さんと!



今回のゲスト:木下出
きのしたいづる/東京芸術大学声楽科を卒業後、劇団四季に入団。退団後、英国ミドルセックス大学大学院舞台芸術学科演出コースにて学ぶ。帰国後、歌手・俳優・音楽家として、京都を拠点に活動中。

永野(以下 )まず、びびったのがですね、学歴がすごい。超エリート。
木下(以下、) 立派でしょ(笑)。
もしかして、劇団四季入団当初は、すごい大型新人だったとか…?
はい、いろんな意味で(笑)。
 (笑)。どういう存在だったんですか?
 凄く、不器用で、太っていて…。でも、芸大出身で歌は歌える!みたいな感じです。特に、ダンスが酷かったんです。3クラスぐらいに別れているのですが、それに収まらないクラスで、Zクラス(笑)。
 Z!(笑)。でも、歌の方は異様に秀でてたんですよね。で、退団されて、「英国ミドルセックス大学大学院舞台芸術学科演出コースにて学ぶ」でしょ(笑)。キャリアがすげえ、キメキメなんですよねえ。
 ええ(笑)。学生時代、オペラの演出とかもしてたんです。在学中、同級生、先輩も凄い人ばかりで、歌が。で、僕は歌わなくてもいいのではないかと思ったりしてて。
 でも、過去に、ミュージカル俳優の山崎育三郎さんを指導したとか?
 学生の時に家庭教師をしてたんです。ソルフェージュっていう、音楽の基礎の。
 へー!恩師なんだ!
 お母さんがいつも美味しいお菓子を出してくれて。
 ははは(笑)。ちなみに木下さんは、小さい頃って、どんな子だったんですか?
 目立ちたがり屋でした。劇では、いつも主役をしていました。
 おう! お調子者? 人気者?
 お調子ものでもはなく、それほど、人気者でもなくって、ただ劇では、主役でした!
 …何だかずいぶん自慢げなかんじですね(笑)。
 勉強も一番でした!
 そうなんや(笑)。木下さんは、いつから、音楽とか歌の方を伸ばしていこうと思ってたんですか?
 ピアノは4歳からはじめました。中学の頃は、槙原敬之みたいになりたかったんです!!
 もしかして、似てるとか言われてました?
 言われてました。ピアノも弾けるし。意識してました(笑)。
 でも、そっちにはいかず…?
 家が厳しくてバンドとかは、不良っていうイメージで。
 それで、オペラとか声楽をきっちりやる方向に。一方で、お芝居もしたかったんですか?
 高校の時、同級生でお芝居してる友達がいて。でも芝居も、うちの家族ではNG。
 不良!
 そう、不良!!
 現在、ヨーロッパ企画で一緒にツアーしてますが、親に怒られますか?
 今は、さすがに大丈夫です(笑)。
 何度か木下さんが、小劇場の舞台に出てる作品を見させていただいてて、ステージ上でこんなにふわふわ宙に浮いてるような感じで、演技してるようなしてないような人、初めて見たなと思って衝撃だったんですけど(笑)。正直、舞台上に変人がいる!っていう印象で(笑)。あの浮遊感は、声質も大いに関係してる気がします。フェアリーのようですよね。
 あ、なるほど声質!! 声楽の勉強をしている時も、オペラとかよりも、宗教音楽の方が、あってると言われてました。
 賛美歌とか、癒しのかんじ? 精霊的な?
 まさしく、フェアリーの感じです。
 で、浮遊感に対して、歌声の圧倒的な迫力。才能のいびつななバランスが、強烈なキャラクターになってますよね。コメディに妙にハマってる。そしてまた本番前の、身体、喉のケア、作品への向かい方など、芝居へのアプローチはすごい真摯に取り組んでるけど、演技はふわふわしてるっていうギャップがまた、いびつっていう(笑)。
 不器用ですし、そこはやっとかないと不安なんです。
 なるほど。誠実なところがあるから、またいいんですね。いま、僕らと一緒にコメディやってますが、思い描いてた人生ですか? 槇原敬之とは随分遠いところにいますが(笑)。
 全く思い描いては、いなかったですね。でも、昨年「来てけつかるべき新世界」を拝見して、ヨーロッパ企画の作品に出演したいと思っていたんです。素晴らしい作品を観たので、そこに加わりたい、と。
 すぐ願いが叶ったんですね、さすがフェアリー俳優(笑)。

●永野宗典(ながの むねのり)/’78年生まれ、宮崎県出身。’98年、上田誠らと共にヨーロッパ企画の旗揚げに参加。以降、全作品に出演。

◎シアタービューフクオカ vol.69掲載(2017.10発行)