舞台をはじめTVドラマ等でも活躍中の女優・池谷のぶえさんのコラム。本誌と併せてお楽しみください!

vol.6

梅雨に入りましたね。小さい頃は、カエルの卵をバケツいっぱいにすくってきては、オタマジャクシをカエルになるまで飼育してみたり、カタツムリを見つけては一堂に集めてみたりしていましたが、大人になったいま、なぜにあのようにヌメヌメとした生き物たちになんの躊躇もせず…というか、むしろ好き好んで接していたのか、いや、好き好んでセッションしていたのか、いや、セッションはしちゃいませんが…子ども時代の自分と、現在の自分は本当に同じ人間なのか? と疑う時がありますよね。

だって私、生まれて初めてプロテインを買いましたもの。ヌメヌメを追いかけていた頃の私が、まさか、こんなパサパサしたプロテインを追いかけるなんて思ってもみないでしょう。「もっとヌメヌメしたプロテインはないの!? ババァ!!」と、幼き私が現在の私に向かって泣き叫ぶのならば、「もっとパサパサした生き物を育てられないの!? 青二才が!!」と、泣き叫び返してやりたい…勝ちたい…絶対に。そう、勝つためには、プロテインです。だって、筋肉がつくんでしょう? 何らかのトレーニングを頑張ってる方たちが、トレーニングの前後におもむろに取り出す液体…それがプロテインだと思っていました。私のような、トレーニングに縁のない人間は飲んではいけない、貴族の飲み物だと思っていたのです。でも、庶民も飲むのを許される飲み物なのですね。

そもそも、プロテインに手をだしたのも、年齢とともに不足していく代謝機能を維持するにはタンパク質の摂取が必要ですが、食べ物から摂取しきれない分を貴族に助けてもらおうと思ったのがきっかけです。そしたら、大豆からできた貴族「ソイプロテイン」なるものまであるのですね。もうこれは、更年期付近の女性たちのバロンじゃないですか! もうこうなったら、舞踏会じゃないですか! 「まあ、プロテイン伯爵。はじめまして」「これはヌメヌメ夫人、お目にかかれて光栄です。一曲、お願いできますかな?」あぁ…行きたいなぁ…舞踏会。

とある女優さんと話していたのですが、お稽古や本番が続いて日常の抑圧が続いてくると、慢性的にデートに行きたくなるそうです。普段はむしろ、デートは苦手なんですって。私は俄然、パーティに行きたくなります。普段はパーティなんか大嫌いですけど。なんかそういう、演劇人たちが抑圧を発散できるテーマパークとかあればよいですね。ダメ出しの洞窟、落ち込みの池、褒められの城、仕込みの森、打ち上げジェットコースター…まあ、稽古中や本番中に行くことになるので、みんなマスクしてるんでしょうけど。

いけたにのぶえ/1971年生まれ、茨城県出身。俳優。幻の劇団「猫ニャー」出身。舞台を中心に活動中。

◎シアタービューフクオカvol.67掲載(2017.6発行)