シアタービューフクオカのコラムで誌上最長連載を誇るヨーロッパ企画・永野宗典氏。
ゲストを迎えての対談形式コラム。
webでもダブル掲載!本誌と併せてお楽しみください!


限られた字数制限の中、所狭しとお送りするショートショート対談。今回のお相手は、2017年夏、舞台で共演した演劇集団キャラメルボックスの畑中智行さんと!

今回のゲスト:畑中智行
1978年4月13日生まれ。奈良県出身。2000年に演劇集団キャラメルボックスに入団し、舞台を中心に活動中。代表作は「トリツカレ男」「隠し剣鬼ノ爪」「鍵泥棒のメソッド」「ゴールデンスランバー」など。

永野(以下 )高校時代からキャラメルボックスは観に行ったりしてて、エリート集団なイメージあるんですよ。僕、畑中くんに稽古場で怒られたりするんじゃないかなあとか緊張してたりして…(笑)。
畑中(以下、) そんな訳ないじゃないですか(笑)。
 「畑中くんはキャラメルボックスいちイイひと」という噂を頼りに距離感を縮めつつ(笑)。逆にヨーロッパ企画のことはどう思ってたのかなあ?
 「舞台は生モノ」って言いますけど、本当に生っぽくやる、本筋をズラしながら真っ直ぐは走らない、そういうところが面白いと思って作っている人たちっていう印象です。キャラメルボックスの演技スタイルとは対極なんですよ。
 畑中くん見てると、本来あるべき俳優の姿を目の当たりにした感じがあって、自分のやり方がすごく姑息に思えてきて(笑)。どういう俳優人生を送ってきたのか? というところにすごい興味があって。
 新人の研修期間に集中してやってたことがあるんですけど、まずスピーチです。例えば、永野さん、好きなものなんですか?
 カレーライス。
 じゃあ、2分間与えるんで、稽古場にいるみんなをカレー好きにさせてください。
 うわ~即興で? 難しい!
 「自分の発する言葉で人の心を動かせ」っていう訓練ですね。次にパワースピーチ。フルテンションで好きなものについてスピーチする。聞き手の心を動かしつつ、スピーチしている人自体が面白い状態になるっていう訓練。あとね、漫才やります。うちは笑いの稽古めっちゃ重視するんですよ。
 なるほど! だって、マシーンみたいに笑いとってくもんね(笑)。
 間とかテンポとか音色とか、こうしたらコミカルに見えるなとか、狙っていけるんですよね。最後が、クラウンってやつです。
 ピエロ?
 そう。15分間、即興で客を笑わせ続けろっていう訓練。つまんなくなってくると延長(笑)。もちろん発声もやるし、コーラスライン、ストップモーション、スローモーションとかもがっつりやりますけど。だから地獄ですよ(笑)。日本のどこの稽古場いっても、うちが一番厳しい稽古場だと思います。
 聞いてるだけでげっそりしてきた…。そのメニューをやれば、すぐ新人として舞台上でその成果は出せるの?
 出せませんね(笑)。変な話ですけど、稽古場に向かう道すがら、なんとか事故とかに遭わねえかなって思ってました。でも何事もなく健康で過ごしちゃうんですよ(笑)。
 その苦しい時代から抜けたのはいつぐらい?
 …え~、ここ2、3年です。ちょっとだけ舞台に立つことがラクになってきたかもなって思います。
 休団してた時期があったんでしょ?
 主演とかもやらせてもらうようになってた頃なんですけど、擦り切れたんですよね。そういうのなかったですか?
 同じかどうかわかんないけど、もう俳優としてそこまで芽出る人間じゃないなって思って、作家業にシフトした時期はあった。演じることにすごい無理して鞭打ってやってる気がして。でも、そこでどうやったら自分は楽しくやれるのか?っていうのを作家業や演出業を通して模索してた。
 へ~、ずっとイケイケで来てるんだと思ってました。30歳前後って色々考えるじゃないですか? 役者に限らず。楽しいと思えることがちょっとずつ増えてきたかな~って思えるようになったのは、とにかく続けることが大事だったかなって。苦しいけど、でも好きなんだよな~っていう気持ちが強い人が勝つなって。どんなに芝居が下手くそでも長くやってたら形になりますし出会いもある。ちょっとした挫折で辞めることはないよ、休めばいいよ、がんばってきたんだから辞めるってのは自分がかわいそうだよって、思いますね。
 …40代手前しゃべり場になっちゃったね(笑)。
 大丈夫ですかね?(笑) これは何を楽しんでもらう対談になりました?
 すべての夢を追いかけて迷っている人たちに読んでいただけたら。代々木アニメーション学院とか専門学校を中心に配布してもらおうかな。

●永野宗典(ながの むねのり)/’78年生まれ、宮崎県出身。’98年、上田誠らと共にヨーロッパ企画の旗揚げに参加。以降、全作品に出演。

◎シアタービューフクオカ vol.68掲載(2017.8発行)