シアタービューフクオカのコラムで誌上最長連載を誇るヨーロッパ企画・永野宗典氏。
ゲストを迎えての対談形式コラム。
webでもダブル掲載!本誌と併せてお楽しみください!


限られた字数制限の中、所狭しとお送りするショートショート対談。今回のお相手は、ヨーロッパ企画の舞台で共演させていただいている中西ちさとさんと!

今回のゲスト:中西ちさと
1986年大阪府出身。ウミ下着代表/演出家・振付家・ダンサー。ヨーロッパ企画公演「遊星ブンボーグの接近」にも出演。

永野(以下 ) ヨーロッパ企画、参加してみてどうですか?普段やられてるダンス公演と違いはありますか?
中西(以下、) 明らかに違うのは客席の反応ですね。基本的にお客さんが笑ったりとかそんなにないので、それが面白くもあり、恐怖でもあります。
永 ダンスの時は恐怖はない?
中 ダンスはまずそんな反応とか気にしてないです(笑)。ヨーロッパ企画の皆さん、心臓強いな…って思います。
永 いやあ~、ビビリまくってますけどねえ。本番中の僕の汗をみてもらえばわかると思いますけど。
中 あれは冷や汗なんですか?(笑)
永 はい。あまりよくない精神状態の汗です。中西さんはダンスをやられてるので、身体の緊張とか状態にすごく敏感な印象があるんですが、実際どうですか?
中 最初はとにかく緊張しまくって身体がガチガチでしたけど、本番前のアップのメニューを少しかえたら楽になってきました。
永 え! 興味深い!どんな?
中 ストレッチ後に、ちょっと即興で踊ったり、身体に心で声かけてあげたり。ちょっと気持ち悪いですけど(笑)。今日は「首と目は密接な関係だからよくほぐしてもらわんと困るで」って言われました。
永 返事くるんすね!(笑)。内なる超越的存在とチャネリングしてる感じだ。
中 そんなたいそうなものでは…(笑)。返事ない時もあります。
永 イケズな時もあると(笑)。
中 あと最後に全身叩いたりしてます。
永 叩く!? いろんなアプローチもってますね。
中 最初、軽く、永遠に叩けるくらいで全身を叩いて、その後5分続けられる痛さにして、その後もう我慢できん!ってくらいの強さで叩きます(笑)。そうするとめっちゃ身体が開いて感覚が敏感になるんですよ。
永 へー!やっぱちょっと役者とは一味違うアップ方法ですね(笑)。
中 永野さんはよく劇場内を走ってますよね。
永 そうですね。だんだん頭が働いてくるんです。走るというより、瞑想に近いかもしれません。走りながら自分との対話が始まってるんです。
中 ふむふむ。やっぱり対話してるんですね!
永 だから中西さんの話聞いてて興味深かった。「身体重いし今日は歩こうか?」とか「さっき何であんな皮肉言われたんやろうな?」とか(笑)、日常のざわざわを細かく解きほぐして、徐々に劇の世界の方に導いていく感じです。これ時間かかるんですけど(笑)。
中 なるほどー。
永 でね、中西さんの身体の動きに興味あるんですけど、一挙手一投足を目で追ってしまうんですよね。全身を魅せることもできるし、ダラっととOFFにもできる、なんか身体意識が自在なんだなと。ONの動きができると、油断したOFFの姿も面白くなるんだなあと。
中 油断した方が良い時ってありますよね。
永 でも、人前で油断するのって難しいですよね。そこらへんの自意識のコントロールどうしてるんですか?
中 うーん、どうなんでしょう…。「見られてるけど、見られてない」と思うようにしてます。変な日本語ですけど。
永 かーっ! 世阿弥の境地。
中 いえいえ(笑)。できてない時の方が多いかと…。あとは、パワーあり過ぎて持て余すときがあって、それは自分で抑えたり発散させます。
永 は~。自分の身体のことをしっかり分析できてる人じゃないと言えない言葉ですよ。達人の言葉ですよ(笑)。
中 ちょっと客観視し過ぎてるのも問題だなって思います…。もっと没頭したいです!(笑)
永 表現者の悩みかもですね。心の奥から出る表現衝動と、客席からみてる自分との両方のバランス。いやあ、主宰されてる「ウミ下着」のことからご実家がなくなった話まで、じっくり質問していこうと思ってたんですけど、なんか、感覚的なコアな話多かったですね。
中 わーーーー! 家なくなりました!
永 わーーー!じゃないですよ(笑)。HPに堂々と載ってましたもん。
中 そうでした(笑)。
永 達人かと思いきや、いい具合に油断してますね(笑)。

●永野宗典(ながの むねのり)/’78年生まれ、宮崎県出身。’98年、上田誠らと共にヨーロッパ企画の旗揚げに参加。以降、全作品に出演。
information  永野宗典 出演情報/映画「サマータイムマシン・ブルース」公開10周年記念・Blue-ray 2015/11/18発売!