舞台をはじめTVやCM等でも活躍中の竹井亮介さんのコラム。本誌と併せてお楽しみください!


vol.11
コンビニやスーパーに行けば、種類豊富に陳列されているカップ麺。ときどき、どうしても食べたくなるときがあります。でも、シンプルにお湯を注ぐだけのもの、麺やスープにこだわっていて待ち時間が長めのもの、具材の工夫が感動的なものなど、選ぼうにも悩んでしまって選べません。さらには次から次へと新商品が止まらない。私の悩みはエンドレス!
先日も、コンビニのカップ麺コーナーでずっと悩んでいました。いや、正確に言うと、1〜2分悩んではお菓子など別のコーナーに行き、また戻ってきては1〜2分悩むというのを、数回繰り返していました。いい大人がカップ麺コーナーに長時間居座ってたら決断力の無さがバレてしまいますからね。これぞ、48歳の知恵!
そして、お店に入って10分ほど。ようやく意を決してひとつの商品を購入。そのカップ麺には「お召し上がりの直前に入れてください」という調味油が付いていました。最近よく見かけるタイプですが、この調味油がまさに味の決め手です。「お湯を入れた後、フタの上であたためてください」というような指示もあったので、仰せの通りにして待つこと3分。フタをめくり、食べ始めました。あれ?美味しいんだけど、パッケージで謳ってる感じの風味が、そこまで感じられないぞ。そんなことを思いながら食べ進め、8割方食べ終わったところで気付くのです。カップの右斜め前方に何気なく置いたフタに、未開封の調味油の袋が添えられていることに!
そうです。「お召し上がりの直前に入れ」たのではなく、8割方召し上がっちゃってから入れ忘れに気付いたのです。後悔の嵐!いっそのこと気付かぬままでいたかったけど、気付いてしまったからには、残りが2割だろうが入れますよ、そのすべてを。如何せん残りが少ないものだから、俄然パッケージで謳ってる感じの風味がすごいことに。濃い!濃いけど美味い!美味いけど切ない!メーカーさんが苦心の末に完成させた本来の味、いわば最高の結果を知ることができないなんて!どうしていつも最後の最後で逃してしまうのかなぁ、最高の結果を。

10年くらい前になるでしょうか。とある映画のオーディション。該当する役の最終審査に残っていたのは、私を含めて2人。つまりは当選確率50%。数名のメインキャストのひとりとしてその作品に関われるかどうかの瀬戸際。場合によっちゃ人生が変わるかもしれない!そんな状況です。ここまで来たら、そりゃこの役を取りたいという気持ちでいっぱいでしたよ。そんな中、自分なりにはベストを尽くしたつもりですが、その欲深さが変な形で出ちゃってたのか、もしくは他のキャストさんとのバランスとか、持ち合わせたキャラクターとか、たぶんいろんなことで決まりませんでした。オーディションで落ちて泣いたのは、後にも先にもその時だけです。
その悔し涙を思い出したら、なんだかカップ麺が食べたくなってきました。
無限ループに陥りそうなので、今は食べませんけど。
あぁ、人生って難しいですね…。

 

●たけい りょうすけ/早稲田大学在学中は、劇団「木霊」で活動。卒業後は様々な舞台を経験し、1999年、コントユニット親族代表を結成。ぽっちゃりとした見ためを活かした朗らかなキャラクターを演じると、場を和ませ、画面が一気にあたたか味を帯びる。その安定感は、各方面の監督からも信頼が厚い。
【TV】ETV「ボキャブライダー on TV」 【映画】東映まんがまつり「映画 おしりたんてい ~テントウムシいせきの なぞ~」

◎シアタービューフクオカvol.88掲載(2020.12発行)