シアタービューフクオカのコラムで誌上最長連載を誇るヨーロッパ企画・永野宗典氏。
ゲストを迎えての対談形式コラム。
webでもダブル掲載!本誌と併せてお楽しみください!


限られた字数制限の中、所狭しとお送りするショートショート対談。今回のお相手は、今夏公開される映画「Every Day」の監督・脚本の手塚悟さんと!

今回のゲスト:手塚悟
1983年生まれ 山梨県出身。2009年『つるかめのように』、2011年 『こぼれる』がSKIP シティ国際Dシネマ映画祭をはじめとする国内の映画祭に次々とノミネート・上映される。

永野(以下 )  ひとまず、 映画「Every Day」公開おめでとうございます。ここまで長い道のりでしたね。大変でした?
手塚(以下、) 大変でした、と一言で言い表せないほど大変でした(笑)。
 そもそもの始まりは?
 2008年の秋です。大学卒業してしばらく撮れない時期があったんですけど、ようやく短編を1本仕上げて次は何しようと思った時にmixiの日記で毎日綴られていた原作に出会いました。
 mixiの日記が原作って、あんまり聞かないですよね。
 後にも先にも日記に毎日シナリオあげてる人見たことないです。面識なかったですけど、原作のパワーにおされて、そのまま映画化したいとメッセージしました。
 2008年に映画を企画されて、僕に声かけてくださったのって、いつでしたっけ?
 「ロベルトの操縦」(2011年ヨーロッパ企画公演)を見て、永野さんを想定し始めて、声かけたのはその翌年の公演だったと思います。初日乾杯に混ざりながらものすごい緊張しちゃいましたね。
 「ロベルト~」の次の公演ってことは「月とスイートスポット」の時か。でもその2つとも、今回演じさせていただいた三井とは全然イメージが違う気がするんですけど。両方パシリ役だし(笑)。
 むしろパシリ役だったからってのはありますよ。
 小物感が必要だった?
 いや、あの親近感が。
 ああ、良いように言ってくださって(笑)。
 でも、永野さん想定したら自然と完成した映画のイメージになったので、断られたら作品の製作自体を断念していたかもしれないです。
 げ! そんなに!
 だから初対面で挙動不審になってしまうほど緊張しちゃいました。「Every Day」は遠い世界の話じゃなく、見ている「私」の話なんですよね。
 「私」というのは、映画を観る個人個人ですか?
 そうですね。
 そこでパシリ役の彼をと(笑)。
 でも、コメディイメージの強い永野さんの新しい面を見たかったのが、今回の器用の最大の理由です。
永 ほぼコメディしかやったことないから、男女間のヒューマンなストーリーを背負った役に戸惑いました。
 本読みの時から不安だって言ってましたもんね。
 スクリーンにポップコーン投げられるんじゃないかってね…。
 投げてもらいましょう(笑)。
 いや上映中止でしょ(笑)。っていうか監督的には、大丈夫でした? 主演・永野宗典は?
 素晴らしかったです。特にラストの永野さん見てほしいな!
 ありがとうございます。今のは誘導尋問でした。
 やられた(笑)。
 2008年に動き出して、撮影が2013年ですよね。クランクインまでも時間かかってますけど、クランクアップしてからも監督自身、体壊されて長期入院されたりとか大変でしたよね?
 脳梗塞で1ヶ月半の入院して、退院後も定期的に通院してリハビリを2ヶ月ほど。無茶はいかんということですね。完成した今はどれも必要なプロセスだったと思ってます。
 そういう経緯があったことで、作品が磨かれるような感覚があったってことですか?
 劇中のフォトブックのくだりとかは、お見舞いに来てくれたスタッフの差し入れてくれた写真がヒントになってますし、母が亡くなったこととか…。全て作品への想いに変換しましたね。
 日々の何気ない出来事とか気持ちの機微とか、過ぎていく儚さの説得力みたいなのが、映像を通してすごく伝わってきた気がします。
 過ぎ去っていく日々の尊さについては嫌ってほど僕が感じたことですから、自分の言葉としてしっかり作品に込められた気がしています。
 ぜひ、「Every Day 2」を!なんて野暮なこと言えない映画ですね(笑)。
 それは大変なことが起きますよ(笑)
 でも、またご一緒させてください、パシリ役あるいは、どシリアスな役で。
 次は両方欲張ってみましょうか(笑)。

●永野宗典(ながの むねのり)/’78年生まれ、宮崎県出身。’98年、上田誠らと共にヨーロッパ企画の旗揚げに参加。以降、全作品に出演。
information  主演映画「Every Day」@新宿K’s Cinema 2016 7/23~公開。全国順次公開予定。