シアタービューフクオカで絶賛連載中「舌の根も乾かぬうちに…」福岡県出身、TVや映画等で活躍中の俳優・野間口徹さんのコラム。本誌と併せてお楽しみください!

nomaguchi

eps.18

サラサラのストレートヘアーになりたいんすよ!一日で良いから!

現在40歳付近の方々にはご理解頂けると思いますが、僕の多感な青春期の頃はストレートヘアをアレンジする事が、完全に流行の最先端だったのです。

最初はチェッカーズ。藤井フミヤみたいな髪型にできる事こそ、九州の片田舎に暮らす少年の一番の望みでした。しかし、産まれてすぐに祖母から「大仏のようやねぇ」と言われる程の、僕の天然パーマネントヘアー、いや、ほぼアフロヘアーでは、到底無理な願いでした。「頑張っても鶴久政治にしかならんとやないと?」という姉の一言は、今でも胸に刺さったまま抜けないトゲです。あ、マサハルが悪いって事じゃなくね、フミヤかトオルになりたかったから、あの頃。せめてヒゲでも生やす事ができれば、モクだと言い張る事もできたのですが、いかんせん小学生。自分がモテる為の要素を持ち得ていない事を、早々に気付き始めた最初の出来事です。

中学生の頃も然り。少しヤンチャな男がモテる。男子が全員色気付く年頃です。流行っていたのは「BOØWY」。氷室京介、布袋寅泰への憧れは、崇拝に近いものでした。あんな風になりたいと、ジェル・ムース・スプレー、あらゆる整髪料を使用し、男子は髪をいじっていました。中には「コーラを一缶頭からかぶるとスゲー固まる」というクレイジーな人もいました。ある時、僕の髪をいじってくれていた友人が「どんだけ固めても勝手に髪が丸まりよーけ無理バイ!」と叫んだ声は、今でも鼓膜にこびりついて取れません。想像して下さい。極度のクセ毛、丸眼鏡、親のお古のクラシックギター。…ええ、いろいろと諦めた頃です。ええ。

高校から大学にかけては、完全に別世界、アナザーワールドでした。吉田栄作、江口洋介、木村拓哉(敬称略)。一度はチャレンジするものの、前葉体にしかならず。分かります?前葉体。ほら、理科で習ったでしょ?アレです。今となっては、一度チャレンジした事すら恥ずかしい過去。さあ、ここまでの話しで髪の毛へのコンプレックスは伝わったと思います。

僕の父方の親戚は全員ストレート。逆に母方は全員もれなくパーマネント。そして僕の子供達も。強い。血が強い!妻は固くて太いストレートなのに。いや、髪の毛だけではない!顔面もだ!祖母、母、僕、子供達、みんな同じ顔だ!強い。強過ぎるぞ濱田家の血!なんだか最近、妻も顔が似てきている気が。そこまでいくと脅威の血脈だ。
僕の知り合いが、街で見かけた子供がどう見ても僕そっくりだったので「違ったらごめんなさい」と声をかけたところ、長男だったというミラクルな話もある程ですからね…

あれ?何の話だ?そうそう、一日だけで良いから、サラッサラのロン毛をファーッと手でかきあげてみたいという話。もしくは母方の血が強すぎた話。

のまぐちとおる/1973年生まれ、福岡出身。俳優。コントユニット「親族代表」と、劇団「ピチチ5」に所属。4月期土曜ドラマ『お迎えデス。』シノザキ役(日本テレビ)に出演中のほか、2016 5/22放送予定『週刊聖徳太子』(BSフジ)、映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』(公開中)などに出演。